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悪役辞退~その乙女ゲームの悪役令嬢は片頭痛でした  作者: 三角ケイ
プロローグ~長いオープニングムービーの始まり
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アンジュの手紙(前編)

アンジュが妊娠中に書いたライト宛ての日本語の手紙という形式で書いています。アンジュの思考は父ちゃんなので、乙女ゲームについての説明が男性目線で語られています。乙女ゲームの説明に、偏見めいた表現がありますので、ご注意下さい。

 前略、ゴリマッチョ師匠こと雷斗様。


 俺は今すっごくつわりが厳しいんで動けませんが、グランとイヴや他の皆に大事にされて、幸せな毎日を送っています。雷斗さんは城でエースさんへの引き継ぎ頑張っていますか?前世では独身を貫いておられた雷斗さんが結婚されていて、俺は驚きましたが、城の肖像画を見て納得しました。


 雷斗さんのお嫁さんとなったお姫様、瞳の色や髪の色は違うけど、どことなく唯ちゃんに雰囲気似てますよねー、俺の気のせいですかね?って、どこまで妹大好きなんですか!引きましたよ、俺!全力でドン引きましたよ、俺は!


 ……さて、冗談はさておき、雷斗さん。俺達を受け入れてくれてありがとうございます。おかげで唯ちゃんや愛は、あの国で死ぬことはなくなったので、俺はずごく感謝しています。今日はつわりも酷くないので、以前雷斗さんに頼まれていた、俺が覚えている乙女ゲームのこと覚えているだけ書き出してみることにしました。何分前世のことですので、うろ覚えの部分や覚え違いもしている所があるかもしれませんがその辺は大目に見て下さいね。




 ……で初っぱなから、すみませんが実は、その乙女ゲームのタイトルを、俺は覚えていないんです。あの女があの時、一番流行ってる乙女ゲームだって言ってたし、早く唯ちゃんと愛のいる病院に帰りたかったから、タイトルなんて気にしないで、買ったんです。あの時にあの女に頼らずにいれば、娘と喧嘩なんかしなかったかも……なんて、今さらですよね。すみません。先に進みます。


 雷斗さんは乙女ゲームを知らないと思うので、先に説明をします。雷斗さんと唯ちゃんと愛は、頭痛持ちだったから、テレビのモニターもしくはパソコンを使って遊ぶテレビゲームは未経験でしたよね。CMや情報番組なんかで紹介されていたシューティングや格闘、パズルなど多種多彩なゲームがあるということだけは……実際に格闘ゲームのキャラクターのモデルになったことがある雷斗さんは、ご存じだとは思いますが、その中に乙女ゲームと呼ばれるゲームがあるんです。


 俺もあの時、病院で唯ちゃん達の話を立ち聞きしたときに初めて知ったんですが、乙女ゲームというのは、女性が好む恋愛シュミレーションゲームのことをそう呼ぶのだそうです。恋愛シュミレーションゲームは出てくる登場人物達との会話やイベント時の行動をその都度、選択していく形式でゲームが進んでいき、その選択で、そのゲームの結末が変わるんです。


 本の物語なら結末は一つですが、乙女ゲームは、まるでパラレルワールドみたいにいくつもの結末があるんです。雷斗さんには想像もつかないでしょうが、ハッピーエンドで終わる場合もあればアンハッピーエンドもあるし、ノーマルエンドや友情エンド、逆ハーレムエンドなんてものまで用意されてました。


 ま、大体が、自称平凡を名乗る、充分可愛らしい見た目の女の子が、顔も身分も能力も良い、色んなタイプの男達に、ちやほやされて、最後は玉の輿に乗るゲームって感じですよ。ほら、いつか王子様が白馬に乗って迎えに来るっていう、乙女の夢が2次元で叶うってヤツです。で、恋には障害があったほうが盛り上がるっていう、お約束の元、現れる悪役のことを乙女ゲームでは悪役令嬢と呼ぶそうで、その乙女ゲームでは、それが俺の可愛いイヴなんですよ!


 確かあらすじは、国立学院に入学する主人公が4人のイケメンを恋に落とすゲームだったと思います。学院生活を前向きに頑張る主人公に上級貴族の彼等が惹かれていくって、感じのゲームでした。そしてそれをこころよく思わない悪役令嬢(=これがイヴです)の虐めがいっぱいあって、それを乗り越えて一年後の卒業パーティーでハッピーエンドを迎えられるように頑張る一年間のお話だったと思います。では今から俺が覚えている、その乙女ゲームの登場人物を書いていきますね。



