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エピソード・3 魔女

「う・・・!」

「あああああああああああ!!!」


 魔女の魔力の前に追い詰められ、小銃小隊の戦力は4割削られていた。

当然3割以上が戦死すると、ほぼ全滅を意味するので撤退するしかない。

しかし小銃小隊は撤退しなかった、いや・・・むしろ魔女から逃れることができないのだ。

だから抵抗という形で戦闘を続行しなければならなかった。


カァアアアアアアアアアアアア・・・!


「魔術!伏せ伏せ!」


ズドォォォォォォォォォォン・・・


 さっきの爆発でまた三人戦死した。


パタタタタタタタ・・・

パタタタタタタタタタタタ・・・


「ダメだ・・・

まるで効果ねぇ!」


 隊員は絶望混じりにつぶやいた

そうつぶやきつつも、小銃を打ち続ける。

しかし


「あ!弾がのうなった!(弾がなくなった)」


 取り替える弾倉がポーチになく、混乱する隊員。

これが分かったのか、隊員の目の前に魔女がいる。


パタタタタタタタタタタタ!


 ほかの隊員が援護射撃するが・・・


ズッ


「が・・・!」


 援護した隊員数人に、禍々しい光を放つ矢が刺さる。

この光景を見た隊員は自分の死を覚悟した時


パーーーーン・・・


 どこからか銃弾が飛んできた。

しかも魔女の肩に命中、初めて魔女にダメージを与えた瞬間だった。

 ふと隊員が横を見ると、戦闘服を着た男が立っていた。

 

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 髪の毛は長く、武器は89式小銃を装備しているが刀も持っており、自分らと同じ自衛官として見るにはいろいろと違和感がした。

 そしてなによりも直立不動で立っている。危険だ


「なんなんだ!?君は」


 小隊長らしき人が怒鳴る。

現れた男は、土方守 二等陸尉


「早く伏せたまえ!魔女の餌食になるぞ!!」


 小隊長は警告するが


「いや、このままでいい・・・」


 土方はそう言って魔女の前に立ちはだかる。

これを見た魔女は


「クスクスクス・・・

わたしの魔法を前にしてもおののかないなんて・・・

正直好みだわ」


 と言うなり魔女は炎を放った

しかし炎は土方によって、弾き返されてしまった。


「おいおい・・・

好みの男性を殺そうとするなよ」


 土方は刀を出した。


「言い忘れてたけど、私の好みは・・・殺しがいのある人のことよ?」


 魔女は笑いながら、土方に飛びかかる

土方はこれを受け止めた。

魔女はナイフで攻める

日本刀vsナイフでは、あきらかに日本刀のほうに軍配が上がりそうだが、相手は魔女だ。

自分の魔力で、ナイフの刃を強化長くしていた。

 1分間に渡る接戦の末・・・


ガッ


 格闘武器が飛んだ。

しかしそれは日本刀、土方は敗れたのだ


「クスッ

あなたを見る限りもっと強そうだったのに、こんな簡単に負けてしまうなんて・・・

所詮ただの兵士ってことだったのね。今すぐ、あの世に連れてってあげるから」


 魔女は、完全に勝利したかのような笑みを浮かべて、ナイフを頸動脈に近づけた。

しかし


ドッ


「?」


 魔女は腹に衝撃を感じたので、下を見る。

なんと小さな魔法陣のような円陣から、89式小銃のストックが彼女の腹に食い込んでいた。

土方は間を与えることなく彼女を吹き飛ばし、ひるんだところを89式小銃で蜂の巣にする。


「どうした・・・

今すぐあの世に連れてってくれるのではなかったのか?」


 土方は彼女を見下ろした。

魔女にとってはこれが屈辱的だったのか、先ほどの狂気の笑みから激しい怒りを感じさせるオーラを放った。暴走だ。

魔法を使うものとして最も気をつけなくてはならないのが、暴走である。


「悪かったね・・・

じゃあ今すぐ本当にあの世送りにしてやるよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 魔女はものすごい勢いで円陣を発生させた。

しかしそれはすぐに止まった。

そして、魔女の腹からヤリが突き出ていた。


「怒りからくる暴走は魔術の制御は聞かなくなる上、

隙だらけになる。」


 魔女は絶望に満ちた表情になった。

しかしこの顔を見た土方は、ある光景を思い出してしまった。


 

 嫌!死にたくない!


 ダメだ!どのみちあんたも死ぬ!


 なんで・・・なんでそうなるの!?


 もう、手の施しようもないんだ!それに、このまま放っておけばここ一帯の住民の命まで・・・!

 

 ・・・


 すまん・・・


 そんなぁ・・・まだやること、残ってるのに・・・


 パーーーーーーーーーーーン・・・



 あの時と・・・同じだ

土方が断片的に蘇ってきた記憶に、動揺していると


「・・・ーフ チーフ!」


 いつの間にか絶望で凍りついた顔が、大人びていた。

しかしこの顔の主は、同じ隊員の谷村であり、あの魔女ではなかった。

魔女は既に死体袋の中だった。


「撤退しますよ?

事後処理は2小隊が行うそうですから」


 土方はすぐに冷静な顔に戻り


「ああ・・・悪い

作戦終了!これより我々もHQに撤収する」


 だいぶ西に傾いた日を見た。

そしてなぜか憂鬱になる土方であった。

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