「嘘だッ!!」「嘘じゃねぇ!!」
「嘘だッ!!」
所変わってここは【独裁社】の社長室。
俺[モーリー]こと[雨森弥太郎]は社長とDVD鑑賞をしている。
「このアニメはなかなか過激だな、モーリー」
「そうですね、リアルっていうのが怖いとこですかね?」
「うむ、気を操ったりヒデブな死に方をする今までの殺戮方法ではないからな」
「社長って俺より若いですよね・・・なんか詳しいすね」
「馬鹿者、わが国が世界に誇る技術の歴史くらい常識ではないか」
「・・・」
何故こんな濃い話になってしまったのかはさておき、
俺の中の社長(妄想)を更に遠く感じざるおえない事態に発展している。
今にも何かが音をたてて崩れそうな不安定な気持を感じる。
「お、このシーンを見て思い出した。
モーリー、以前引き受けた秋山祭のゴミ処理の件はどうだ?」
血飛沫があがるTV画面を見つつ、ポテチを口に運ぶ社長。
なんともまぁ、いつもながらの社長である。
「そうでした、報告しに来たのに社長室に入って忘れてしまってました。
とりあえずこの件は私と尼子さんでやっておきました」
「何、親父殿が?」
「えぇ、私一人で作業する計画書を見られたそうで、不憫に思って来てくれたそうです・・・」
実力的に独裁社No.2の社員【尼子左衛門】は、社長の父親だと聞いている。
姓の違い等から、少しでも詮索しようものなら社長の機嫌を損ね、一ヶ月は本社勤務を外される。
俺が以前カツ丼屋に飛ばされたのは、この事が原因だと後でわかった。
「親父殿は優しいから」
「えぇ、そうですね。
誰かさんと違って無茶苦茶させないですから」
「またまた、そんな嘘ばっかり」
どうしたものか、くつろぎモードの社長と話しているとどうも素がでてしまう。
年下だと言うことも作用しているのかもしれないが、
後々後悔する言葉をまたもや叫んでしまう俺だった。
「嘘じゃねぇ!!」