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1ロリ


夜の住宅街を一人の男が懸命に走っている。そしてその後ろには小さな何かが迫っていた。


「はぁはぁ!っ、くそぉぉぉ!!」


少年は走っている足を止め、振り返る。そして手に持っていたピストルを数発撃つ。

少年を追うように走るそれは飛んできた弾をすべて避けきる。


カチカチカチッ

ピストルの弾は無くなったことに気づいた少年は慌てて、腰につけた小さなバックの中からマガジンを探す。が、ときすでに遅し。それは少年のピストルを蹴り飛ばす。


「なっ!」


少年は慌てて前を見る。が、何もいない。恐る恐る少年は目線だけを下に向ける。


「あ」


血の気が引く。赤いランドセルと、黄色い帽子が特徴的。ワンピースを着て、胸には名札。大きくくりくりした目を下から覗き込ませ、楽しげな顔を浮かべる、「通学型ロリ」がいた。


「あのぉ、どうしてじゅう、撃ってくるんですかぁ??あぶないですよぉ??」

「ひっ!」


少年は恐怖のあまり後ずさる。だがロリはその速さにあわせて少年に向けて前進する。


「んん?あっ!おにごっこですかぁ??あははは」


無垢な笑顔を浮かべ、時折ステップなどしてはどんどん距離を詰めていく。

少年はひぃひぃ言いながらも何か手はないかと腰のバックを弄り続ける。

ボロボロと物は落ち、また手に取るものすべてがこの状況を覆すには及ばないものばかりであったがそれでも探し続ける。


ふと、腹部に何かが当たる感覚が生まれる。






「……たっちぃ♥」





甘ったるい声を聞いたと思えば、次の瞬間腹部の激痛とともに体が後方に吹き飛ばされる。


「がっっっ!!??」


数十メートル吹き飛ばされ、後ろにあった塀に体をぶつける。塀はいとも簡単に崩れ、少年を飲み込み小さな瓦礫の山を作る。


「あはははは!飛んだ飛んだぁ!!」


ロリは右手をグーにして、少年を殴っていた。


「あ…が…」


少年は頭部から血を流し、口や鼻から流血を起こしていた。また、下部からは黄色い液体が流れ出ていた。そして体はピクピクと痙攣を起こすが動くことはままならずにいた。


「あはは!いまそっちにいくからねぇ!待っててねぇ!」


ロリは両手を口の横に当て、この少年に聞こえるように大きな声を出す。

一歩、また一歩と少年との距離を詰める。


「あとすこしだよぉ??逃げなくてもいいのぉ??あ、逃げられないかぁ!あはは!」

「っ………」


ロリがあと数歩ほどで少年に到達するというところでどこからともなく声が聞こえる。


「今だ!!撃て撃て!!」

「ほぇ?」


付近の家の屋根や窓から何人もの武装をした人たちが表れたと思ったら、辺りが硝煙臭くなる。


「きゃあああーー!!」


ロリのほぼ四方から銃弾が飛び交う。道路や止まっていた車、塀や家の壁には無数の銃痕が生まれる。

ロリは何とかそれらを避けたり、ガードしたりして後方に逃げようとするが何発もの銃弾を体に食らい、

体がよろめいた所でついには眼球や額、首や胸元といった人体の弱点に銃弾が当たる。


「ぐぇ…」


ロリはその場でぐちゃりと倒れる。その幼い体から大量の血が流れ落ち、すぐさまロリを中心とした大きな血たまりが生まれた。


「撃ち方止め!!救護隊はすぐさま治療を行え!」


そんな声が聞こえてくると、屋根や家から道路に数名の武装した男たちが現れる。


「ひゅう…ひゅう…」


ロリは喉をやられているため、呼吸をしようにも喉の穴から空気が漏れ、息ができない。

また、目にあたるところからは赤白い、額からは赤黒いものがそれぞれダラリと流れ出ていた。

つい数分前まではその純粋無垢な笑顔で健気に動いていたロリだったが、今そこにあるのは無数の銃弾を浴び、肉や骨がえぐれ、内臓が飛び出るただの肉塊と成り果てていた。


そんなロリに先ほど声を上げていた男が近寄る。

そしてピストルを腰から取り出し、構える。



「あぇ…たひゅ…たひゅけ…」




パンッ!!


すでに絶命までは時間を有さないことは見て取れたが、男は躊躇いもなくロリの頭に一発銃弾を撃ち込む。ロリは助けを請うために、この男に片腕を上げていたが、それも空しく地に落ちる。男はピストルを腰のホルスターに入れなおし、タバコを胸ポケットから取り出て火をつけ吸い始める。


すると男の後方、少年がいた場所から声がする。


「隊長!彼は無事そうです。ですが治療がしたいため一度戻りましょう!」

「あぁ。わかった」


隊長と呼ばれた男はそっけなく返答する。そしてオイルを取り出し、ロリであったものにそれを適当にかける。

最後にタバコを吸い、大きく煙を吐き出す。そのまま少年のいた方向に歩き出し、吸い終わったタバコをロリのいたところに投げる。


メラメラッと火があがり、やがて全身を火が覆う。そんな姿に目もくれず、男たちは少年を連れて帰っていった。


夜は暗かったが、この辺りだけは少しの間だけ昼間と同じように明るく照らされていた。




















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