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序章:始まりの黄昏 - 運命の織り手

遥か昔、世界は色彩と生命の息吹に満ち溢れていた。天空には、星々を束ねたような巨大な命灯が燦然と輝き、大地を優しく包み込んでいた。人々は命灯の光を仰ぎ、自然の恵みに感謝し、精霊たちは歌い、踊り、世界は調和と繁栄の中にあった。

しかし、その幸福は永遠ではなかった。世界の均衡を妬む闇の存在が、静かに、しかし確実にその力を蓄え始めた。闇は、人々の心の隙間に入り込み、恐怖と絶望を植え付け、世界の調和を乱していった。

やがて、闇の力は頂点に達し、天空を覆い隠すほどの巨大な黒雲となって現れた。黒雲は、命灯の光を遮り、世界を闇で覆い始めた。命灯は、必死に光を放ち、闇を払おうとしたが、その光は徐々に弱まり、今にも消え入りそうだった。

大地は枯れ、海は荒れ、精霊たちは姿を消し、代わりに闇の眷属が蠢き始めた。人々は、命灯の光が失われる恐怖に怯え、希望を失いかけていた。枯れ果てた大地に響くは、人々の嘆きと慟哭。荒れ狂う海は、まるで世界の終末を象徴するかのように、黒い波濤を打ち鳴らす。天空を覆う黒雲は、絶望的なまでに重く、人々の心を押しつぶしていく。

そんな中、古の神殿の奥深く、苔むした石壁に刻まれた予言が、微かに輝きを放ち始めた。

「星の命灯が闇に覆われ、虚無の大災が世界を蝕む時、黎明の光に導かれ異界より英雄が顕現するだろう。その者は、月光の紋章を宿し、類まれなる力と創造のわざで虚無を打ち払い、再び星に生命の光を取り戻すだろう。英雄の証は、月に選ばれし者の証なり。」

神官たちは、予言の成就を信じ、命灯の光が再び輝きを取り戻すことを願い、祈りを捧げ続けた。しかし、彼らの祈りは、闇に覆われた空に吸い込まれるように、届くことはなかった。

闇は、ゆっくりと、しかし確実に世界を蝕み、命灯の光は、今にも消え入りそうだった。残された時間は、刻一刻と失われていく。命灯の光が完全に消え去る時、世界は永遠の闇に包まれ、二度と光を取り戻すことはないだろう。世界は、終焉の時を迎えようとしていた。


(続く)




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