2-18 テンプレ君風呂場を完成させる
目が覚めたのは陽が出て間も無くといった頃だった、もちろん目覚めは最悪で前と同じく顔も股間もガビガビだ。これで風呂でも入れりゃいいが風呂はまだ完成していないんだよな、さっさと作って早く入りたい。
それから今夜はゲラール商会へ計画書をしにいかないと、計画書は先日概ねまとめた物からバンジャマンさんのおかげで特に大きな変更を必要としない為後は内容を最終チェックし仕上げてしまえば完成出来る。
ああ、今日からファビオ・マリカ・コレットさんの治療を開始するんだからペニシリンも作っておかないと、青カビが思いの外順調に培養してくれているので予定よりも早く治療を開始でき事になった。
しかしなんだかんだ言って今日も忙しくなりそうだ、一つ一つ確実にこなしていかないとな。
考えがまとめ終えると、手早く身支度を整え先ずはペニシリンの製造を終わしてしまう事にする。
アイテムボックスから液体培地を一つ取り出し中の青カビからペニシリンを抽出していく、うん思った通りかなり良質のペニシリンが出来た。
それから投薬の為の注射器をガラスで、注射針をステンレスで作っておく。しかし俺は注射なんてした事ないんだよな、ファビオの奴でしっかり練習しないと他の人になんて投薬できないな。ファビオはいいのかだって?あいつなら別に心が痛まない、むしろ少し痛い思いをした方がいい。
そんな事をやっているとセシールが朝食の準備が整ったと呼びに来たので下へとおりていく、食堂には既にみんな揃っていた。
「みなさんおはようございます、お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。」
「おはようございますユーゴさん、昨日貰った寝具本当に良かったわ。朝の目覚めも全然違ったもの、本当にありがとうね。」
「それは良かった、プレゼントした甲斐がありました。」
まっさきに奥さんがそう話しかけてきた。目覚めが違うのはマットレスのおかげだけではないのでは?なんて事を言える訳もなく無難な回答をしておく。デボラの顔を見てみると顔を真っ赤にしている、同じ様な事を考えているな。
それから早速みんなで朝食を頂く事にする。今朝の朝食はオムレツに腸詰めとニンジンのサラダ、そして食パン。食パン出来たんだな、食べてみると俺がよく食べていた食パンよりも甘みは少ないがふんわりもっちりしており味もさっぱりとしていてかなり美味い。
さすがガストンさんだ、この短期間でこれほどのレベルのものを作り上げるとは。
「ガストンさん、素晴らしいパンが出来ましたね。」
「ああ、やっと自分でも納得出来るものが作れるようになったから出してみたんだ。お前のお墨付きを貰えて安心したよ。」
みんなにも好評で結構な量があったはずの食パンはあっという間に無くなってしまった。
食事を終えるとデュルケーム商会の面々も交え恒例の報告会を行い今日の指示を与えていく。
「まずデボラ、今日からデニスさんとタハミーネさんにウマル君と一緒に冒険者活動を行って貰う。デニスさんとタハミーネさんは経験も豊富でそれぞれ高い能力を持っている、よく勉強させて貰うように。セシールとエディ君はエリアさんと各部屋に入れる新しい寝具を用意してるのでちょっと大変だが各部屋への配備を頼む。ジジちゃんはみんなのお手伝いを頼めるかな?私は昨日に引き続き裏庭の風呂場とトイレの建築を行う、夕方には冒険者パーティが来るだろうからコレットさんも含め治療を行ったのち例のプロジェクトの計画書を提出してくる。それじゃあみんな、今日も1日頑張ろう。」
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みんなへの指示を終え昨日の作業の続きに入る、まずトイレの屋根にアングルを組んで大型貯水槽を設置し給水口と送水口にバルブを付ける。
それから深井戸用手押ポンプを取り付け給水口と配管し、水がキチンと吸い上がるか確認する。
その後歯車を組んで地上でも給水できる様に試行錯誤しどうにか女性の力でも汲み上げられる様にする事が出来た。
次に風呂やトイレへと給水管を配管大型水槽の送水口とつないでしまえば概ねの配管工事は完了する。
続いて内装に取り掛かる、防水・透湿シートを貼り断熱材を入れ再び防水・透湿シート貼りアルミ合金を貼っていく。脱衣所も同じ様に防水・透湿シートで断熱材をサンドイッチして内壁と天井へ木毛コンクリートを貼っていく、その後床に床材の木を敷いていきフッ素コートを施す。脱衣所には木製の脱衣棚と籐の籠を用意しておく。脱衣所と風呂場の間には磨りガラスの引き戸を取り付け、出入り口は木製の引き扉を取り付ける。
トイレの内装も脱衣所と同じ様に仕上げる、最後に各設備を設置していこうという時昼食が出来たとセシールが呼びに来た。
そうか、いつの間にかもう昼か。しかしこのまま中途半端なところで作業中断する気にはなれず先に食べててくれる様伝え作業を続行する。
