表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4姉妹の日常  作者: Dimension Girl
恋模様編
9/28

美咲の恋模様4

 今日のお父さんの店の一角には、私たち4姉妹に賢人、そして急遽誘った凪沙ちゃんが来ていた。

 お客さんも多い中、お父さんは子供総勢7人に得意のフランス料理を振舞ってくれた。と言っても、しっかりしたフルコースではないけど。割とすぐに出来るものを用意してくれる。

 「今日は『牛肉の赤ワイン煮』と軽めのオードブル。スープは『ブイヤベース』にしたよ。デザートもあるからお楽しみに。」

 お父さんが、忙しいながらにも私たちのところへ出向いてくれた。いつも私たちがここでご飯を食べると、決まって顔を出してくれる。

 「あ、お父さん?暇が出来たら、ちょっと話があるんだけど…。」

 「おじさん、僕からも。」

 お父さんは、じゃあクローズまでここにいればいい、と言い残し、また厨房に戻っていった。 

 いつも通り、お父さんの料理はおいしい。日本料理とか、フランス以外が作れないなん

てうそみたいなのよね。

 「どうしたのお姉ちゃん~。賢人君と揃って話なんてさ~。」

 胡桃は、ニヤニヤしながらスープを口に運んだ。さすが胡桃。こういう話には敏感な子なのよね。陽向も、胡桃と同じ表情で笑っている。

 「おねえ、もしかして2人の仲が進展した報告しに来たんじゃないの?」

「そうだよ…。やっと気付いて貰えたんだよね。ここまで遠い道のりだったよ。」

賢人は、少し溜め息をついた。はいはい、どうせ私は鈍いんですから。

「みっさん、良かったですねぇ。ついに恋人になれて!」

な、凪沙ちゃん…。

 

 クローズの時間は10:30で、雪奈は座ったまま眠ってしまった。お父さんは、すぐに私たちのところに来てくれた。

 「それで、話って?」

 何か言おうとした私を手で制して、賢人は口を開いた。どうやら、賢人から言ってくれるらしい。

 「おじさん。あの、今日からなんですが…。美咲さんと、正式にお付き合いさせて頂くことになりました。」

 「お父さんには、すぐに報告しておこうと思ったの…。」

 お父さんの反応には、正直驚いた。普通に、良かったなぁ、なんて言ってるんだから。

 さすがお父さん。おおらかで物分かりがいい。

 「ほら、美咲は未来を亡くしてからずっと、学生らしい生活を送らせてあげられなかったからなぁ。美咲がこういう話をしてくれるのを、待っていたのも正直なところだ。」

 「お父さん、そんなこと思ってたの?」

 本当に、いいお父さんだと思う。娘のことは誰よりも分かっていて、気遣ってくれていて。

 「それに、相手も相手だしな。賢人君なら、安心だよ。」

 「そ、それは、ありがとうございます…。」

 そして、思いがけず信頼されていた賢人。嬉しそうに顔をほころばせ、私の肩を少し引き寄せて言う。

 「と、言うわけでこれからよろしく!」

 

 帰り道。凪沙ちゃんの家に彼女を送り届けて、4姉妹での帰り道。お父さんは、今日は店に泊まりだと言っていた。

 「おねぇ、良かったね。ようやく、賢人君の気持ちに気付いてさ。」

 「そうよ。あたしたち、ずっとヤキモキしてたんだから~。両想いってこと、バレバレなのにいつまでたっても付き合わないんだもん。」

 陽向と胡桃は口々に言う。雪奈だって分かってたわよ、と胡桃。

 「しょうがないじゃない…。全然気付かなかったのは事実なんだから…。」

 この手の話に疎いことくらい、あんたらが一番知ってるんでしょ?

 「でも、何かお姉ちゃんに先越されるなんてちょっと悔しい。あたしの方が早く彼氏出来ると思ってたのにさぁ。」

 「胡桃はしばらく無理なんじゃない?まずその我儘な性格直さなきゃさ。」

 「どーゆー意味よ?ひなちゃんっ!!」

 相変わらずとも言うべきか、2人の喧嘩が始まった。そんな2人を遠目に見ながらふと思う。

 彼女って何するのか。そもそも付き合うって、幼馴染でいた頃と何が違うのか。

 まぁ、今は分かんなくても、そのうち分かっていけばいいよね。

 きらめく上弦の月が光る夜、私はまた一つ、成長した気がした。 

 

 

恋模様美咲編はこれで終了!まぁ、まだまだ進展はありますが。

次は、陽向のせつない恋模様が始まります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