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3/5

3ロリ


チュンチュン

鳥のさえずりが聞こえる。窓からは朝日が差し込み、俺のいたベッドを照らし出していた。

目が覚めた俺は心ここにあらずといった感じではあったが、意識が途切れる前のことを思い出し横を向く。

そこには誰もおらず、荷物置きの上にぽつんと電球ランプがおいてあった。


「なんだ…夢…か?てか、ここはどこだ…」


辺りを見回す。ほかにも四方にベッドが置かれており、見たことあるような一室であった。


「…病院?」


昔来たことがある。といってもかなり幼いころ。確かじいちゃんのお見舞いで…

などと思いふけるなどしてボーっとしていると部屋にがたいの良い男が入ってくる。


「おう、起きたか」

「あ、えっと…」

「あぁ、いや無理にしゃべろうとしなくていい。それより腹の傷は大丈夫か?」

「腹…」


ふと、自分の腹部を見る。特に目立ったところはなく、包帯で巻かれていることから治療の痕であると思われた。


「あ、はい。だい、じょうぶそうです」

「そうか。あー…昨日はすまなかったな」


男は申し訳なさそうに言ってくる。昨日?何のことだ?俺はロリに路上で襲われてそれで…

などと考えていると男は言ってくる。


「なんだ、覚えてないのか?お前、昨日の夜ここで襲われただろ」

「あ!え、あれは夢、じゃなかったんですか?」


俺は少し状態を起こし、この男と話しやすい体勢を作る。


「ああ…」


男は頭をかき、少し下を向く。その姿はやはり申し訳なさを漂わせていた。


「昨日の…あー、「幼女」は俺の娘だ…」

「えっ!?娘!?てか「幼女」って…いやまさか…」

「まあそうだよな。普通の幼女はあんなことはしない。あー、説明しにくいんだがあいつは『幼女であり、そしてロリ』だ」


いやそんなまさか…昨日のここで見たロリは明らかにロリそのものだった。なのにあれは幼女だと!?


「混乱するのはわかる。だが追々わかることだ。今は考えなくていい。それよりお前、名は?」

「あ、霧咲 空といいます。えっと、あなたは?」

「俺は伊集院 大悟っんだ。ここだと隊長と呼ばれてるから、お前も俺のことは隊長と呼んでくれ。

 それよりも霧咲、ここまでお前に何が起きたかの経由を教えておく。そしてお前のことも教えてくれ」

「あ、はい」

「だがその前に飯だ。お前には後でその胃にやさしい飯を持ってきてやる。ちょっとまってろ」


そう言って男は病室を後にする。


「あ、あとだな」

「?」

「俺の娘に手ぇ…出すなよ?」

「え、あ、はい…」

「んじゃ、待ってな」


最後にそんなことを言い残し、男の姿はなくなる。


「娘?それに胃?腹じゃなくてか?まぁいいか」


とりあえず、もう一度ベッドにつく。いろいろ思うこともあったがまだ疲れが取れないのか、目がひとりでに閉じられていく。


「はぁ…寝るか…ん?」

もぞもぞ


布団の中になにか感じる。もぞもぞするそれは今思えば、ずっと俺の足に絡み付いていた。恐る恐る布団をめくる。


すると中には昨日見たであろうあのおぞましい姿が俺の脚を抱き枕にしてすやすやと眠っていた。しかも、昨日と同じ姿で…


「んな!?こ、こいつ!!…あれ、ね、寝てるのか?」

「んにゅう…すーすー…」


そのロリは長く腰上辺りまであるような淡いピンク色の髪を身に纏い、俺の脚によだれをたらしながらそこにいた。俺はあっけにとられるが先ほどの隊長の話を思い出す。


「幼女でありロリ…こいつ…人間なのか?」


つばを飲み込む。仮にこいつがロリだとしたら俺は助けを呼ばなくてはならない。だが、呼ぶにも声を上げれば起きるだろうし、それに足にまとわりつかれている。動けるわけがない。

だが、もしこいつがただの幼女だとしたら?普通に起こして何か聞くことができるかもしれない…

いや、飯がくるまで待てばいい話なのだろうが…だめだ。理性が持ちそうにもない…


「だめだ…何でここにいたかはわからないが、もし隊長の娘なら、手を出せば…殺される…」


隊長が最後に言い残した言葉はどことなく深い威圧のかかる言い方であった。

俺は仮にも「ロリコン」。ロリを愛すること者でしか得ることのできない肩書きでもある。だから相手がロリであろうと幼女であろうと正直こんな姿を見せられては抑えるものも抑えられない。




