胡桃が語る「夜の日常」
三女の胡桃が語ります♪
「ちょっと、胡桃!!今日は陽向が買い物に行ってるんだし、少しぐらい雪奈を手伝いなさい!!」
携帯での情報交換中、突然お姉ちゃんに携帯をとられた。
今、大事なとこなのに!!学年イチのイケメン君のタイプが、わかりそうなのにっ!!
帰って来て早々、あたしを怒ること無いと思う。それに、いつもはひなちゃんこそ、何もしてないじゃんか。
口を尖らせるあたし。お姉ちゃんは、なおも怒りながら、1階へと降りていった。お姉ちゃんは、死んだお母さんよりずっと主婦っぽいと思う。遅刻スレスレを繰り返すひなちゃんや、あたしにすぐ怒る。いや、怒ると言うより、叱ってる?!って感じ。(そう言えば、雪奈に怒っているところを見たことないな。雪奈は、真面目だからか。)
また、携帯に戻るあたし。
あ、イケメン君って、真面目でおとなしい子好みなのかぁ~。
うちの雪奈なんてぴったりじゃない。
今日の夜ご飯は、トンカツとポテトサラダ。ひじきの煮物。いつも夕食は(っていうか、食事全般は)お姉ちゃんが作っている。
「ごめん、明日私昼ご飯作れない。陽向、明日家にいる?」
「お姉ちゃん、賢人君とデート?」
あたしはニヤニヤしながら言う。賢人君とは、お姉ちゃんの彼氏…と言いたいところだけど、あの2人、実際のところ恋人じゃないんだよなぁ…。他人から見たら、彼氏彼女なのにさ。
これは、100%、鈍いお姉ちゃんが悪い!!
「デートって言うか…。賢人が水族館のタダ券持ってて、どうせ暇だから行こうってなっただけなのよ?」
それ、完全に賢人君誘ってるの、お姉ちゃんの事!ってか100%デートじゃん!!
お姉ちゃん、鈍すぎ!
「あたし、明日は一日中部活。もうすぐ試合があるから。胡桃、どうせずっと家にいるんじゃないの?」
くっそ、ひなちゃんは部活かよ。ってことは、明日の昼、あたしが作るの?!
めんどくさ~ぁ。
「じゃ、胡桃。お弁当作っておくから、適当に食べといて。あ、洗い物ちゃんとしといてよ?雪奈に任せるんじゃないわよ!!」
「はいはい。」
作らなくていいのは、助かったけど。
あ~あ、あたしも何か部活入っとけばよかったなぁ。
「くるみおねえちゃん、お風呂、次どうぞ。」
雪奈が部屋に入って来て、急にあったかくなった。
「明日、わたしが洗い物するよ?みさきおねえちゃんはああ言ったけど。」
雪奈って、ホントに出来た子。可愛くって、成績も良くって、性格も完璧。
「いいわよ、別に。面倒なだけだから。」
「わたしはみさきおねえちゃんに、告げ口したりしないよ?」
「嫌って訳じゃないから。それに、無理やり妹にやらせるほどの性格は持ってないわよ。」
雪奈は、はにかんだように笑った。その顔は、お母さんにとっても似ていた。
「やっぱり、くるみおねえちゃんは優しいよね。」
あたしは、そんなキャラじゃないと思う、んだけど…。
いつもお姉ちゃんに怒られて、年が近いせいか、ひなちゃんといっつも喧嘩して。出来た三女とは思えない。むしろ妹の雪奈の方が、しっかりしている。
あたしは、少しだけ、末っ子に生まれてきたかったなぁって思ってる。周りの友達はみんな末っ子で、羨ましいことといったら…ね。
そんなことを思いながら、あたしは入浴準備を始めた。
あんまり雪奈喋ってねぇ~。(最後無理やり喋らせた。)
次は、末の雪奈が語り手です!