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戦争の真実

すいません。投稿少し遅れました。


フゥ…テスト疲れたよ

「貴様らぁぁぁああ!今すぐ我が愛しき魔王様から離れろぉぉぉぉぉおおお!」


 あーー、ヤバいね。これ関わったらいけないタイプの人だよ。


「ディオシス…うるさいぞ」


 向かってきたディオシスと呼ばれた男の頭部にリリスは容赦なく踵落としを食らわせ、頭が地面にめり込んだ彼の身体を蹴りつけている。


「で、結局何でここに人間国と絶賛敵対中の魔王さんがいるのかな?」


 リリスは少し考えこんでから顔を上げた。


「話してもいい…だが、そちらにも質問に答えてもらう」


「僕はそれでいいよ」


 まあ、人間側に付く気はないからね。クラスメイトとも仲が良かったわけでもないし、そもそも僕のことを殺した国に協力するほどお人好しじゃあないし。


「そうか、では話そう。

我々がここにきた理由は召喚された勇者を一度この目で見て今後どれ程の脅威になるか確認するためだ」


「へぇ、でも勇者なんて大した脅威にはならないんじゃないかな?だってlv1のときの彼らのステータスは20程度だよ」


 するといつの間にか復活していたディオシスが僕に疑いの眼差しを向けてきた。


「貴様、何故そこまで詳しい情報を知っている。勇者の情報は最高機密情報の筈だぞ」


「ああ、それね。だって僕もあの場に召喚された者の一人だから」


 その言葉を聞いた瞬間ディオシスから殺気が放たれる。


 が、更に強力な殺気を上乗せして気絶させた。


「なっ!彼は魔王軍最高幹部の一人だぞ! それを殺気だけで……貴様、本当に人間か!?」


 あぁ、遂に魔王にまで言われちゃったか……。

 いや、でもステータス上はまだ人外認定されて無いからね。うんそうだよ。まだ人間………だよね?


「ま…まあ、僕のことは一先ずおいておこうよ。質問したいことがあるんでしょ」


 横道にそれてしまった話を戻す。


「そうだったな。私からの質問は一つだけ、何故我々を恐れぬ、何故人間に接する様に我々と話すことができる」


 あれぇ、何か想像してた質問と違うな。てっきり『何をしに来た。ここに来た目的はなんだ』的なこと聞かれると思ってた。


「うーん、理由かぁ。……今の僕達が中立の立場だからかな?正直、この戦争でどっちが悪いのか情報が少なすぎて判断がつかないから」


 国王に殺されてから考えてみた。あのような男がリーダーの国がまともなはずがない。…そういう可能性を。


 その可能性が現実になるかもしれない。


「ねぇ、僕思ってたことがあるんだけど、君と会ったことでそれが確信に変わったよ」


 僕はその可能性を口にする。


「今回の戦争、仕掛けて来たのは人間側でしょ」



 少しの静寂の後、リリスが口を開いた。


「その通りだ。今回の戦争をあ始めたのは人間側、しかも今回の戦争で魔族は自分から一度も攻めてはいない」


 あれぇ、冗談半分で言ってみたらあってたんだけど…


「ねぇ、初めて会った僕達にそんなこと言っちゃっていいの?」


「魔族を連れ歩いてる奴が魔族と敵対してるとは思えないからな」


 リリスはそれが当たり前かの様に言う


「なっ!私が魔族と気付いてた…」


「まあ、同じ魔族の勘というやつだな。気づいたのはついさっきだが」


 うん、勘凄すぎだね。あれかな、本能的に魔族特有の魔力を感じとってる的なやつかな。


「でも人間側では魔族から戦争を仕掛けた事になってるのは何故なの?普通人間側が悪者になる筈だけど」


「確かに普通ならそうなる。普通ならば、な。ここまで魔族が敵視される理由…それは魔神様が人間の国ゼルバス帝国を滅ぼしたからだ。」


 リリスは悔しそうに歯を噛み締めた。


「魔神様は利用されたんだ。人間側の大規模な精神支配魔法によって狂わされたっ…!全てはエルディム王国、国王の策略だ」


 予想はしてたけど黒幕は国王だったんだ。同じ人間の国を襲わせるなんて……人間としてどうかしてる。

 

 そんな奴が王として人の上に立っているなんて。


「それで、その魔神はどうなったの?」


 リリスの表情が暗くなる。


「あの方は意識を完全に奪われる前に最後の力を振り絞ってガウス大火山に広がる迷宮の奥底へ自らを封印してしまわれた。あの方は言っていた『もし我を倒せる者が現れた時は我を迷わず殺せ』と……だから、お前にとっては他人事かもしれないがどうか我々に力を貸してくれ!何故かお前なら倒せそうな気がするんだ。お前の力は私を越えている、そうだろう?」


 そう言ってリリスは頭を下げてきた。


「それを決めるのは僕じゃない。あくまで僕はクロリアさんを守る騎士だ。全ての判断はクロリアさんに委ねるよ」


 クロリアさんの方を向くと微笑んできて言った。


「全ては仁さんのお好きなように、私はそれについていきます。仁さん、シノさんそれでいいですか?」



「うん、もちろん」

「私も異論はない」


 そして今この世界に魔王と神と魔王の娘と勇者になれなかった僕の奇妙な同盟が生まれた。

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