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仔龍の轍  作者: ぱんつ犬の飼い主
第一章 プロローグ
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状況を整理しよう

 一体どうなってるんだ。


 訳の分からない状況に頭が混乱している。

 だがそれも仕方がないと言えよう。だって本当に訳が分からないのだから。


 何も無いところで(つまず)くとか、楽しみに取っておいたプリンが冷蔵庫から消えてるとか、会社から帰って来ると前に会社の付き合いで行ったキャバクラで貰ったキャバ嬢の名刺を食卓に置いた妻が鬼の形相で睨んで来るとか、そんなレベルの話じゃない。


 取り敢えず、状況を整理しよう。



◆◇◆◇◆



 俺は東京の郊外に住む、至って平凡な17歳の男子高校生だ。

 都心と比べると圧倒的に人口密度の低い、静かな街に住んでいる。

 大手企業に勤める会社員の父と、専業主婦の母に育てられ、今まで貧しい思いもせず、なかなか恵まれた環境で育って来た。

 家から徒歩10分の平凡な高校に通い、幼稚園からの付き合いの幼馴染み達と平凡だが楽しい高校生ライフを送っていた。

 部活には入っていなかった。昔から飽きっぽい性格で、色んなことに手を出してみたが、どれも長くは続かなかった。そのため、どうせ辞めるんだから、と言う諦念にも似た思いが俺の足を踏み留まらせた。

 それでも、一年の頃から文化祭などの学校行事には張り切って臨んだし、コンビニのバイトで小遣いを稼いだり、仲の良い友人達と休日に出掛けたりと、個人的に満ち足りた生活を送っていた……筈だ。


 なのに、俺の目の前に広がっている光景は何だ。


 自室の見慣れた机やベッドでもなく、高校の同級生達が騒ぐ廊下でもなく、バイト先のコンビニの雑多な陳列棚でもない。

 天井に大きな穴の開いた、ドーム型の空間。壁面はごつごつとした岩壁に覆われている。見上げれば、穴から覗く灰色の雲が渦巻く薄暗い空。そして真下には、それらを真っ赤に染め上げる赤いマグマ。

 そこは火山の火口の様な場所だった。


 それだけではない。

 いやこれだけでも十分パニックになり得る状況なのだが、それだけではないのだ。


 俺がいるのは、岩壁から()り出た巨大な岩棚、そこにできた、小さな窪みの中にいた。

 窪みの中には柔らかい羽毛の様なものが敷かれており、マグマの熱もあって、とても暖かい。


 さて、問題はここからだ。


 俺の周りには、粘膜に覆われた、卵の殻の欠片の様なものが散乱していた。“様な”と言うより、完全に卵の殻だ。大きさが異常なだけの。

 散乱している欠片の大きさから推察すると、元の卵はダチョウの卵など比にならないほどの大きな卵だっただろう。それこそ、俺一人くらいすっぽり収まるくらいの。


 そして、更に俺の両脇には、見たこともない生き物が、二匹。

 一見、トカゲの様に見えるその生物。細かな鱗に覆われた体表には、卵のものと思しき粘膜がこびり付いている。

 産まれたばかりからか、閉じられた巨大な目に、物語に出て来る悪魔の様な尖った耳。頭の両端には小さな突起がある。そして、その背には、身体と同じくらいあるんじゃないかと思われる、一対の翼。

 淡い桃色に彩られた幼いその姿は、伝説上の生物、“ドラゴン”に酷似していた。

 二匹は、口を大きく開けて、「みゃあみゃあ」と鳴き声を上げている。……猫か。


 まさかと思って、自分の手を見る。霞む視界には、予想通りと言うか何と言うか、小さな爪の生えた、鱗に覆われた小さな手が映った。

 衝撃だった。

 あまりの衝撃に目眩がした。フラッとよろめき、後ろにころんと転がってしまった。

 その時、自分の背に翼が生えている事にも気付いた。


 そして、俺の眼前には、優しい目をした真紅の巨大なドラゴンが俺を含めた三匹を慈しむ様に見つめていた。

 俺達のちょっとした仕草や、じゃれあっているのを見て、目を細めて嬉しそうにしている。


 現実味が無さ過ぎてもう頭が考える事を放棄しそうだ。

 夢ではないかと思う事も何度もあった。しかし、その度に片方の赤ちゃんドラゴンが俺の頬を蹴飛ばして来て、現実逃避している俺を無理矢理現実に引っ張り出す。


 この工程を何度も繰り返していくうちに、俺はとある仮説を立てた。

 こうゆう状況は、ライトノベルなどで読んだ事がある。


 いわゆる、“転生”と言うヤツなのだ。


 あまりにも突飛な考えだが、それならこの現状の全てに合点が行く。……そもそも、それ以外の答えが全く浮かばない。

 そう考えていると、妙に納得できた。


 うん、なるほどな、転生か。納得。






 …………ええ?

初めまして、作者です。

のんびりペースは遅めですが、誤字脱字時系列の齟齬など無いよう頑張ります。

語彙が少ないとか、文章が稚拙だとかあるかもしれませんが、頑張ってレベルアップさせていきたいです。

最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。

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