VSファザー
「何度言ったら分かるんだ!お前は、生まれたときから小説家になるって決まってんだよ。」
今日の親父は、酒が入ってるから厄介になりそうだ。
只今の状況を説明すると、親父がまず俺の将来の夢を聞いてきて、総理大臣って答えたら、いきなり説教モードに入ったのだ。
「昔から、良く、カエルの子はカエルって言うだろ。それと一緒で、小説家の子供も小説家にならなければいけないんだよ。」
「はあ?、そんな古臭いもんを俺に無理やり適用するな。今は、職業選択の自由ってもんがあるんだよ。」
「あっ、流石はこの俺の息子、よく知ってるな。だが、絶対に小説家になってもらうからな。」
「だが断わる!小説家には絶対にならん。」
「こうなったらあの手を使うか。」
この響き、嫌な予感しかしないぜ。
「ママー、マイワイフ、母さん、我が世界一愛してる女、最近シワが目立つようになったね40さーい。」
こっ、コレは母さんを呼び出す時の最後ら辺がちょっと失礼な召喚魔法だ。ヤバイ、逃げるか。
俺が台所から、出ようとして振り返ったその瞬間、奴は既にそこに居た。クソっ、なんてスピードだ。
「母さん、作戦δを使うから、こいつをしっかりおさえてくれ。」
「はーい、喜んで。」
そう言うやいなや、いきなり大外刈りを俺に掛けた。俺は抵抗できないまま床に倒れ、両手を押さえられた。
「やめろ、何をする気だ。」
腕に思いっきり力を入れるがびくともしない。さすが、腕力だけが自慢の怪力BBAだ。我が家で一番の戦闘力を誇る。
「さーて、そろそろ行くか。」
親父が楽しみ30%、喜び50%、ドS150%位の不気味な笑みを浮かべてる。
もういい!なるようになれ!
おれは目を閉じた。
「こーちょこちょこちょこちょー。」
「ぐわぁー」
いきなり、親父が俺の身体のありとあらゆる場所をこしょぐり始めた。そう来たか、これは想定外だった。
「はっ、はっ、はっ、せいぜい楽しみなさい。」
うわーっ、ぎゃあー。こんなにこそばゆいのに身動き一つ取れないなんて、もうダメだ。
今回は、俺の負けを認めてやる。ありがたく思えよ、変態親父。
小説家には、例え宇宙が消滅してもならんけどな。
でも、この借りはいつか返させて貰うぜ。
「参った。」
「嫌だ。こんな楽しいこと、やめられないもんっ」
もう勘弁してくれー。あと、語尾を可愛く言っても許さないからな!
このあと、俺は、30分もこの拷問に耐え続けた。
続く