勇者達の混乱
今回はクラスメイトサイドを書いてみました。
仁君とクラスメイトの接触はしばらく先のことになると思うので、たまぁーにクラスメイトサイドを書くつもりです。
話は仁が神域で目覚める少し前まで遡る。
場所は王城、仁のクラスメイトすなわち『勇者』が集まっていた。
「王様達おせぇなぁ」
そう呟いたのは勇者の一人、佐藤一来だ。ちなみに彼の職業は騎士で防御、運気のステータスが高い。
「ほんと、根暗君連れてどこいったのかな」
今の発言は、笹山未湖。彼女の職業は暗殺者。俊敏と運気のステータスが高い。
「実は、根暗が強力なスキルとかもって『バンッ!』」
一来が言い終わる前に扉が勢いよく開かれ兵士が駆け込んでくる。
兵士は息を切らしながら勇者達に告げた……
「斎川仁様がっ…王城に…侵入した魔族によって…殺されました!」
その言葉によって生徒達の間にざわめきが起こるがすぐに静まった…ただ一人を除いて。
「う…嘘。嘘、そんなの嘘に決まってる!斎川君が殺されたなんて……そんな…そんなの…嘘だって言ってよ!なんで皆平然としていられるの?斎川君が…殺されたんだよ?なんで平然としてられるの!」
美琴は張り裂けんばかりの大声で泣き叫んだ。その様子にクラスメイト達は狼狽える。
最初に口を開いたのは桜井代輝だった。そしてその一言がとどめをさす。
「なんでそんなに泣いてるんだい?だって君は彼に脅されていたんだろう?いつも君が彼に話しかけていたのはそれが理由なんだろう?」
代輝は特大級の爆弾を落としていった。
「ハァ?」
低く静かな怒りの声。その声を聞いた者全ての身体に悪寒がはしる。
「貴方、何言ってるの?私は斎川君に脅されてなんかいないし、彼に話しかけているのも自分の意思よ。何処の誰?そんな嘘を広めたのは?」
「だ、誰ってクラスの皆言ってるよ」
「そうなんだ………それじゃあ皆私の敵だね」
それだけ言うと美琴は扉を開き出ていった。
静まりかえった空間、気まずい空気が流れていた。
「僕達は取り返しのつかないミスをしてしまったんだね………」
代輝の呟きは誰にも聞こえることは無かった。
◇◇◇
王城のとある一室。
そこで如月美琴は独り泣いていた。
「どうして、こんなことになっちゃったのかな…私…仁くんのこと好きだった。まだ気持ちも伝えてないのに……なんで、なんで!」
そして泣いて、泣いて、泣いて思い至った。
「魔族なんていなければ良いのに…」
美琴は決意した。強くなろうとそして仁を殺した魔族を滅ぼそうと…
もうこのまま美琴を戦闘狂にするのもありかもしれない。