美咲の恋模様2
「美咲が俺のこと恋愛対象として見てたかは知らないけど…。俺は、もう幼馴染だけじゃ嫌だって思った。」
「賢人…?」
「俺達もう高校生だよ。」
私は、はっとする。賢人は、続けた。
「俺のこと、男だって見てくれるなら付き合ってほしい。ただの幼馴染でしかないんだったら…。」
ただの幼馴染じゃないことくらい、もう分かっていた。でも、それが恋なのかそうじゃないのか、私にはまだ分からないのかもしれなかった。
「ただの幼馴染だなんて、思ってないよ。誰よりも一番近くにいたし、仲もよかった。誰よりも、分かってくれてるし、私だって、賢人のこと誰よりも分かってると思う。」
「美咲がこういうことに鈍い事くらい、分かってるよ。幼馴染として、俺は分かってあげなきゃいけないのかもしれない。美咲が気付いてくれるまで、待っているべきなのかもれない。けど…。」
まっすぐな賢人の言葉。私は、もう自分の気持ちに気付き始めていた。ただの幼馴染じゃなかったら何なのか。賢人は、私にとってどんな存在だったのか。
「覚えてる?美咲の母さんが亡くなったとき、俺言ったよね?『美咲は、俺が守る』って。それ、幼馴染として言っただけじゃない。好きだったから、本気で美咲のこと好きだったから、こんなこと言えたんだよ。」
覚えてる。お母さんが死んだ時、私は中学生になったばかりだった。陽向や胡桃はまだ小学校低学年だったから、泣いて泣いて、母の死を悲しんでいた。お父さんも、大事だった妻を亡くしたからか、賢人のご両親、暁君のご両親、凪沙ちゃんのお父さんに支えられて、何とか平常心を保っていた。雪奈はまだ2歳で状況を全く理解していない。
そんな中で、私が強がらなきゃいけない。北原家を守らなきゃって、12歳ながらに感じていたんだと思う。だから、絶対に人前じゃ泣かなかった。
お通夜が終わって、賢人のご両親がお父さんと泊まり込みしてくれて、私たち4姉妹と賢人が斎場の別室で眠らされていた。
私と賢人以外は、泣き疲れて眠っていた。
「いいよね、この子たちは。まだ小さいから、思いっきり自分の感情を表せて。泣きたいから泣く。こんな簡単なことなのに、私は出来なかった。」
「美咲は、ただ北原の家を守りたかったんだろ?お前が泣いたら、誰が北原家を守るんだ、って。」
賢人の言葉に、私は気付けば涙が止まらなかった。今まで我慢していた感情は、とどめを知らなかったかのように。
「美咲が北原家を守るんなら、俺は美咲を守るよ。」
賢人は、そう言って私を引きよせてくれた。私は、一生分に近いくらい、あの時泣いた気がする。
思い出して、賢人への想いにすべて気付いた。答えを出す時が、来たんだと思う。