夜の病気
夜になるときまって私のからだは熱病のようにおかされるのであった。ちょうど片腕がそこだけ油の鍋に突っ込まれて長い時間をかけてくたくた煮たように熱く重くエネルギーにあふれたような感じがするのである。そもそも油というものは鍋一杯にそれだけを熱すれば与えられた熱の行き場がなくなって天ぷらというものを作り上げるほどにするどいパワーを持つようになるのだが、腕の浸けられた油の鍋は本来はありえないような油7に湯が3といったぐあいに混ざったような鍋で、茹でれば茹でるほど水気が抜けるどころか油がついてギトギトになってしまうようなそんな感じなのである。そうした熱く煮えたぎる右手に揺り動かされるように起こされて、夜の闇が街を包み終わった頃にぼくは寝床から体をおこすのだった。