「攻めろッ!」「何ッ!?」
「攻めろッ!」
今より時をさかのぼる事2年。
私こと自称14歳の[八王寺芽衣]は秘書役の[五反田壇]と共に『秋山組』の抗争に加担していた。
【独裁社】を名乗り始めて三日後に来た(むしろ獲った)仕事だったわけだが、
今思えばこの初陣が私達の存在の在り方を明確にさせた仕事となった。
「お嬢様、思ったより敵の抵抗がありません」
投擲用のメスに似たナイフを内ポケットに仕舞いつつ、
私の雑用係[ダ・ダン]が前線を離れる。
「お、おい!今離れるなよ」
「今の状態なら貴様達だけでも大丈夫だ」
「・・・t!!」
何か言おうとした秋山組の下っ端に向けて、計る様に銃弾の雨が降り注いだ。
どうやら敵はマシンガンの様に連射性に優れた銃を持っているらしい。
「・・・クソカメンガァァァァァッ!!!」
秋山組の下っ端が怒号と共に反撃の銃弾を放つ。
勿論私達に向かってではなく、敵組織に対してだ。
「ダ・ダンよ、嫌われたな」
「別に気に留めるほどの事でもないでしょう」
事務作業をただこなすという様な熱の篭らない声で、彼はまた次の作業に入る。
「私は別ルートで室内の敵を殲滅します、許可を」
「許す、存分に働け」
「有難く」
そう言ってダ・ダンはこの場を去った。
彼がどこに行ったのかは分からないが、彼がそう言う以上、きっと成し遂げてくるだろう。
「八王寺、お前んとこの部下はどこ行った」
「・・・秋山か、五反田なら別ルートをとり室内殲滅を目論んでいる」
ダ・ダンは暗器を使い手で、前線に向く兵ではない。
あのナイフもクナイとでも言ったほうがわかりやすい形状の物で、銃撃戦に参戦できるとは思えない。
「どうも前線が煮詰まっててな。またお前んとこの部下に切り込んで貰いたかったんだが、
さすがに仕事を無理やり取り付けるだけあって仕事が速いな」
「あぁ、安心しろ。ウチがついている以上どんな形であれ勝ち戦になるだろう」
「すごい自信だな」
腹の底から陰鬱としたこのビル内の雰囲気を吹き飛ばすが如く、秋山組長は豪快に笑う。
しかしその変えられた雰囲気さえ無視して、この場の空気を止めるのがこの私だ。
「時給100万を請求するのだ、当然だろう?」
「何ッ!?」