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「きゃっ!」「助けて」
「きゃっ!」
妙に野太いが、可愛らしくしようという気持ちがこもる悲鳴が放たれた。
私[雨森弥太郎]の口からである。
「・・・きもいな、それにセンスもない」
無情な言葉が続け様に浴びせられる。
彼女[八王寺芽衣]とのこんなやり取りが、かれこれ2時間程経とうとしている。
先日した社長の容姿についての発言が、あまりにも気に入られなかった様で、
可愛さについて色々と試しているのだ。
女装(セイラー服)して、化粧して、付けまつ毛をし、無駄毛処理までしている。
肝がどうだとか、男前があがったとか、そんな事はもう一切考えられず、
ただただ己の情けない立ち位置と、醜さに目を背けたいばかりである。
「助けて」