6話 悪魔を封印せし魔法の一族
あの泥棒共が侵入して、ツミキが人形達でボコして、気を失った泥棒共の隣でツミキが美味しそうに夕飯を食べてから、次の日になった。
その間泥棒共は目が覚めることは無く、痛々しい姿を晒していた。
俺が一晩中見張ってたのは意味無かったな……ツミキの人形がツミキが寝てても動いていたし。
ツミキはベットの上で毛布に包まれながら惰眠を貪っている。今日は土曜日。ツミキ曰く今日は休みだそうだ。
『ピーンポーン』
呼び鈴が鳴った。今は朝の7時過ぎ。この時間帯に来るとしたら、ツミキが昨日言っていた魔法協会関連だろう。
それにしても、やっと泥棒共を引き取りに来たか……来るのが地味に遅いじゃねぇか。
今の呼び鈴でツミキの目が覚め、立ち上がって目を擦りながら玄関に到着して扉を開けた。
「あっ、ひさー!」
「お久しぶりで御座います。お嬢様」
お、お嬢様……?しっかしツミキのヤツ……かなり馴れ馴れしいな……知り合いか?
スーツを着ていて、なんか硬そうな人間の女だな……
「ここにはどうして来たの?お父からは何も聞いてないけど」
「お嬢様の住居に魔法を使う泥棒が侵入したと聞き及び、ここまで来た次第であります」
「あ、そう言うこと?それならこの奥にいるから連れてって」
「了解しました。それと、当主様からお手紙を承っています」
硬そうな女がツミキに手紙を渡した。聞いている限り、ツミキって一般家庭の出身じゃ無さそうなだな……祖父にキサラギの野郎がいる時点で気付くべきだった……
「お父から?……ふむふむ…………えぇー」
ツミキがメチャ嫌な顔をして持っている手紙を少し遠ざけた。初めて見たぞ、ツミキのあんな顔。
「お嬢様が嫌がるのも承知のことですが、当主様のご命令です。明日までに屋敷まで来て下さい」
そう言うと女は玄関を上がり奥まで来て泥棒2人を軽々と担ぎ、玄関から出て行った。ため息を吐いて落ち込むツミキを残して……
「……デーモー、どーしよー……おとーがさぁ?私を次の当主にすいせんするーとかかいてあるだけどー」
ど、どうした?ふらふらとした足取りで。あの女から隠れてた俺に近付いて……
「でーもー、イヤだよー……なんのために現代社会でしゅーしょくしてすごしてるって思ってるのー?」
目が怖ぇ!目が怖ぇ!
光を感じない目を俺に向けるな!
「や、やめろ……やめろーっ!!」
あの手紙には、ツミキの親父が娘であるツミキを当主に推薦すると言う旨が書かれていた。
俺にはあまり理由が分からないが、ツミキがあんな様子で俺を握り締め、そのまま丸一日放心状態だったから相当イヤなんだろうが、せめて昼飯夕飯は食べて欲しかった……
今はもう絶対に乗りたく無いあの電車に乗っている。満員電車では無かったのは助かったが……
ツミキは人気のない電車内にある向かい合わせの椅子に座り、俺は反対側に置かれたツミキのカバンから頭を出している。
そうしないと周囲の様子が見えないからだ。周囲を俯瞰して見渡せる魔法があるが、今は魔力をできるだけ温存したい。
「……そう言えば、ツミキの親が当主なんだろ?ナニモンなんだ……?」
「ああ、確かに言ってなかったね。私の家系って、18世紀くらいの時に日本に渡って来た魔法使いの一族らしいよ」
俺よりも1世紀も早ぇ!
「でもねー世代を追うごとに影響力を増して行って、西暦19のー30か40年くらいかな?政府とズブズブ過ぎてお爺の代で結構没落しちゃったんだよ。まぁ没落した今でも、私の親戚が魔法協会の重役をやってるけどね」
ツミキってそんなヤベェ一家の末裔だったのか……それにしても、そんな一族の出なら、キサラギの野郎が俺を封印できた理由も説明できるな。
「……」
「どうしたんだ?ツミキ」
ツミキの顔が急に険しくなった。何かあったのか?
「はぁぁ……だから嫌なんだよ。デーモ、構えて」
「……何を?」
「敵襲」