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第一話 異世界QCストーリー


 神様達とのやり取りを終え、買い物をしながら宿屋に戻った優之介と斬波は自室で寛いでいた。


「斬波さん、工場がよくやる改善活動ってなんですか?」


 優之介は「工場がよくやる改善活動」と言うものがわからないので斬波に聞いてみた。すると、斬波は自信たっぷりに答えてくれた。


「ふっふっふ、それはQCストーリーと言ってな、テーマの選定、現状の把握、目標の設定、原因の分析、対策の立案もしくは実施、効果の確認、歯止めと標準化の、八つのステップに分けた改善活動なんだ」

「QC?ってなんですか?」

「クオリティコントロールの略だ、まぁ学校卒業したてで仕事をしたことがないお前は知らなくても無理はないか。製造業において、製品の品質を一定水準に保つことと考えればいい。まぁともかく、日本の科学技術は日々改善によって進歩してきた、それをこの世界でやれば良いだけの話だ」 

「はぁ……」


 斬波が工業について熱く語るが、優之介にはやや理解が難しいらしく話についていくのがやっとだ。しかし、頭がこんがらがってる優之介のことなどお構いなしに、斬波はどんどん話を進めていった。


「テーマの選定はローリエさんが言ってたけど『イェクムオラムの生活水準向上』で、現状の把握はスキップ、目標の設定は『魔法に頼らない日常生活を定着させる』にしといて、原因の分析は現段階では『日常生活が魔法に頼りきり』で他にもありそうだがそれはこれから見つけていくとして……」

(あぁ、斬波さんの悪い癖が出てきてしまった、早めに止めないと……!)


 斬波は神様達からの頼み事を解決するべく、QCストーリーを紙に書いていく。しかし、一度考え込むと時間と我を忘れてとことん考え抜く悪癖があるため、優之介は程々にするように斬波を諌めた。


「斬波さん、疲れてるんだからそれはまた今度にしましょうよ!」

「わかっとるわい、約一柱のせいでどっと疲れがたまってるからな。それに、神々はこの世界全体規模で改善をしてくれと頼んできやがった、一朝一夕でどうこうできるもんじゃねぇ。だから少しづつ情報を集めて整理しつつ、俺らでできる範囲で改善活動をしていかなきゃな。だから、書き留める事ができるものは書き留めておかないと……」

「まぁゆっくりやっていきましょうよ。それよりお腹がすきませんか?」


 気付は空は茜色に染まり、あと数時間後には完全に日が暮れる、そんな時間になっていた。そろそろ頃合いかと思った斬波は。キリの良い所で筆記作業を終了し、腕を上に伸ばして肩の力を抜いて休憩モードに入った。


「確かにいい時間だなぁ、風呂に入って飯にするかぁ~」



――――――――――――――――――――



「うちにお風呂はありません」

「「何いいいいいいいいいい!?」」

「そもそも、お風呂なんて贅沢品は王侯貴族や大商人の屋敷くらいしか設置されてませんよ」


 優之介と斬波は絶望した。

 宿の一階に降りて、看板娘のコネリーに「お風呂はどこにあるの?」と聞いたら、この宿にお風呂は無くて水浴び場しかないらしい。しかも、コネリー曰くお風呂は贅沢品でお金持ちしか所有してないそうだ。

 たった二泊とは言え、転移した先のアースカイ王城ではお風呂が当たり前のようにあったので失念していたが、優之介と斬波は王侯貴族と平民の暮らしに、ある程度の格差がある可能性を想定し忘れていた。


「今の時間から水浴びだと風邪ひいちゃいますよ? 魔法で水に火魔法をぶつけて、お湯に変えることが出来るなら大丈夫だと思いますけど?」

「「……は?」」

「『は?』って何ですか!?『は?』って! 水をお湯に変えるには、水に熱を送り込む必要があるのは知ってますよね!?」


 優之介と斬波はコネリーの言葉に一瞬(この子バカなの?)と思ったが、コネリー曰くお湯が欲しい場合、魔法が使える人は水魔法で水を生成してから、火魔法で水を温めてお湯を作るらしい。そして魔法が使えない人は鍋に水を入れて火にかける以外、お湯を手に入れる手段がないらしい。

 この話を聞いた野郎二人は(何て非効率なんだ……)と、この世界の人間の容量の悪さを嘆いた。


「ま、まぁとりあえず水浴び場まで行ってきますよ……」

「風邪ひかないでよね~」


 コネリーに心配そうに見られながら、優之介と斬波は水浴び場まで足を運んだ。水浴び場は宿の裏手にあり、井戸から水を組んで使うスタイルだった。暑い気温の時なら気持ち良いだろうが、今は夕暮れ、普通に水浴びをしたら確実に風を引くだろう。

 野郎二人は井戸を見てさらに落胆した、その理由は……。


「井戸ってこんな感じなんですね、あれ? 上下に動かすポンプみたいなのないんですかね?」

「ガチャポンプな、それすらもないのかよ……」


 井戸にはだいたい設置されているはずのガチャポンプが、設置されていなかったからだ。

 

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