プロローグ
当作は乙女ゲーの傍観者と言う私の短編を、リクエストをありがたくも頂戴した為連作にして作った話であります。
少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
この世界が所謂乙女ゲーの世界だと気がついたのは、高校の入学式の朝起きた時だったか。
いや、正直突然そんな記憶が蘇っても、ぶっちゃけ頭がおかしくなったんじゃないか心配の方が先に来てしまったっけ。
結局確かめる術はないので、もしかすると俺の妄想なのかもしれないが。それにしては酷似している事が多すぎて、とりあえず前世の記憶だとして受け止めている。
そう、受け止めるまで丸一週間も掛かった訳だ。いや、寧ろよく一週間で開き直れたな俺。それもこれも前世の人格と混同したりしなかったお陰もあるだろう。
もししていたのなら俺が俺じゃ無くなった訳で、考えるだけでもゾッとする。
流石に影響を全く受けない事は有り得ないだろうけど、僥倖だったと言っていい。
他にもホッとしている点が1つあって、俺自身は名前すらない、そもそも登場しているかも怪しいモブキャラだった事。
これは本当に良かった、確かにもっと容姿がいいならと思わなくもないけど、十人並みはあるしつまりファッション等ちゃんとしていれば相応には見てもらえる訳だ。美形過ぎて中身を見てもらえないと攻略キャラの1人はそんな悩みを持っているはずだったし、何事も行き過ぎれば良い事は少ないのかもしれない。
それに、もし攻略キャラだったとしたら主人公にちょっかい掛けられるかもしれないし、俺が主人公を好きになった場合、本当に自分の感情なのか信じきれないと思いから。
いや、別に主人公と付き合いたいとかそんなのじゃなく、勿論可能性の話だが。
ともかく、1週間過ぎてようやく晴れて高校入学出来たような気がした訳だ。
間の悪い事に大切な新しい生活のスタート時に悩むのに精一杯で新しい友人を作れなかったのだけど、まだまだ手探りの段階でもあるし、これから探せば良いと思う。
万が一新たな友人は出来なくとも、数人は同じ中学からの友人はいるし、そんなに思い悩む必要はないからな。
それに、趣味が悪いかもしれないが主人公と同じクラスなので、勿論隣の席とか何か関わりがあるわけじゃないのだけど、だからこそ彼女が何をするのかゲームとの違いを見て楽しもうと思う。
場合によっては助けても良いかもしれない。盗み見する訳だ、寧ろそのくらいはして然るべきかもしれないな。
そんな思いを胸に、ようやく晴れ晴れとした思いで俺は登校するのだった。
タグは色々迷いましたが、進行状況に合わせて増やそうと思います。
それではご閲覧頂き誠にありがとうございました。