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『蛹』~さなぎ~  作者: 木尾方
13/27

五月 ③

五月十日 ゴールデンウイークも開け、まだ、世間は休み気分のころ




駅員の男は不思議がっていた。


数日前から、駅ホームの線路にカラスが大量に降りているのだ。

もちろん、電車がくれば離れて、追い払ってもカラスの群れが線路上来るの繰り返しであった。

しかも何かを突いている感じだ。


駅にチャイムが鳴り響き、アナウンスが流れる。

《間もなく、二番線通勤快速、古宿行きがまいります。危ないので黄色い線の内側までお下がりください》


そして、駅員は、先ほどまで、乗客でいっぱいだった駅ホームの違和感に気づいた。

「なんだ?」最後尾の方には誰もいない。ピークの通勤時間は過ぎたといっても最後尾周辺だけ人が居ないのは不自然であった。

駅員は、ホームの後ろの方へと歩いて行くと何とも言えない空間の中に居る気がしのだろう、あたりをきょろきょろと見まわしたのだ。少し離れたところに人がいるはずなのに、人の存在感を感じないという不思議な空間、肌寒い。


二、三歩そのまま歩くと、ホームの端に先ほどまで居なかったはずの人影があった。藤崎あいり である。


ブツブツと呟く女を見て、駅員の男は、嫌な予感しかしてなかった。


ホーム線路上には、十数羽のカラスが、まだ、群がっている。


また駅にチャイムが鳴り響き、アナウンスが流れる。

《間もなく、二番線通勤快速、古宿行きがまいります。危ないので黄色い線の内側までお下がりください》


河川鉄道橋の方面から、電車が予定通り見えてきた。

カラスの群れが舞い上がった。


「お客様、あぶないので もう少しお下がりください」駅員の声に藤崎は振り向き、

「ああああああ!!!!」と、目を見開き、何日も磨いてないような、汚れた歯をむき出しにして叫んだ。


思わず、駅員の男は退きたじろいだ。


そして、藤崎は「あはははは!」笑い そのまま線路に飛び降りたのだった。







電車が来る時は、多くの人が一度は電車が来る方を向くだろう。

だが、藤崎が電車にかれるまで、当たるその時まで、肉が飛び散るまで、その空間に居た駅員以外、誰も気づかなかったのである。そっちを向いていたにもかかわらず。


ギャギャギャキィィィィー


つぎの瞬間、急ブレーキの車輪と線路との摩擦音、ホームに響く悲鳴、異変に気付く人、一番線に停車してる電車や二番線ホームに血肉が飛び散る。


大急ぎで駆け寄る他の駅員たち

カラスの群れが、電線から見下ろしてた。


駆けつけた駅員が現場を見て嘔吐した。

異常であったのだ。

飛び散り砕け断裂された肉片が、まるで先ほどまで、何かに突かれたかのように食い荒らされた遺体であったのだ。

周りでは人が逃げ、叫び、倒れた。


そして、人身事故の一報が指令所に送られた。










船津道忠は、まったくと言っていいほど自室アパート一〇三号室から外に出ない。

デイトレードをやっており、収入も月四十万ほど稼いでいるが、あまり金に執着がない。

働くのも嫌いだから、デイトレーダーをしている程度だ。そして食事もデリバリーばかりだ。

 ほぼ、毎日、EJ3のライブでデイドレードや今人気のオンラインゲーム「Release・Red」(リリース・レッド)《通称ダブルR》をしている様子を一日を垂れ流ししている。最近はお菓子を食べながら配信している。





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