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『ゲームなんてするのは小学生までだよね』と言ってバカにしていた幼馴染が俺の部屋に入り浸ってゲームをしまくるんだが

「ねぇ、こうちゃんー」


 中学進学と同時に疎遠になった幼馴染の真理香マリカが高校進学と共に俺の部屋に入り浸って来て困っている。


 今もFPSをプレイしている俺の肩に頭を載せてじゃれついているので困っているのだ。


 なぜ困るかって?


 そりゃ小学校の頃と比べて色々と成長して目のやり場に困るからだ。


 具体的にどこがとは言わないが、今も俺の背中に当たっている。


「なんで俺の事をゲームヲタとか言ってバカにしてたのに、今更俺の部屋に入り浸ってゲームしまくってるんだよ?」


「最近ゲームにハマっちゃってね……」


 悪びれずにそう言うマリカ。


「お前から『ゲームなんてするのは小学校低学年までだよね』と言われてバカにされたのを今でもハッキリと覚えてるんだが」


「確かにあれは言い過ぎたよ。ゲーヲタと仲がいいのが女子グループのメンバーにバレてハブられたら大変なことになるから仕方なかったんだよ。ごめん」


 謝る素振りを見せるマリカ。


 でも本気では謝っていない。


 その証拠に俺が謝罪を受け入れる返事をする前に話題を変えたからだ。


「で、わたしにできる様な簡単なゲーム無いの? そこにあったゲームはどれも難しすぎる」


「マッリカーでもやってみたらどうだ?」


「わたしの名前がマリカだからマリッカーかよ。おやじギャグを言うにはまだ早いぞ」


「そうじゃない。このゲームは上手ければ上手いほど難しく下手なら下手なほど簡単になるんだ」


「そうなの?」


「マッリカーはレーシングゲームなんだけど、普通のレーシングゲームと違う。レーシングゲームの皮を被ったバトルゲームなんだ」


 そんなことは微塵も思っていなかったらしく「えっ?」と驚きの表情をするマリカ。


 俺は説明を続けた。


「序盤からTOPで独走すると攻撃力皆無のゴミアイテムしか取れないのに、順位が低ければ攻撃力抜群のいいアイテムを取れる」


「どういうこと?」


「順位が低ければ妨害されずに楽に走れるけど、TOPを独走するといいアイテムを取った後続から攻撃を受けまくってまともに走れなくなるってことだ」


「なにそれ? 上手ければ上手いほど厳しくなるって酷くない?」


「だから、ナチュラルに順位を上げられない初心者でも勝てる可能性があるんだ」


「なるる」


 慣れたプレイヤーは序盤でわざと順位を落としていいアイテムを取るために順位を調整したりする。


 でも順位を極端に下げると上位に浮上するのは困難になるゲームで順位の匙加減が難しい最終ラップの後半が勝負となるゲームなのだ。


 それを聞いたマリカはやたら嬉しそう。


「マジ? マッリカーやってみる!」


 マリカは喜んでマリッカーを始めるけどあまりいい表情をしない。


「どうした?」


「勝てないわ。これ壊れてるよ」


「どれ貸してみろ」


 見るとマリカはオンラインでプレイしてた。


 当然順位もドンケツであった。


「いきなりオンラインかよ」


 俺がコントローラーを受け取りプレイすると当然1位だ。


 マリッカーシリーズなら小学生からプレイし続けてるからマンガを読みながらでも勝てる自信があるぜ。


「ほれ、一位だ」


「すごいわね」


 マリカはやたら感心している。


「初心者がいきなりオンラインをやっても勝てるわけが無いだろ」


「ダメなの?」


「相手は一年365日マリッカーをやってる猛者たちだ。勝てるわけがない、ダメに決まってるだろ」


「うぐっ」


「まずはオフラインでカーブのきつさやジャンプ場所とかコースのギミックを覚えるところから始めないと勝てるわけがない。それにオンラインで勝つならドリフトとかの操作関係のギミックも全て使いこなせないと勝つのは厳しい。だからいきなりオンラインはやめとけ」


 マリッカーは日々修行なのである。


 いきなりオンラインで勝てるほど甘くは無い。


 するとマリカは再び俺の背中におぶさるようにもたれ掛かって来る。


「おねがい。こうちゃんなら私が勝てるように教えられるでしょ? 教えて」


 そうやってマリカはおねだりしてくる。


「わかったけど、俺のレッスンは厳しいぞ」


「やったー!」


 こうして俺たちのゲームレッスンが始まった。

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