「・・・ごみ拾いをしろだと?」「無論だ」
「・・・ごみ拾いをしろだと?」
俺の雇い主こと社長、[八王寺芽衣]は露骨に嫌そうな口調で言う。
数分前下っ端ヤッチャンに非礼な歓迎を受けたのだし(主に俺が)、
今回の依頼の事からしても彼女の態度が悪くなるのは当然だろう。
「そうだ、何でも請け負うのだろう?」
「金次第だ。
だが、そちらにはそう言うのに向いてる奴らがいるんじゃないか?」
見事な三日月形の唇から低い嘲笑を漏らす彼女。
相手はヤッチャンの親分で、
パンチパーマやリーゼントのイカにもな部下6人に囲まれている状態でも、
社長はいつもの社長なのである・・・。
「掃除屋の事か?
まぁ確かに、名前はピッタリだが・・・対象物が“死人”なんでな」
「ん、なんだ?そう言う依頼じゃなかったのか」
「・・・あぁ、ごみ拾いだ」
ちょっと待て、もし"死人"相手のごみ拾いだったとしたら、俺が派遣されてたのか!?
それはだめだ、なんとしても避けたい、有休か忌引きを使ってでも避けたいッ!!!
「うちの担当してる場所で今月、祭りがあるんだわ」
「カチコミか?」
「どうしてそう言う方向に走るかね・・・血祭りじゃねぇよ。
神社でお祭りをするんだ。それで、その時でたゴミ処理をしてもらいたい」
「そうか。普通の仕事ならアンタと私の付き合いだ。安くしとく」
「あぁ、抗争のときの助っ人はありがたかったよ。
またそう言うのを期待していたのか?」
「無論だ」