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過去

 カン!カン!カン!と甲高い音が工房に響きわたる。


「ふぅ、やっと出来た。ベルグさんこれでどうですか」


 出来上がった少し歪な両刃の剣をベルグさんに見せる。


「まだ形は歪だが初めてにしちゃあいい出来だ」


 これを後何度繰り返せばlv10になるんだろう…


「レベルが上がれば直ぐに歪みもなくなる。頑張れよ」


「はい!」


 そしてまた工房の中には甲高い音が響きわたった。




 それから二晩徹夜して作業を続けた。



「こ…これで最後だ………」


 作った剣はもうすでに100を超え、気力も体力も限界に達しようとしていた。


「なっ!おい、これほんとに只の鉄の剣か?」


 確かにこれは鉄の剣だがlv9で打った剣だ普通の鉄の剣と比べれば天と地の差がある。


「はぁ……やっとlv10になった」


「お疲れさん。一旦休んできな」


 ベルグさんの言葉に甘えて部屋へ向かう。


 ふらついた足取りだったが何とかたどり着くことが出来た。そしてそのままベッドにダイブする。


「あぁ…………もうだめ、少し寝よぅ………………」


 ベッドにダイブした瞬間溜まった疲れがドッと押し寄せてきて既に意識はとんでいた。


◇◇◇


「おい斎川!お前鳥井(とりい)さんに告白されたんだってな。しかも断ったとか」


 ここは学校の屋上、()は五人の男子クラスメイトに囲まれていた。


「それがどうしたんだよ。お前らには関係ないだろ」


「うるっせぇ!調子乗んじゃねーぞ!」


 俺の腹に鋭い蹴りが入る。


「うぅ……くっ」


「俺らはお前の態度が気に入らねぇ。誰もが羨む様な女子達に告白されながらもそれを顔色も変えずに淡々と断っていくお前がな!」


 そしてもう一発腹に蹴りが入る。


「うっ……何で好きでもない奴と付き合わなきゃならないんだ…」


 俺は実際とある理由から女子等には興味が無かった。だから今までの告白全てを即答で断ってきた。


「黙れ!口答えすんじゃねえ!」


 一発、もう一発と蹴りや拳が飛んでくる。


 何分かその状況が続き気付くとチャイムが鳴っていた。


「チッ…もう時間か。続きはまた後でしてやるから覚悟しとけよ」


 そう言って男子達は去っていった。


「くっそ…身体中痛てえ…」


 授業はサボって保健室に行くことにした。



 コンコン


「失礼します」


 ノックをしてドアを開ける。


「どうしたのかしr…って何その怪我!」


「えっと……階段で転びました」


 本当の事を言うとめんどくさいことになりそうだったので咄嗟に変な嘘をついてしまった。


「そんな見え見えの嘘で騙される訳がないけど…まあ、話したくないなら無理に聞かないわよ」


「ありがとうございます…」


「はい、じゃあ怪我の治療するからここに座って」


 椅子に座り怪我を見てもらう。


「ちょっと染みるけど我慢してね」


 腕についた大きな擦り傷に消毒液がつけられる。


「!痛っ」


 そこには直ぐにガーゼがつけられた。他の場所は殆どが打撲だった為、全身湿布だらけになった。


「すっごい湿布臭い」


「そのくらい我慢しなさい」


「じゃ、先生ありがとうございました」


 そして保健室を出ようとすると後ろから声がかかる。


「悩みがあるならいつでも来なさい。話し相手になってあげるわ」


 俺は先生にペコリと頭を下げてから教室に戻った。


◇◇◇


 ふといい香りがして目が覚める。


「ん、ああ夢か……」


 嫌な夢を見たな……


 体を起こそうとすると頭の下に柔らかい感触がした。


「あ、仁さん目が覚めましたか」


 どうやらクロリアさんに膝枕されていたようだ。


「クロリアさんどうして膝枕を?」


「あ、えーとそれはですね。様子を見に来たら仁さんがうなされていたので…迷惑でしたか?」


「いいや、迷惑なんかじゃないよ。むしろ心配してくれてありがとう」


「当然のことをしたまでですよ」


 と、クロリアさんが微笑む。


 そのクロリアさんの笑顔をみたら嫌な気持ちも少し吹き飛んだ気がした。



今回は主人公の過去を少しだけ書いてみました。

まるで別人の様ですが同一人物です。

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