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牢屋  作者: cold blew
2/2

羊飼いのカルテ

「code:sheep、case1。失敗です。」

「そうか。やはりな。」

黒塗りの部屋の中で、二人の男が背を向けあいながら話し始めた。

「一般人という設定では限度があるのかもしれません。」

「そうだな。次は何かしらのスペシャリストを作るとしよう。」

「わかりました。アクタールームにその指示を送っておきます。」

そんな話をしながらも、二人の目と指は自分の正面にある複数のモニターとキーボードに意識を向けていた。

「しかし、実験にちょうどいい空き地がタイミングよく空きましたね。」

「何を言っているんだ。偶然なんてありえない。あの一家の家長は、被験体を連れてくる過程でその作業に関わってもらった。その作業の中で見たことのない服を着た少年を何処かから連れてくる行為は彼に疑問をもたらす。」

「そこまで予想できていたから、最初から見張っていた、と?」

「そうだ。囚人は余計なことを知る必要はない。奴らは遥か昔から囚人の血を引き続ける者。これからも公平な実験の背景を勤めるのだから。」

そこまで話したところで男は何かに気づいたように手を止めた。

「ところで話題の一家だが、処分はどうなっている?」

「はい。昏睡させた後に粉末化しファームエリア03に肥料として送りました。」

「そうか、昏睡させるための麻酔も確保が面倒なんだがなぁ。」

「人権団体だなんて時代遅れの極み何ですがね。宗教観の強い国のお偉いさんが向こうにはついてたりしますし、昏睡させないと研究費が減らされてしまいますから。」

「この研究の成果がどれほど世界に反映されてるか知ってて見ぬ振りをするからタチが悪い…。」

「記憶までデータ化する技術も出来て、全身機械化したモノも増えてきたこの世界でいつの時代の倫理を語っているんでしょうね?」

「困ったものだな。」

「先生、そんな話をしていたら次の試験体がcase2の被験体の記憶生成が済んだようです。シード室からの輸送いつでもOKです。」

「分かった。BOX03に頼む。」

「はい。では、code:sheep、case2ミッション開始します。感度良好。囚人反応イエロー。…………………」




さぁ、答え合わせといこう。最初の問題の答えは、『自分の周りを最低限の杭と紐で囲う』さ。君から見たら目の前の柵を越えた先は全て内側。ほら、有象無象一切合切捕まえた。どう?少しは賢くなれたかな?頭の体操にはなったんじゃない?

今回の話もそう。側面しかない牢屋という極小の閉鎖空間の中に囚われていた彼も、街一つ飼われていた囚人達も常識と倫理観の御旗を掲げて疑わなかった。狂っているのは、異質なのは、相手なのだと確信を持っていたと言ってもいい。それは断じて過ちでは無い。自分の常識が不明瞭な者は居ないし、いても迷惑なだけだ。だが優しさの反転をぶつけ合うことはSAN値の削りあいでしかない。

いつか君がそんな場面に陥ったら迷わず武器をとることをおすすめしよう。狂ったものを排除するには物理が早い。さぁ、狂っているのは相手かな?それとも、君…?

判断は君たち次第だ!楽しみたまえ?


…まぁその時代の倫理によるが。


以上でこの話は完結です。

code:sheepでした。これ以降もオープンワールドみたいに短編は書こうと思いますが、これはこれで一つの世界。閉じたものだと思ってください。

感想、批評等頂ければ幸いです。

ありがとうございました。

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