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ファルケド神祈祭、開催

 ついに始まったファルケド神祈祭中に行われる大会に出るために、エントリーする必要があるレオンに誘われて俺と恭也、それにエクスとテオは王都にあるギルド管理協会へとやってきていた。

 普段は王都へ行くのに時間がかかるが、各街などにある転移装置がこの祭りの期間だけは格安で使えるようになるため、すぐに来ることができた。


「よろしく」

「分かりました、それでは少しお待ちください」


 レオンから魔報を受け取った受付嬢が、目の前のパソコンのような機器にデータを移していく。


「……はい、エルピリアの登録が完了しました。こちらをお返しいたしますね」


 そしてすぐに俺たちエルピリアのメンバー全員の情報の登録は終わり、魔報はレオンへと返された。


「それではぜひ、大会を楽しんでいってくださいね」




「これからどうするの?」


 祭りは今日から開始だが、大会が始まるのは明後日からだ。ということで用事を済ませた俺たちはかなり時間が余っている。


「うーん……僕は店を見て回りたいけどみんなはどうかな?」

「そうだなぁ、俺は……」

「ん?」


 これからの予定を立てていると視線を感じたので、そちらを向くといくつかのグループがこちらを見て何やら話していた。どうしたのだろうか?


「お、おいあれ。エルピリアがいるぞ」

「なに!? ほんとだ……しかも『凶乱』に『妖精姫』、『ファントム』に『歩くパンドラの箱(ボックス)』じゃねぇか」

「ここにいるということは、今年はレオンは出るということか?」

「マジかよ」

「あー……そうなるとお前らの世代はかなり厳しくなるな。ドンマイ」


 どうやらレオンたちについて話していたらしい。見たところ彼らはそれぞれ他の街から来たギルドのようだが、そんな人たちにもレオンたちは知られているのか。

 だがまぁこいつらのことだ。テオは良い意味で知られているのだろうが、残りの三人はそうはいかないだろう。とくに恭也は。


「おい待て。一緒にいるあいつは誰だ?」

「ほんとだ、新人か?」


 おっ? 俺のことかな? だがレオンたちとは違って俺はとくに問題も起こしてない(はずだ)から、そんなこいつらみたいに噂されることは――


「そういえば私、エルピリアに魔法が苦手で派手に自爆する新人が入ったって聞いたわ」

「そうなのか? 俺は地面に巨大な穴をあけるのが大好きだと聞いたぞ」

「マジで?」

「他にもよく恭也と一緒にいるらしいわ」

「ということはあの人もヤバいやつといことなのかしら?」

「いったいどうやったらそんなやつらを一つのギルドに集められるんだよ……?」


「……」

「どうした優臣!? 急にガックリと項垂れて」

「いや、なんでもない。なんでもないんだけど……ごめん」

「? なんだ、訳の分からんやつだな」


 まさか俺も人のことを言えなかったとは……いつどこで噂を広められるのか分かったもんじゃないな。


「それで優臣はそこでいいか?」

「えっうん」

「そうか、じゃあ早速行くか」


 やべっ、レオンたちの話をまったく聞いてなかったからどこに行くのか分からないぞ……まぁ流石に変なところに行くということはないだろう。それじゃあレオンたちについて行くかな。



           ☆           



「……なにこれ?」


 現在、俺は困惑していた。なぜなら


「付き合ってくれて助かるよ」

「ぷぷっ! よ、良く似合ってるじゃなか」

「ククッ、可愛いぞ『マコちゃん』?」


 テオたちによって女装させられていたからだ。

 おかしいとは思ったのだ。女性ものを売っている店に入ったと思ったら試着室に押し込まれ、そして渡された服に着替えるように言われたのだから。

 しかもご丁寧に私物のウィッグまで用意していたというのだから驚きだ。


「どうしてこんなことに……」

「ほら、僕って喫茶店経営してるでしょ? そこでいくつかテーマに合わせた服を買い揃えようと思ってね」

「それ、俺が試着する必要あった?」

「やっぱり人が着てるのと着てないのでは違うから」

「でも男だけでこんなことしてたら――」

「ここの店とは顔見知りだから大丈夫だよ。あっ、少しくるりと回ってみてくれないかな?」

「テオのお願いでもそれは……」

「……どうしても駄目かな?」

「くっ!」


 そんな顔をされたらせざるを得ないだろう! というわけでその場でくるりと――パシャ! ん?


「おい、エクスてめぇ!」

「おぉ、なかなかいい写真がとれたぞ」


 いつの間にかエクスがカメラを取り出して俺の写真を撮っていた。


「それを今すぐ消せ!」

「断る」

「ふざけんな!」


 こいつは……こいつは本当に油断も隙もないな!



           ☆           



「ただいま」

「おかえりなさい」


 そんなこんながあって俺は我が家へと帰って来た。結局エクスからあの写真を消させることには失敗してしまった。よりによってあいつの手元にあの写真が残るとは……考えうる限り一番最悪だ。


「久しぶりの王都はどうだったかしら?」

「すごく賑やかだったよ。あっそうだ。メアにお土産があるんだ」


 ティナちゃんとエラ、アリスにも買ってあるが、三人は家にいないようなので先にメアにだけ渡すことにする。


「はい」


 マジックボックスから小さな紙袋を渡す。


「開けてみていいかしら?」

「もちろん」


 あの後、あの店でそれぞれサナちゃんやミーナにお土産を買うということになったのだが、女の子に物を送る経験のない俺には何を選んだらいいのか分からなかった。

 そういうわけで必死に悩み、それぞれに似合いそうだなと思った――


「あら、可愛い髪留めじゃない」


 髪留めを選んだのだ。


「つけてみていいかしら?」

「もちろん」


 そう答えるとメアはいそいそと髪留めをつけた。


「似合うかしら?」

「えっ? うーん……」

「何よ? 似合わないっていうの?」

「いや、自分が選んだものを似合う、似合わないっていうのはどうなのかなって」

「変なことを気にするわね、そんなことは気にしなくていいから。それで似合うの? 似合わないの?」

「うん、似合ってるよ」

「そう」


 メアはそれだけを口にするとくるりと後ろを向き、足早に自分の部屋に戻っていった。

 あれ、もしかしてなにか失敗したのかな? うーん、乙女心というものはよく分からないものである。

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