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10話 悪魔と悪魔と人形好きの魔法使い

「総攻撃開始!」


ツミキがそう言った途端、隠れていた人形達が現れ、翼が捥がれたことで動きが鈍った悪魔をボコスカと殴り始めた。


「ぐっ……舐めるな、舐めるなぁ!人間風情が!」


……!爆風が……人形達が風圧で壁に押し付けられてやがる……アイツ、強ぇ。


俺は封印から解かれてた今でも魔力はほぼ回復せず、雀の涙のような魔力しか無い。そして魔力の使い過ぎは俺に取ってかなり危険だ。魔力を限界以上に使えば体に相応の反動が降り掛かり最悪死ぬ。


あの悪魔が俺の魔力切れを狙って攻撃してきたら対処することができない。


だから主な攻撃はツミキに任せ――って、あの悪魔……俺やツミキを無視して何処に行こうと……ん?手を鋭く尖らせて……その目線の先には風圧で動けない人形が一体……ん?!


あ、アイツ!人形を標的に……!戦力を減らされたら堪らねぇし、何よりツミキが何をしでかすかが怖ぇ!!


「時よ、巻き戻れ!」

『ドゴン!』


俺の時戻しの魔法で人形の位置を数十秒前の場所までずらし、狙い通り悪魔の攻撃は空ぶって何にも無ぇ瓦礫を殴った。


「今だツミキ!デカいのを叩き込め!」

「炎よ、水よ、奮起し押し流せ!」


ツミキから爆炎と豪水が放たれ、それぞれ別々に悪魔に当たりそのまま水蒸気爆発で悪魔諸共周囲を爆風で包み込んだ。


人形達はツミキが攻撃を開始する前、悪魔がツミキの炎を風で跳ね返した時まで戻したことで、その時人形達が隠れていた瓦礫が水蒸気爆発の爆風から身を守った。残りのツミキが守った1体は、爆発の前に俺が回収して置いて無事だ。


「チッ!」


?!あ、あいつ何処に消えた?!まさかあの爆発を隠れ蓑に……だが相当なダメージを受けているはず。


悪魔としてのお遊びはもうしないはず。だからこそ俺かツミキを一撃で殺すだろう。俯瞰視点の魔法や透明化の魔法や瞬間移動の魔法などの補助系統以外の魔法は、詠唱による数瞬のタイムラグが発生する。故に必ず物理攻撃を仕掛ける他無い。ここは俯瞰視点の魔法で、俺を中心に周囲を……


……背後!


「デーモ!私の魔力を使って!」


指を伸ばし刺突の攻撃。凄まじい殺意……さっきまでの俺なら対抗でき無いが、今の俺の拳にはツミキの魔力を纏っている!これなら!


「グググ……押し返され……キサマァ!!もう許さんぞ!風よ猛れ!風よ猛れ!風よ……全てを猛り穿て!」


こ、これは、不味い!耐え切れ無い……これをまともに受ければ、俺は体を貫かれて死ぬ!


……背後には何も無い……巨大な風穴があるだけ。なら!瞬間移動の魔法で……!


「なっ?!」


こいつの真反対の背後に瞬間移動……

『ピシッ……』


………時間が無い。このまま悪魔の急所を貫く!


「ど、どう言うことだ……キサマのどこにそんな魔力が!」


ここまでやっても、分厚い魔力の壁で防がれるか……今現在のあの悪魔と俺の魔力量に圧倒的な差がある。当然だ。さっきまで封印されて魔力が殆ど無い俺では差があるのは当然のこと。


魔力の圧倒的な差を埋めるのには、一つだけ方法がある。それは……


「まだ行ける?!デーモ!」

「ああ!」


ツミキが俺の言葉を聞いた瞬間。人形達が悪魔の背後に発生している魔力の壁外。悪魔の前方から悪魔をボコボコと殴った。


「ぬおぉ!!」


悪魔の意識が逸れて壁が薄くなった。これなら……俺の、命を、魔力に変換すれば……!届く!


悪魔は人間に取って大災でしか無い。そして大災は意思を持って人々を蹂躙する。


俺が1番分かっている。何度その光景を見たと思ってんだ。俺が何度見殺しにしてしまったか……何度人間が住む町の命の灯火が潰えるのを見たか。俺は……!


だからこそ、同族であろうと!召喚に応じただけであろうと!いつか必ず事を起こす!


ツミキはもう限界が近い……もし仕留め損なえば逃げられる可能性がある。確実に、今ここで、同族殺しの汚名を着せられようと……!


「キサマ!まさか同族である我を殺す気か?!そのような下等な存在に手を貸すことは、キサマに取って不利益しか存在しないぞ!」


「俺は俺の気に入ったヤツを守る為に!たとえ俺に益が無かろうと、不利益が被ろうと……俺はそんなことどうでも良い!俺の野望に従うまでだ!!」


とどけ、とどけ俺の魔法!魔力!悪魔の奥底……心臓に等しい魔の核に……!




「ぬあぁぁぁ……!!有り得ぬ、有り得ぬぞ!キサマは分かっているのか?!同族を殺したと言うことは、同族がキサマを殺す理由となるのだぞ!」


「承知の上だ。だが、そんな理由があっても……これから意味は無くなるが」


「がぁぁ……!キサマ……キ……サマ……我が死したとしても……永劫にキサマを……恨んでくれる……ぞ…………」


……終わった。あいつが俺を恨んでも、俺は異端として俺はいる。異端だからこそ、仲間の死に希薄な悪魔でも、俺の心にこれは刻まれた。


『ピシッ……ピシッ……!』

疲れた。


魔力の圧倒的な差を埋める方法とは、生命力をそのまま魔力に変換する方法。


それほど珍しいことでも難しいことでも無い。だがこの方法は命を……寿命を削り……果てには体が崩れ死に直結する。


今の俺のように。


「……で、デーモ?!どうしたの?!返事して!そこで倒れてないで!起きて!デーモ!」


俺は異端だ……ツミキ、俺は気に入ったんだ。だから、後悔なんて、無い。

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