勇者にはなれませんでした
やってしまったよ。
中途半端な小説をきってまた新しいの書き始めちゃったよ…いや、でも続けられそうにないの無理に続けるより新しいの書いたほうがいいよね。うん、そうだよね。
まるでファンタジーの世界の城のようなこの場所に突然連れてこられこの僕、斎川仁とそのクラスメイトは非常に困惑している。
「勇者様方、私は貴方方を召喚したエルディム王国第一王女エミール・エルディムです。」
取り合えず状況を整理してみよう……
さっきまで僕達は教室で授業を受けていて…確か床に魔法陣らしきものが浮かび上がって、気がついたらここにいたって感じかな。
王女様が何か言っているけど正直あまり耳に入ってこない。魔王がどうとか言ってる。
只の学生の僕達が倒せるとは思えないけどこの状況からして勇者には何らかのチートが備わっているはず、よくネット小説とかラノベであるパターンだ。
でも本当にここが異世界ならそんなテンプレ通りに進まないだろうし勇者の能力が以外と弱かったりするかもしれない。
それにしても兄がオタクでよかった。
おかげでこの世界にもすんなり馴染めそうな気がする。
最近兄さんから借りたラノベの内容もこんな感じだった筈。本を読むことはやっぱりいいことだね。
さて、王女様の話も終わったみたいだ。
僕は重要なとこ以外聞いてなかったけどまあ、簡単に説明すれば“あなた方は勇者です!魔王を倒してください”といった感じかな。
そんなことはどうでもよくて、問題はステータスだ。ステータスの見方は王女様が話していた。
えっと…確か……
「ステータスオープン!」
目の前に半透明のパネルが浮かび上がってきた。どうやらこれがステータスみたいだ。
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名前:斎川 仁
性別:男
年齢:17
種族:人間
職業:勇者のなり損ない
lv:1
ステータス
体力:1
精神:1
攻撃:1
防御:1
魔力:1
俊敏:1
スキル
鑑定:lv1 言語理解:lv-
状態
<封印>
称号
<勇者になれなかった者>
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……えっ、何これ。
いやいやいや、確か王女様ステータスが普通の人より高いっていってたよね。
この世界の平均ステータス知らないけどこれは明らかに低いよね。さらに何この職業、僕は勇者になれなかったのかな?
でも、一番気になるのは状態<封印>だよね。このステータスとかもこれが原因の可能性が高いしね。
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<封印>
魂の大きさに合った肉体を使っていない場合に起きる状態異常。能力の99.99…%を使えない状態。魂の大きさに合った肉体に変える以外直す方法は存在しない。
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ひどい、酷すぎる。
僕の肉体ってそんなに貧弱で小さいものだったんだ。
「攻撃10って高いのか?」
周りからそんな声が聞こえてきた。
やっぱりだ。どうやら僕はこのクラス最弱の可能性が高い。
ヤバい、このままでは最悪一文無しで城から追い出されてしまうというのもありえる。
「ねぇ、斎川君大丈夫?さっきから思い詰めてる気がするけど」
「あ、うん。大丈夫だよ。それより如月さんは大丈夫なの?」
「ちょっと混乱してるけど大丈夫だよ」
話しかけてきたのは如月美琴。
男子にも女子にも人気のある美少女で僕に気をかけてくれる優しい人だ。
まあ、そのせいで男子に目の敵にされてるんだけどね。
根暗な僕が彼女と仲良くしてるのが気にくわないのだろう。
人の視線が苦手なため髪を伸ばしていて目元が完全に隠れているので根暗に見られるんだと思う。
この見た目のせいであんまりクラスメイトと交流は無かったからなぁ。多分、如月さんはクラスに馴染めてない僕を心配でもしていたんだと思う。
どうしようか考え込んでいると騎士に呼び掛けられた。
「これからステータスの確認をするのでここに順番に並んで下さい」
「…はい、わかりました」
うっ、あのステータスを見せたらどうなることやら。まぁ、でも仕方ないから並ぼうか。
すると計測を行っていた別の騎士が驚きの声をあげた。
「桜井代輝さん…職業は勇者、全ステータス20!?」
だと思ったよ。勇者っぽい雰囲気出てるもんね何か。流石クラスのリーダー的存在だ。
他にも特に代輝の取り巻き達のステータスが高かった。藤堂漣、職業は剣士で体力、攻撃が共に20。差江崎風馬、職業は弓使いで精神、俊敏が20。如月美琴、職業は魔法使いで精神、魔力が20。新田爽花、職業は僧侶で精神、魔力が20。
みんなオーバースペックだなぁ。
あっ、ちなみにレベル1でステータス20はこの世界だと強いらしい。
「次、斎川仁さん。」
おっと、僕の番がきたみたいだ。僕のステータスみてどんな反応を示すだろうか。
「ではこの石板に触れて下さい」
「はい、分かりました」
言われた通りに石板に触れてみる。
僕のステータスを見た人が顔をひきつらせて国王と女王のところへ走って行った。
そういえば、王女様の存在感強すぎて国王と女王の存在忘れてたね…いたんだ。
さっきの人が国王に何やら話している。
国王は顔色は変えてないみたいだけど明らかに不機嫌になってる。
ん?おっと、さっきの人が帰ってきた。
「すみません、あなたはこっちについてきて下さい」
どこに連れていかれるんだろう。
まあ、ついていくしかないよね…はぁ。
僕が扉をでると後ろから国王と王女様が来てそのまま別の部屋へと案内された。
中に入るとそれまで口を閉ざしていた王女様が口を開いた。
「御父様、彼をどうするおつもりですか」
「この場で直に死んでもらうつもりだが」
ちょっと待って!予想してたより明らかに不味い状況になってる!
「待って下さい御父様!彼には殺される理由などありません」
良かった王女様はまともみたいだ。このまま国王を説得して下さい!
「理由ならあるではないか。彼がここにいても戦力になるわけがないだろう。ただの穀潰しだ。城の外に追放してもこちらの戦力が相手に伝わる可能性がある」
「っそれは……ですが私は彼を殺すのには反対です!」
国王は王女を無視して兵士に指示を出す。
「御父様っ!」
暴れる王女を兵士が取り押さえる。
国王がこっちに近づいてきた。
「最後に何か言い残すことはないか?」
「本当最悪な死に方だよ」
それを最後に僕の意識は途絶えた。