 ○ピュア(名前変更可)(瞳色・髪色変更可)……このゲームの主人公。確か男爵か子爵の令嬢だったかと。基本設定ではピンクのクネクネした髪と水色の目の少女でした。幼い頃に病で母親を亡くしている、明るく優しい、物語のヒロインらしい性格でした。このヒロインの性格が愛によく似ていて、母親がいないと知って俺は、唯をちゃんを思って泣き、愛を思って泣いたという記憶があります。


 ○エイルノン王子(名前変更可)(瞳色・髪色変更不可)……攻略対象者。王子様。国立学院生徒会会長。笑っちゃう位、王道中の王道、白馬が似合う金髪碧眼のキラキラ王子様でした。


 ○トリプソン(名前変更可)(瞳色・髪色変更可)……攻略対象者。侯爵家子息。騎士団団長の息子。国立学院生徒会副会長。彼はどことなく、前世の雷斗さんに似てます。幼少期から祖父に鍛えられていたため、筋骨隆々の強面に育ち、性格も寡黙な武人。ますます似てますね。雷斗さんもひどい頭痛のときも、自分の筋肉を育てるのを欠かしませんでしたものね。実は見た目に反し、小さく可愛い物が大好きで、秘密だが、ウサギのぬいぐるみを持っている。……これのモデルって雷斗さんなんですか?シスコンで、可愛い姪っ子の愛が大好きでしたもんね……。


 ○エルゴール(名前変更可)(瞳色・髪色変更可)……攻略対象者。大司教の息子。国立学院生徒会書記。攻略対象者達の中で一番背が低く、線が細い。幼い頃は神子姫エレンとして、舞を舞っていた。


 ○ベルベッサー(名前変更可)(瞳色・髪色変更可)……攻略対象者。宮廷医師の息子。国立学院生徒会会計。父親を尊敬し、将来は世界一の医師を目指している。


 ○イヴリン(名前変更可)(瞳色変更可・髪色変更不可)……悪役令嬢。シーノン公爵令嬢。第一王子の婚約者。国立学院風紀委員。ヒロインの同級生。銀髪に青い瞳のクール系美少女。これがうちの可愛いイヴですよ。別名”社交界の銀色の薔薇”、”銀色の妖精姫”もしくは”銀色の天使”って呼ばれていました。出るべき所は出て引っ込むべき所は引っ込んだ抜群のプロポーション。今は5才ですが、ゲーム通りだったら、将来、魅惑的な小悪魔ボディの持ち主になるんです。あの大きいのに形の良い胸や、プリプリした丸いお尻は、今の俺の体型ですよ!娘は俺に似るんです。何たって、あの国で俺、社交界の紅薔薇って呼ばれてたから!髪色と瞳はグランの色ですね!俺達の愛の結晶ってヤツですよ!キャッ、恥ずか嬉しい!!確か性格は、多くの使用人を顎で使う高慢で卑屈で嫉妬深い、我が儘な性格で、幼少期両親の離婚、父親の突然死を経験したため、自身の婚約者や義兄に固執するようになる。


 はい、ここです、ここ!全然俺の娘と性格違います!イヴは明るく素直で可愛く、前向きで思いやりがあって、賢くて……あ、永遠に褒めてしまいそうだから、この辺で止めておきます。俺とグランは再婚しましたし、グランは死亡回避したので、悪役令嬢の要素がイヴにはありません!大体俺の娘が悪役なんて、似合わなすぎて!ミスキャストだって神様に突っ込み入れたいくらいですよ!


 確か、その乙女ゲームでは、どのルートでもイヴリンが障壁となって立ちふさがり、彼女に虐められるからこそ、攻略対象者達との恋愛が進むんです。それに耐えて、勉強や淑女教育に頑張ると、レベルが上がって、攻略対象者達と親交を深めると、好感度が上がってた感じでした。


 ○ルナーベル(名前変更不可)(瞳色・髪色変更可)……サポートキャラ。保健室の先生。元貴族の修道女。ヒロインが虐められているのを身を挺して、かばってくれる。淑女教育を教えてくれて、上級貴族のマナーに詳しい。ゲームのセーブをする設定も、ここで行う。


 このルナーベルですが、今書いていて思い出したんですが、実は彼女は今世の俺の……同じ年の姪です。姪のルナーベルは子どもの時からお腹が弱くて、男性が苦手で、ちょっと色々あって、声が出なくなってしまって、修道女になったんです。あれから連絡もとらないまま、ここに来たので、今、どうしているのかわかりませんが、ルナーベルは、すごく優しい子だったけど、人見知りするところがあって、保健室の先生が10年後に出来ているのか心配です。声も戻っているといいのですが……。

※アンジュのゲームの記憶と、今後出てくる転生者のゲームの記憶で内容が重複している部分や、内容が異なる部分がありますが、それぞれがゲームの全てをきちんと思い出せていないという前提で、これらを読んで下さい。基本、アンジュの記憶は大体は合っています。

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