湯船に水を張るため配管していた給水管に蛇口をつけ大きな蓄熱石を設置し貯めた水を温められる様にする。
洗い場には貯水槽から給水配管された縦長のタンクに蓄熱石を埋め込んだものを壁に取り付け上部にはコック式のシャワーとその下に蛇口を取り付けたものを3式用意した、湯が欲しければセルフで温めて湯にしてもらうつもりだ。これで風呂場は一通り完成とし引き続きトイレの設備に取り掛かろう。
用意していた便器は元の世界でもよく見かけた陶器製のタンク式洋式トイレだ、他にも床から立ち上がるタイプの男性用小便器も作ってある。男性用トイレには小便器2つに個室の大便器を1つ、女性用トイレには個室の大便器を3つ設置しトイレも完成だ。試してみたが便座冷たい他は概ね問題無い使用感だった、便座冷たいの座った時冷っとして嫌いなんだけどこれはもうしょうがないよな。
続いて念願の風呂を試す、まず湯船に水を張り蓄熱石に魔力を流しお湯を沸かす。水量は多いが熱湯にする訳では無いので魔力の消費は結構少なく及第点かな?服を脱いでシャワーから試す。タンク式のシャワーは沸かしたお湯で髪と身体を洗う程度は充分な水量が貯まる事を確認しお待ちかねの風呂に浸かる。
ハアァァァ、口からでちゃいけないものが色々と出ちゃうんじゃないかってぐらいの大きな息が漏れた。やはり風呂はいい、しかもこんなデカい風呂を独り占めである。
俺は久しぶりの風呂を堪能し身も心もスッキリした後覆っていた幌をしまい宿の井戸にも手押しポンプをチャチャッと取り付けてしまい食堂へ向かう。
食堂ではコレットさんが主人に今朝食べたパンの作り方を教えて貰っている様だった。
「おう、作業はひと段落ついたのか?」
「ええ、おかげ様で完成させる事が出来ました。遅くなって申し訳ないんですが昼食をいただけます?」
「完成!?お前作り始めたの昨日の夕方じゃねえか、どうやったら1日で風呂場が出来んだよ。」
「まぁそこはもういいじゃないですか、今日からもう使えますので後ほどみなさんにも使い方は説明しますよ。」
「はぁ、わかったよ。お前がやる事にいちいち驚いてたらこっちの身がもたんな、飯は今用意するから待っててくれ。」
そう言うと厨房へ下り食事の用意をしてくれた。食事をしていると部屋の準備をしていたみんなが休憩をしに戻ってきた。
「どうだ、寝具の配備は順調か?」
「はい、どうにか全ての部屋へと配備が完了したところです。後は各部屋を掃除して整えれば終われると思います、ユーゴ様の方は如何ですか?」
「ああ、無事完成したよ。そちらも一段落ついたなら使い方を説明したいので時間を取れるかい?」
「ユーゴ兄さん、自重が足りないよ。お風呂を1日で完成させる事は明らかに異常だからね、ここでならもうユーゴ兄さんのやる事だからで済むけど外では気をつけてね。」
エディからの耳が痛いツッコミはスルーし食事を急いで終わらせるとみんなと一緒に裏庭に向かう。
裏庭に着くとみんなが唖然としている、ん?どうしたんだ?
「ユーゴ兄さん、なにこれ?」
「なにこれって風呂場とトイレだよ。」
「それは聞いていたけどなにこの建物、土台は石組みで壁はこれ金属かな?金属で出来た建物なんて見た事もきいた事もないよ。」
「それにお前、どうなってんだよ。1日で作った組立式の建物なんて言うからどんなもんかと思ったらこんな立派なもんとは、これ組立式じゃねえだろう。」
「これは故郷の建築方式で故郷では結構一般的なんだ、この金属製の壁は雨に濡れても簡単には錆びたりしないし結構耐久性がある。それにこの建物自体6つに分かれるんだけどそれをこの石の上に乗せて連結しているんだ。だから用が済んだらまた6つに分解して移動できる。トイレも同じであっちも6つ連結して建ててある。そんな事より使い方がちょっと変わっているので説明しますよ。」
そう言って各設備の使い方を説明していく、いちいちツッコミや質問がはいる為なかなか進まないがようやく一通りの説明を終える。
トイレは非常に好評でロータスでも受け入れられそうなので一安心だ、手押しポンプにはエディがやけに食いつき説明するのに骨が折れた。
その後宿の井戸にもつけた手押しポンプについても説明する、これには奥さんがすごい勢いで感激していた。水汲みは奥さんの朝の日課だったが相当な重労働だった、その為こんなにも簡単に水が汲める様になったという事は何よりも嬉しかった様だ。気をよくした俺は汲んだ水を運ぶためのショックアブソーバー付きのアルミ製手押台車も出してあげたら涙目で抱きつかれてしまった、ちょっ勘弁してくれ。
利かん棒が調子付くのをたしなめながら、風呂を試してみる様に勧める。その際石鹸は勿論シャンプーにリンス、バスタオルにタオルを使い方の説明をしながら渡す。主人には髭剃りもついでに渡しておく、これらのものは宿で宿泊者へと販売するつもりなのだ。
その後女性陣から試しに風呂を試していく様だった、試し終わったら一度水を抜いて清掃して今夜くる予定の客が使える様にしておくようにを頼み部屋へと戻る。




