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第三話  旅人

 こうして新しく投稿をすると初心を思い出します。

 モチベーションが高過ぎて指が止まらなかったなぁ・・・

 ウォルデ大陸


 マイクロドローンの調査により、坂田の降り立った大陸の名称が判明した。

 現在地に最も近い文明は、森から南西方向へ約20km地点に存在する農村である。

 当初は単体で存在する村かと思われていたが、後に特定の国家に属する事が判明。

 その国名は<エイスティア王国>である事が判明した。

 既に言語解析も完了しており、翻訳機によって音声が自動翻訳されて聞こえる様になっている。

 一方、開拓の進捗はと言うと、地上には現代的な一軒家が建てられた。

 坂田の家である。

 比較的緑豊かな南部をメインの住処とし、整備が進められている。

 周囲には道が整備されており、農地も出来上がっている。

 そこから北へ進むと、緑が薄まった辺りには地下格納式の発着場と倉庫が建設されており、艦隊や月面基地との物資のやり取りを行っている。

 現在は、防衛設備を各地に整備している最中である。


「農作物の状態はどうだ?」

 坂田は、自宅から少し離れた場所に整備されている農場に赴き、作業中のアンドロイドに問う。

「予想以上の生育具合で御座います。制御された環境と自然とでは、やはりそれなりに差が出るのでしょう。」

 答えたのは、食糧生産を統括しているレジェンドアンドロイド スペック である。

 彼女の周囲では、農業用アンドロイドが動き回っている。

 食料はプラント艦で間に合っているのだが、万が一に備えての予備であると共に、土壌や環境に関する情報収集も兼ねて農作業を行っているのである。

「突然変異で毒性を持ったりしないよな?」

「それはそれでデータになりそうで御座いますが、ご主人様を害する物をお出しする事は御座いませんので。」

 恭しく頭を下げながら言う。

「ところで、ノアは何処だ?」

「ノア様でしたら、先程ご自宅に向かっておりました。」

「入れ違いになったか」

 急いで戻る。


 暫く後、


「マスター、探しました。」

「俺もだ」

「どうされましたか?」

「いや、月面の開発状況を聞こうと思ってな。」

「では、報告致します。」

 月面では、艦隊整備完了と同時にドックの建て直しが開始された。

 この星へ住み着くつもりでいる為、造船ドックを併設した大規模な設備となる。

 また、資源調査によって各種資源が豊富に埋蔵されている事が判明し、そちらの開発も進められている。

 それと並行する形で、各種生産設備の準備が進められている。

 まだ計画段階だが、防衛設備の準備も進められている。

 この他、最優先で進められているのが衛星網の整備である。

 これは地球の衛星網であり、万が一にも現地文明に掌握されない為に月面でコントロールされ、その為の管制施設が建設されている。

「また、本星系の各惑星の調査を順次開始しています。」

「結構進んでるな」

「彼の国でしたら、様々な利権に絡まれて無駄に時間が掛かる事でしょう。」

「確かに・・・」

 何にも煩わされる事のない環境に、思わず笑みが零れる。

「ところで、何で俺を探してたんだ?」

「少々厄介な事になりそうです。」

「厄介?」

 そう言うと、上空からメカメカしい見た目の無人機がやって来た。


 ワーカー

 大きい物は、人間の上半身と同等サイズにもなる大型ドローン。

 立体映像の投影や交通整理、配達等々多方面で利用されている。

 軍事利用もされており、ワーカー同士の空中戦が展開する事もある。


 現れたのは、下部に電灯の様な構造物が装備されている投影用である。

「現在、南部の森林へ接近する現地人が確認されています。」

 そう言うと、虚空にマイクロドローンからの映像が出る。

「この一団か」

 そこには、森林を前にする六人組がいた。

「単なる狩りにしては装備が整い過ぎてるな。」

「五人は軍人、一人は学者か何かでしょう。」

 鎧を纏った軽歩兵らしき五人と共に、高級そうな衣服を身に纏った男がいる。

 暫く佇んでいたが、意を決した様に森へ足を踏み入れた。

「入ったな」

「入りました」

 映像が森の内部に切り替わる。

 付近の獣が逃げるが、その物音に反応しつつも追い掛けようとはしない。

「狩りじゃないのは明らかだな。」

「何かを探している様にも見えます。」

 学者らしき男は、頻繁に周囲を見回しては立ち止まり、地面に触れたかと思えば歩き出し、その挙動には一貫性が無い。

「森の調査にでも来たか?」

「或いは、森の分布でも調べているのでしょうか?」