……………無理だ…起こそう。起こして、それで殺されてもしかたない…起こさなくても殺されそうだし…


覚悟を決めた俺はこの幼女かロリかわからない子の頬を指で突く。


「お、おい!起き…r…」

ぷにぷに


額から汗が流れ落ちる。

や、やわらかすぎる…ずっと触ってられるぞ…


ぷにぷにぷに…

「…んん?」

「あっ」


どれだけぷにぷにしていたのだろうか。目が覚めてしまった。俺は慌てて手を引っ込めて、声をかける。


「えっと、君…人間か…?」


とっさに出た言葉がこれか?と思いつつ様子を見る。この子は上半身を起き上がらせ、目をごしごしとやり、大きくあくびをする。まだ寝ぼけているように見えた。俺は念のためもう一度同じ質問を繰り返すことにした。


「も、もう一度聞くぞ。君は!」

「うるさいなぁ…うにゃ!」

「なっ!?」


この子はいきなり俺に飛びついてくる。腕を俺の後ろに回し、しっかり抱きついた上体でまた眠り始めた。


「いっつ!!こ、このままじゃ昨日の二の舞だ!」


俺は腹部の痛みを受け、昨日の夜のことを思い出す。この状態のままいてはまた出血してしまう。そう考えた俺はゆっくりとベッドに沈み、先ほどと同じ寝る体勢を取る。


「すー…すー…すー…」

「ま、まじかよ…」


心臓がバクバクと鼓動する。あ、だめだ…。もう、このまま俺もこの子に抱きつこう…

全身がやわらかいものに包まれているこの感覚は理性を吹き飛ばすには十分すぎた。

隊長?知らん。俺は…悪くねぇ!


「う、うぉおおおおおお!!!」

「へぁ!?な、なに!?」


俺は無我夢中にこの子に腕を回し抱きつく。足も回し、全身でこの子を包み込む。

そして頭に手を当て、髪のにおいをかぐ。


すーーーーっ…

「え、ちょ、ちょっと…//」


体がビクつく。なんて、なんて、良いにほいなんだ…。

やさしくて甘くて芳しくて、言葉にできない最高のにほいだ…。


すーーーーっ…

「も、もぉ…//」


………………………………………


「…おいてめぇ…何してやがる……」

「あへぇ…?」

「んにゅぅ//」


どれだけ時間がたっただろうか。ベッドすぐ横にはさきほど会った隊長が立っていた。空はトローンとした目つきでこの男を見る。そして直ぐに我に変える。左手で持っていたご飯のおぼんらしきものはカタカタと震え、右手には黒く輝くピストルが握られており、その銃口は空の頭を狙っていた。


「へ、あ、え!?いや、ちょ、ちょっと待って…」

「待て言われて待つやつがあるかい!!」


パーンッ!!

「うにゃ!!??」


隊長は俺の後ろの数センチ上の壁を打ち抜く。銃口からは硝煙の臭いが漂う。この子は音にびっくりし、周りをキョロキョロする。俺は怒りの形相を浮かべる隊長に対して、ただただ漏れそうだった。


「あ、あわわわ…」

「ちょ、ちょっと!お父さん!!何してるの!?」

「へ?お、お父さん…?」


この子は俺に抱きつきながらも顔を隊長のほうに向け怒鳴る。


「いやな。かわいい娘にでかいハエが集っていてな。いま、処分するからな…」

「ま、待って待って!!」

「あふ…!?」


この子は俺の頭まで上ってきて、その体で頭を隠す。俺の顔にはマシュマロがむにゅむにゅ押し付けられる状態となった。


「わ、私がまたやったの!ご、ごめんなさい!だから撃たないで!!」

(や、やわら…え、今何言って…やったって何を?)

「あ?またか?ったく…」


隊長がピストルをしまう音が聞こえる。どうやら助かったようだった。


「おい。鏡花。お前は自分の服を着ろ。どこにある?」

「そ、そっちのベッド…」

「さっさ取りに行け。あ、目は瞑っとくから安心しろ。おい!てめぇもだ、空!!目ぇ開けたら次は…」

「は、はい!!いまつふります!!」


俺は力を込めてこれでもかと目を瞑る。すると体を包んでいたやわらかな感触はゆっくりと俺から離る。その離れ際に昨日のようにまた囁かれた。


「また…あとでね//」

「あっ」


そう言うとベッドから降り、反対側のベットに向かっていった。



…俺は少し漏らしていた。だが、ばれる事はないだろう。なんせ白いベッドの色と同じなのだから…





















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