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第七章:月影の選択 - 動き出す二つの運命

異世界での騒動から数日後、ルナはアレンと共に、静かな湖のほとりにいた。湖面に映る二つの月が、幻想的な光を放ち、二人の姿を優しく照らしていた。

「ルナ、君は本当に…元の世界に帰りたいのか?」

アレンは、ルナの瞳をまっすぐに見つめ、静かに問いかけた。ルナは、少しの間、言葉を探すように空を見上げ、ゆっくりと頷いた。

「うん、アレン。私には、あちらの世界でやり残したことがたくさんあるの。友人たち、会社の仲間たち、そして…私が手がけていたプロジェクト。それに、あちらの世界でしかできないこともある。」

ルナは、アレンの手を握りしめ、切実な想いを伝えた。

「でも、アレン。あなたと、この世界の人々も、私にとってかけがえのない存在よ。あなたと出会い、この世界で過ごした日々は、私にとって宝物なの。」

ルナの言葉に、アレンは優しく微笑み、彼女の頬にそっと触れた。

「ルナ、君の気持ちはよくわかる。君がどちらの世界を選んだとしても、私は君の味方だ。君が幸せであることが、私の願いだから。」

アレンの言葉に、ルナは感謝の気持ちでいっぱいになった。彼女は、アレンの優しさに触れ、改めて彼への愛を確信した。

「ありがとう、アレン。でも、私はまだ…どうすればいいのかわからない。」

ルナは、複雑な想いを抱え、再び空を見上げた。彼女の心には、二つの世界への想いが交錯し、どちらを選ぶべきか、決断することができなかった。

「ルナ、焦る必要はない。時間をかけて、ゆっくりと考えればいい。」

アレンは、ルナの肩を優しく抱き寄せ、静かに語りかけた。

「それに、君がどちらの世界を選んだとしても、私たちはいつでも会える。月の塔が、二つの世界を結ぶ道しるべとなるだろう。」

アレンの言葉に、ルナは希望を見出した。彼女は、アレンと共に、月の塔について調べることを決意した。

ルナたちは、月の塔に関する情報を集めるため、王国の図書館や古文書館を訪れた。そこで、彼女たちは、月の塔が二つの世界を結ぶだけでなく、時空を超える力を持つことを知った。

「時空を超える力…?まさか、この時計が…」

ルナは、異世界に転移する前に手に入れた機械式時計を取り出し、月の塔に関する古文書と照らし合わせた。すると、彼女は時計の内部に、月の塔の地図と、時空を超えるための起動方法が記されていることを発見した。

「アレン、この時計があれば、私たちはいつでも二つの世界を行き来できる!」

ルナは、興奮した様子でアレンに告げた。アレンも、ルナの発見に驚きつつも、希望に満ちた表情を浮かべた。

「ルナ、これで私たちは、いつでも一緒にいられるんだね。」

アレンは、ルナの手を握りしめ、喜びを分かち合った。

ルナたちは、月の塔の起動方法を試すため、塔の最上階にある祭壇へと向かった。祭壇の上には、月の紋章が刻まれた石版があり、ルナは時計を石版に近づけた。

すると、時計と石版が光り輝き、祭壇を中心に、眩い光の渦が広がった。ルナとアレンは、互いの手を握りしめ、光の渦に飛び込んだ。

光が消え去ると、ルナは東京の自室に立っていた。彼女は、窓の外に広がる夜景を見つめ、自分が元の世界に戻ってきたことを実感した。

「ただいま…」

ルナは、小さく呟き、部屋を見渡した。そこには、いつもの日常があった。しかし、彼女の心は、もはや以前とは違う場所にあることを感じていた。

ルナは、すぐに自分のブランド「ルナ・クレアシオン」の再建に取り掛かった。彼女は、異世界の素材や技術を参考に、新しいデザインを次々と生み出していった。

ルナの創造力は、現実世界でも人々を魅了し、彼女のブランドは再び脚光を浴び始めた。しかし、忙しい日々を送る中で、ルナの心には常に異世界のことが引っかかっていた。

「アレン…みんな、元気だろうか…」

ルナは、ふと窓の外に目をやった。夜空には、静かに月が輝いていた。その光を見ていると、異世界での出来事がまるで夢だったかのように思えてくる。

ルナは、異世界での生活を思い出し、アレンやルナマリア、そして村人たちとの絆を改めて感じた。彼女は、彼らと共に過ごした日々が、自分にとってかけがえのない宝物であることを実感した。

しかし、ルナは、元の世界でやり残したこともたくさんあった。彼女は、自分が手がけていたプロジェクトを完成させ、友人たちとの絆を深めたいと思っていた。

ルナは、二つの世界の間で揺れ動き、苦悩した。彼女は、どちらの世界を選ぶべきか、決断することができなかった。

そんな時、ルナは、異世界で出会った古文書の中に記されていた、ある予言を思い出した。それは、二つの世界を結ぶ月の塔と呼ばれる遺跡についてのものだった。

「月の塔…もしかしたら、そこに行けば、再び異世界へ戻れるかもしれない…」

ルナは、希望を胸に、月の塔についての情報を集め始めた。彼女は、異世界の言語を解読し、月の塔の場所を特定した。

そして、彼女は、再び異世界へと旅立つことを決意した。彼女は、自分のブランドを信頼できる後輩に託し、月の塔へと向かった。

月の塔は、険しい山々の奥深くにひっそりと佇んでいた。ルナは、困難な道のりを乗り越え、ついに月の塔へと辿り着いた。

月の塔は、月の光を反射して輝く、荘厳な建造物だった。ルナは、塔の内部へと足を踏み入れた。

塔の中は、月の光で満たされ、幻想的な雰囲気に包まれていた。ルナは、塔の最上階へと続く階段を上り始めた。

最上階に辿り着くと、そこには、月の光を浴びて輝く、巨大な祭壇があった。祭壇の上には、月の紋章が刻まれた、不思議な力を持つ石版が置かれていた。

ルナは、石版に手を触れた。その瞬間、彼女の体は、眩い光に包まれた。

光が消え去ると、ルナは、異世界の風景の中に立っていた。彼女は、再び異世界へと戻ってきたのだ。

ルナは、アレンとルナマリアを探しに、村へと向かった。村に到着すると、村人たちは、ルナの帰還を喜び、温かく迎え入れた。

ルナは、アレンとルナマリアと再会し、喜びを分かち合った。アレンは、ルナが再び戻ってきてくれたことを心から喜び、彼女を抱きしめた。

「ルナ、おかえり。君が戻ってきてくれると信じていた。」

アレンの言葉に、ルナは涙を流した。彼女は、アレンへの愛を再確認し、彼と共に異世界で生きていくことを決意した。

ルナは、異世界で、再び創造の力を発揮し、人々の生活を豊かにしていった。彼女は、アレンと共に、この世界を平和へと導き、愛と希望に満ちた未来を創造していった。

そして、ルナは、二つの世界を行き来しながら、自分の創造力を世界に広げていくことを決意した。彼女の物語は、まだ始まったばかりだった。


(続く)



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