「・・・此処に来る可能性は?」

「無いとは言えません。」

 入植を始めてから間も無いにも関わらず、厄介事の可能性が浮上し、顔を顰める。

「取り敢えず、此処に辿り着くかどうかは現時点では判らない。監視を怠らず、森を抜けたらその時に考えよう。」

 そう言うと、当面の為の整備を続ける。




 ・・・ ・・・ ・・・




 ケミの大森林


 かつて、偉大な探検家によって名付けられたその森は、文明から遠く離れた地点に存在する事で開発の手が伸びず、太古からの姿を保ったまま静かに生命を育んでいた。

 そこへ、突如として訪れた六つの異物。

 見慣れない存在に怯え、草食の獣は慌てて姿を隠す。

 動けない木々も、これまでとは明らかに異なる存在に警戒心を持つ。

 そして、異物はありふれた鳴き声とは明らかに異なる声を発した。

「人の手の及んでいない地がこれ程神秘的とは思いもしませんでした。」

「コルタ様、足元にお気を付け下さい。」

「日が遮られ、ジメジメしているこの地が神秘的とは、私如きには理解の出来ない境地です。」

「足場がデコボコして非常に危険ですね・・・」

 彼等は、エイスティア王国に所属する者達である。

 中心となるのは、防具を身に着けていない男 コルタ である。

 濃緑色を基調とした外套を身に着けているが、これでも聖職者である。

 <クルティリス教>と呼ばれる宗教に所属し、学者と総称される研究職に就いている。

 彼は、自ら現場へ出向いて様々な調査を行う事を好むが、これは聖職者としては異例である。

 大多数の学者は、調査員を雇って現場へ向かわせるのが一般的であり、服装も白や青を好む。

 それだけに、現場へ出向く姿勢はともかく、外出用に好んで着ている緑色の服装についてはかなり嫌われている。

 尤も、本人はその様な事は歯牙にも掛けず、自らのスタイルを貫いている。

 コルタと言う男は、良く言えば唯我独尊、悪く言えば規律を乱す人物であると言える。

 周囲の五人は、今回の調査で彼に雇われた護衛である。

 学者に付いて行く必要から、全員が読み書きが出来る知識層である。

「時にコルタ様、例の彗星ですが、あれは一体何なのでしょう?」

 慣れない土地での行動に疲れを覚えた護衛の一人が尋ねる。

「今は何とも言えませんねぇ・・・」

「彗星と言えば、文献にも記載されている事例は少ないと聞きます。そんな珍しい現象が頻繁に起こると言う事は、この先の地が神から祝福されていると言う事ではありませんか?」

 別の護衛が興奮気味に口を挟む。

「彗星の出現は、一般的には凶兆と言われています。彗星を見た直後に名君が病死したとか、大災害が起きたとか、飢饉が発生したとか・・・」

 全員が青ざめる。

「で、では、今回もとんでもない何かが起きると?」

「一度に何度も彗星が出現して起きる凶事ですか・・・想像したくもありませんね。」

「で、ですが、彗星は神の涙とする説もあると聞いた事があります!悪魔が神に仇なした事で神がその凶行に涙し、その涙が本来であれば地上を壊滅に追いやる程の凶事を和らげているのだと!」

 重苦しい話に耐え切れなくなった護衛が必死に盛り上げる。

「真相は不明ですが、今回は一つ不可解な事があります。」

「不可解ですか?」

 全員が耳を傾ける。

「そうです。文献を調べてみると、これまで確認された彗星はいずれも真夜中に出現しています。今回は真逆の昼間です。太陽によって明るく照らされている空に、太陽とは異なる光がはっきりと見える。」

 太陽が圧倒的に明るいせいで、それ以外の弱い光が見えない。

 そうした事を論理的に理解している訳ではないが、日常生活からそうした現象を感覚的に理解しているコルタは、そうであるが故に今回の彗星がこれまでとは何かが明らかに異なると考えていた。

「闇夜で輝く彗星が凶兆なら、その逆の真昼の彗星は吉兆かも・・・」

「おお、それは何とも希望のある話です!」

「流石はコルタ様だ!きっとそうです!そうに違い無い!」

(本当にそうであれば良いのですが・・・)

 口々に褒め称える声に笑顔で返しながら、内心では希望的観測に過ぎない事を自覚していた。

 真昼でさえもはっきりと見える程に強く輝く彗星

 吉兆どころか、より酷い凶兆の可能性

 それも複数

(・・・縁起でもない)

 自分は聖職者だが、そればかりに囚われていてはいずれ吞み込まれる。

 本当に凶兆であるなら、呑み込まれるよりも現状を打開する道を模索するべきだ。

 そう自分に言い聞かせ、ネガティブな思考をリセットした。



 名前の使い回しは見逃してください!(土下座

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