「お手洗い」「なんだおまえ」
「お手洗い」
「・・・別に俺に告げてく必要ないぞ」
私[八王寺芽衣]は急にソレを思い出したのだった。
「戦場では情報が何より優先される。
私が一時この場を離れるという伝達が必要だろう」
「まぁそうだが・・・」
「それに私は別に大なり小なりの話をしている訳じゃない。
少し私なりの策でも披露させて貰おうかと思ってね」
「大小言い合うのは同姓だけだと思っていたが、
なかなかどうしていざ聞いて見ても背徳感も興奮も高揚もないな」
「・・・」
「そ、それはともかく。何故便所なんだ?」
「・・・あぁ、私は起業したばかりで金が無いに等しい。
ダ・ダンの武器なんか私物だ」
「参戦する気があったのか。
お前の性格だ、一見丸腰の姿から高みの見物を決め込んでると俺は思っていたぞ」
「ふん、私は好きな様にやるさ」
「それで何故便所なんだ」
「私の所持金で手に入る武器はこれしかなかった」
通学用学生カバンのチャックを開け、秋山にそれを見せる。
「・・・白いな」
「あぁ、小麦粉だからな。
学校で手に入る物はこれとアルコールランプくらいさ」
「お前・・・金出してないじゃないか」
「ただより高い物は無い」
「使い方間違ってるぞ」
「一々うるさいな。
とりあえずこれで粉塵爆発を目論んでくる」
「いや、ちょっと待て!?
可能性が低すぎるし、上手くいっても火災じゃないか!!」
「手早く済まそう」
「消防とか警察に気づかれるだろ・・・」
「まぁとにかく用を足してくるさ」
到底理解できないと言った呆れ顔で秋山はつぶやく。
「なんだおまえ」