終わり-ep1
~3ヶ月後~
「色々あったね」
「色々...ありましたね」
目の前にかなり大きなサイズのチューブに繋がれた反爆が鎮座している。
周囲に人は無く草原が一帯地平線まで続いている
「とにかく完成おめでとう」
幼女が手を伸ばす
「は、はい。アヒッ」
手が触れるとビクンと体が震える
「どうしたのかな?」
悪魔の様な微笑みをたたえ首を傾げる
コイツ...
「反爆完成祝いに何か作ろうと思ったのだけど...」
チラリとテーブルを見るが黒焦げになった七面鳥や生焼けの生地が並んでいる
「慣れないことはするものじゃないね!はっはっは」
腰に手を当て無い胸をそらしつつ、朗らかに笑う白衣の幼女
「なんで今日に限って自分で作ろうとしちゃったんですか」
「だって記念すべき日だし。明日がないのだから心残りがあってはいけないだろ?」
「焼きたかったんですね...七面鳥」
「焼きたかったなぁ...クッキー」
生焼けのクッキーを齧り、2、3口咀嚼した後吐き捨てている。きたねぇ
反爆。時空すら捻じ曲げられる神の力でもって途方もないエネルギーを生み出し地球を壊す。
彼女の試算では地球の1割が爆発に巻き込まれ、なんやかんや生命が維持できなくなるという
この爆発範囲では地点を指定する必要もないので当然射出装置も必要ない。
「再度説明しよう。この装置の起動方法は、この真ん中の赤いボタンを押すと地球が爆発する」
幼女が反爆装置の真ん中を指差しながら説明する
「以上」
「めちゃくちゃインシデント起きそうな設計ですね」
いくらなんでも簡略化されすぎだろう。
「なに、問題が起きても地球が爆発するだけさ」
そこそこ大きな問題なように思える
「じゃあえっと、お疲れ様でした」
「はは、はっ!ちょ、ちょっとまってよ。くく...」
幼女が腹を抱えながら笑っている。そんなに面白かっただろうか?
「地球最後の人類のセリフがそれでいいの?なんかちょっと面白いね」
「うーんまぁ別にこれと言って思いつく台詞もないですし」
「あーん。そうか。じゃ、おつかれ」
幼女が赤いボタンに手を伸ばす。
赤いボタンが、押され、起動が始まる
ドゥンドゥンと腹の底に響く、けたたましく鈍い機械音。
ふと、無意識に口を突いた
「なんで地球を壊すんですか?」
視界一面、白い光に遮られ幼女の影だけが網膜に映る
振り返り彼女はなにか答えていた気がするが、全ては光の中に淡く輪郭を残すのみだった