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第六話 ドロップアイテムは女の子?


「グォオオオオ!!」

―ガン!

「ぐっ……! 結構力強いな…………!?」


 体格の良いゴブリンは優之介と斬波を目掛けて襲いかかってきた、手下を殺された恨みと言わんばかりに手に持ってる棍棒を振り回してくる。

 優之介が前に出て棍棒を剣で受け止めるが、体格の良いゴブリンの方が力が強いので優之介は押される一方だ。


「【岩弾(ロックバレット)】」

「グギャウ!?」


 斬波が優之介の背後から体格の良いゴブリンの額を目掛けて魔法を放つと、綺麗に眉間に命中し体格の良いゴブリンは大きく仰け反った。

 優之介は一旦距離を置き、相手の様子を伺うと同時に【鑑定】スキルで鑑定した。


【ホブゴブリンウォリアー】

 ゴブリンの上位種、ホブゴブリンから更に分岐して進化した亜種。

 近接戦を得意としており、オークに匹敵する腕力から繰り出される攻撃は強力で、その攻撃を生身の人間が受ければひとたまりもない。

 

「ホブゴブリンウォリアー……」

「確かにパワーは強そうだけど俊敏性は低そうだな、【身体強化】で速さと攻撃力を補えばいけそうか?」

「やってみる! 【身体強化(ブースト)】」

「グォ!?」


 優之介は自身に【身体強化】魔法をかけて再びホブゴブリンウォリアーに挑む。足捌きで相手を翻弄しながら斬りつけ、相手からの攻撃は躱し、去なす。最初こそはホブゴブリンウォリアーのパワーに圧倒されていた優之介だが、時間が経つにつれ斬波の援護が要らない程優位に立ち回れるようになっていた。

 更に、中距離から放たれる斬波の魔法との連携が相まって、野郎二人にとって戦いやすく、確実にホブゴブリンウォリアーを追い詰めていく。しかし……。


「グッ……、グオオオオオオ!!」

「ギャア! ギャア!」

「ギィ!」

「洞窟から援軍!?」


 自分が劣勢の状況に追いやられてると自覚したホブゴブリンウォリアーは、洞窟に向かって咆哮をあげた。すると、洞窟からギャアギャア! とゴブリンが七体出てきた。援軍を呼んだタイミングからして、このホブゴブリンウォリアーは戦い慣れていると、斬波は判断した。


「二回進化してるだけあって、そいつは戦い慣れてるな。交代しようか?」

「いや、まだ大丈夫!」

「そか、俺はゴブリンの相手をしてくるよ」

 

 斬波はそう言うと優之介の援護をやめて、しれっと増援ゴブリンの迎撃に回った。


(あれだけ手足の関節を狙ってやったんだ、優之介が討伐するのも時間の問題だろうよ)

「さて、お前らの相手はこの俺だ。今ちょうど頭の中で一つの実験テーマが浮かんでな、”魔力を外骨格のように纏ったら身体にどのような変化が起きるのか?”を試したいんだ。ちょっと付き合ってくれよ」

「ギャアア!」

「ウィイイイ!」



――――――――――――――――――――



 優之介はホブゴブリンウォリアーと、斬波は七体のゴブリンと戦っておおよそ十分が経過した頃だった。斬波は既にゴブリン達を殲滅し、優之介とホブゴブリンウォリアーの戦いに決着がつくのを見守る中、その時はついに訪れた。


「ウ、グウゥゥゥ……」


―ドシャァッ……―


「はぁ……はぁ…………。やった、のか……?」

「フラグ立てるなー」

「やかましい! でも、やったんだ……俺」

「あぁ、よくやったな」

「いよっしゃあああああ! だはぁ~キツかったぁ~~!!」


 優之介は激闘の末、ホブゴブリンウォリアーを討ち取ることに成功した。斬波の援護があったとは言え、結果的に一人で強敵を討伐できた事は彼にとって大きな経験値となっただろう。

 斬波は魔法鞄から水袋を取り出して優之介に渡し、優之介はゴクゴクと水を一気に飲むと「ぷはぁ~」と大きく息を吐いた。


「お疲れさん、達成感満載の嬉しそうな顔しやがって」

「いやでも今最高に嬉しいですもん! 今度は斬波さんの援護なしで、もっと早く倒せるようになりたいですね。斬波さんの援護がなくなってからあのホブゴブリンウォリアーの動きが鈍くなったと思ったら、関節に集中して魔法を撃ってたんですね?」

「あぁそうだ、精密に狙いを定める練習として関節を狙ってやった」

「お陰様で後半は戦いやすかったです。自転車の補助輪付きを乗らされたような感覚でしたが……」

「まぁ手に汗握る戦いが出来て良かったじゃないか、俺は一酸化炭素中毒と酸欠でオーガを殺した所為なのか、そのへんのモンスターとのレベルに、開きがあるような気がしてどうも気持ちが入らない」


 優之介は斬波の背後に転がっているゴブリン達の死体に目をやった。頭部が潰れていたり、胴体に穴が開いていたり、どう見てみても素手で負わせられるダメージじゃない。

 優之介はギコギコと音が鳴りそうな程、ぎこちない動きで斬波の方に顔を向き直してこう言った。


「斬波さん、人間やめたんですね……」

「”ヒト”はやめてるかもしれないけど”人間”はやめてねぇ! 【魔力纏】【魔力変化】ってスキルがを取得しただけだ!」


 斬波が生物学的な言い訳をするが、優之介は疲れててツッコミを入れる気力がないので、ジト目だけ返す。その時、優之介の脳内に世界の声が響いてきた。


―スキル【見切り】【ゾーン】【剣術】を習得しました―


「あ、スキル三つ習得した……」

「今の戦闘だけでか!?優之介、お前センスあるんだな!」

「はぁ……」


 優之介も斬波も、このスキル取得の条件は今でもさっぱりわからない。今度神様達に会ったら聞いてみようと思う。

 一休みして剥ぎ取り作業と火葬を済ませ、斬波が「よぅし! 村に戻るか!!」と大きく元気な声で言うと、洞窟の奥から助けを求めるような声が聞こえてきた。


「誰か、誰かいるのですか!?助けてください……」

「ん? 人の声? 誰かいるのか?」

「しかも女性の声じゃないですか、様子を見に行きます?」

「台詞からして逼迫した状況ではなさそうだ、慎重に行くぞ……」


 今度はゴブリンの鳴き声じゃなくてしっかりとした人間、しかも女性の声が聞こえてきたので、野郎二人はお互いに顔を見合わせ、頷き、警戒しながら洞窟の中に足を踏み入れるのだった。


アクセスありがとうございますm(_ _)m

後何話か投稿したら閑話を書きたいなと思います。

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