5.書くを考える
ここまでで、設定とストーリーは大体できました。
できたとしましょう。
そうなると最後は「書く」です。
一番の理想は、「3.設定を考える」と「4.ストーリーを考える」の二つが完璧で、
もう無心で書くだけで完了する流れです。
具体的に言えば、「3.設定を考える」と「4.ストーリーを考える」でできたものを、
赤の他人に渡しても問題なく想定通りの小説ができあがる。
これが一番いいです。
美少女ゲームシナリオとかだと、設定(世界観・キャラクター)とストーリーは完成していて、
ひたすら書いていくだけの業務ってのがあるそうですね。
Writingと呼ばれるお仕事です。
ただ噂によると、「登校する主人公がヒロインと会話する」ってだけのプロットを渡されたりするそうなので、無心に書くだけで済むのかは疑問ですが。
閑話休題。
楽に書くのはどうしたらいいか。
どうしたらいいんだろう……。
大体書けなくなる原因の殆どは、「設定」か「ストーリー」のどちらかが決まってないせいな気もします。
後はどうすれば「膨らませるか」って辺りでしょうか。
「4.ストーリーを考える」で考えた豚とのバトルシーンでも試しに書いてみますか。
書く必要があるので、事前にあの戦いを具体的にどう進めるか決めていきます。
巨大な豚と戦う。←どうやって戦う?
Answer:どうやって?←んー、じゃあ、何で戦う?
Answer:剣で←どんな剣で。つか何で持ってるんだよ。
Answer:刀みたいなやつ。倒れてる戦士から拾った。←おいおい、ファンタジーだろ。あと戦士ってどんなやつだよ。
Answer:戦士は設定面倒なので却下。じゃあ、刀は道に落ちてることにして、伏線にして後で考えよう。←オーケー、ちゃんと拾うんだろうな……。じゃあ、どうやって倒す? 剣ってことは斬るのか?
Answer:斬る。←相手は確か「強い」って設定だろ?主人公はいきなり2メートル強のやつに勝てるくらい強いのか?
Answer:そこまで強くない。知恵を駆使して倒す←知恵って何だよ。
Answer:んー←じゃあ、罠にはめるとかそんな感じか?または弱点があるとか?
Answer:罠はかっこ悪い。偶然弱点があることにしよう←ご都合主義だな。
Answer:弱点考えるのは面倒だから却下。知恵を駆使も面倒だから却下。←どう勝つんだよ。
Answer:偶然勝つことにしよう。で、高いとこから落ちたらうまく勝てたとか。後でネタにする←オーケー、弱いのに勝っちゃうというという謎展開にするのな。何で高いとこに登ってんだよ。そいつは?
Answer:逃げて、かな。やっぱビビるし、でかい豚とか←オーケー。じゃあ、それで行くか。
【戦う流れ】
主人公豚と戦う⇒逃げる⇒高いとこから偶然剣で倒す。
で、文章にしますか。個人的には「逃げる」までの流れのストーリーを詰めた方がいいと思いますが、まあ面倒なので、そこは即興でいきます。
後、設定も適当に即興でつけます。これまでの楽方法を元に。
【文章】
「――――強い」
僕は誰も居ないと言うのに呟いた。
敵。
眼前には巨大な化物。
2メートル強はあると思わる豚の化物。
(どうしたものか……)
対するこちらは、年端もいかない若造。
つーか、高校生だ。
少し前まで高校に通ってた普通の学生だ。
手には似合わない剣。
刀、に似ている。が、何故この場所に落ちてたかは不明。
「GRRRRRR……」
豚が吠える。勝てない……。そう思えていた。
「こういう時は」
僕は思考した。あっちが化物なら、こちらは人間なりの『戦い方』がある。
「こういう時は逃げるのが勝ちなんだよ――――ッ!」
無論、追ってきた。
「うわわわあぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁあ!」
「GRRRRRRRRRRRRRRRRR……ッッッ!」
逃走、逃走、必死に逃げて、木の上にどうにか登る。
「はぁ……はぁ……っ」
「GRRRRRRRRRRRRRRRRR!」
咆哮上げる豚野郎。どしんどしん、と木を揺らしてくる。
どしんどしん。
どしんどしんどしんどしん。
どしんどしんどしんどしんどしんどしんどしんどしんどしんどしん。
(おい、ちょっと……ちょっとちょっと!)
揺れる、揺れる木。マズッ。殺される。落ちたら間違いなく殺される。
「う、うわっ!」
投げ出される身体。
目の前には豚野郎の顔が映る。
(畜生……)
敗れた。そう思った。が、僕は同時に「負けてなるものか」と思った。
(こんな訳の分からないところで、僕は、"もう一度"死ぬことになるのかっっ……!)
遡る記憶は、鮮血の赤。
鋼鉄の塊。トラックの激突音。
(――――生きる!)
僕は手にした刀をしっかりと構えた。剣。いつも振っている竹刀とは違うけれど。でも、いける。斬ってみせる。
僕は落下と同時に豚野郎の前に、刀を添えた。
奴は油断しきってる。
(――――斬れる!)
一閃。
断ち切って、感じるは大地の衝撃。どしんと落ちて、次いで聞こえる、スパッとした音。
斬ったのだ。
僕が落ちると同時に、僕は豚を斬った。そして、僕は大地に落ちた。落下して、倒れた。豚の斬れた音が聴こえた。
それが全てだ。
(やった‥…)
僕は勝利を覚え、そして眠りに落ちた。
こんな感じでしょうか。
いろいろ設定を追加しました。主人公の年齢が決まってなかったので高校生に。
逃げる理由を格好いいものにするために、逃げるとは「人間なりの『戦い方』」って設定を追加しました。
高いとこから偶然剣で倒すも細かく刻みました。
※途中から長くなりそうなのでテンポ早めました。本来なら、逃げるとこから始めるべきですね。序盤無駄すぎる。
今マジで即興で書いてみて分かったのは、とりあえず「設定」と「ストーリー」がある程度のレベルまで決まってれば、書けるな、ってことでした。
むしろ書けないってことは決まってないってこと。
どこまで細かく刻むかは、その人次第な気がします。
書けねー場合は、「設定」で足りてねーとかがあるか、「ストーリー」を細かく刻んで話を作っていきましょう。
で、文章の表現をどうすれば楽に書けるか。バトルシーンなのでかっこよさげになるよう気をつかいましたが、普通のシーンは、そのまま「設定」と「ストーリー」を書けばいいような気もします。
実際、そのまま書いてるとこもあるし。
ちょっとここは楽にする方法ないか、考えます。
【要約メモ】
・大体「設定」と「ストーリー」決まってないのが悪い
・文章の表現についてはどうすれば楽にできるのかまだ謎