「ここは一つ大胆に打って出る」「バーリヤ!!」
「ここは一つ大胆に打って出る」
そういって彼女、[八王寺芽衣]は扉を叩いた。
何事にも迷うことの無い無垢な瞳をひたすら前へ向け、彼女が目指すは某事務所。
ヤッチャンを軸に構成され、主に都心を縄張りとした『秋山組本部』の正面扉を途切れなく叩く。
「チョチョチョチョチョ!?
社長ッ!!そんなに五月蝿く叩いちゃ駄目ですって!!」
周囲の環境、雰囲気を全く気にしない彼女の行動には肝を冷やされてばかりだ。
もし肝を冷やす事で寿命は縮まるなら、今頃はもう生きてはいまい・・・。
「ダァァァァアッ!!!!
クソボケカス!!インターホン押せや!?うるさいんじゃワレ!!」
って・・・何急に扉あけて出てくるんだよ!!
全く心の準備ができてないし、社長はまだ腕の反復運動をとめられておらず、
下っ端らしき丸刈り(決してハゲとは言えないハゲとは)の男の胸の辺りを未だノックしている。
「・・・・・何すんじゃワリャ!!!」
ついには唾を飛ばす程の勢いまで挑発してしまった様だ。
さすがにこれは彼女も予想外だったのか、
すぐに隣に立っていた俺の胸倉をつかみ、男と社長の間に俺を誘導する。
怒り叫んでいる彼の唾が俺にかかってくる。
そして散々俺に唾と罵声を浴びせている彼とは対照的に、我が主は一喝する様に言い放った。
「バーリヤ!!」