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名前 トリー

種族 魔素族

職業 エリートダークファイアプランクトン New!

レベル 9

魔力 960/960(600+360)

知力 30

スキル 魔力上昇6 魔力回復上昇6 魔力操作7 魔力感知7 

    火魔法5 浮遊7 魔素操作3 闇魔法1 New!

STP0 SKP2



「連続詠唱……だと?」


 【闇魔法】取得後に発生した、【連続詠唱が取得可能となりました】というアナウンス。


「多分、複数の魔法スキルを取得することが条件だったんだろうけど……なんて悩ましいスキルなんだ」


 もしクールタイムを無視して連続で魔法が打てるのなら、攻撃の幅が一気に広がる。

 勿論、複数の敵を相手取ることも可能だろう。

 しかし……。


「スキルの枠、既に8つ埋まってるんだよなぁ……」


 【亜空間収納アイテムボックス】取得のため、残り2枠は【光魔法】と【空間魔法】が入る予定だ。

 当然、亜空間収納アイテムボックスを諦めるという選択肢は無い。

 現状モンスターは経験値にしかなっていないが、俺だって素材を持ち帰って換金したり、強い装備を作ってもらったりしたいのだ。

 装備できるかどうかはともかくとして。


 MMORPGだというのに、全然MMO出来ていないという点も問題だが、今はレベル上げが結構楽しいのでとりあえず問題ない。

 ただ今後、アイテム無しで進めるのはかなりハードモードだ。

 と言う訳で、今後取る予定の【光魔法】と【空間魔法】は譲れず、【連続詠唱】を取る余裕がない。

 ニャリスが言っていた、中級スキルによるスキルの統一に期待しても良いのだが……。


「とりあえず、明日ギルドで聞いてみるか」


 困ったときのニャリス様。

 考え無しにSKPを消費するのもよろしくないだろうし、明日ギルドで聞いてみることにしよう。



◇◇◇◇



【4日目】


 エミリアの元気な顔を拝顔し、フワフワと漂いながら冒険者ギルドへと移動する。

 相変わらず好奇の目は集中するが、ギルドから情報が出回っているのか昨日程ではないようだ。

 カウンターに移動すると、ニャリスが他の受付嬢たちにあれこれと指示を飛ばしている所だった。


「ニャリスー、ちょっといいか?」

「あら、いらっしゃい。相変わらずの浮きっぷりね。亜空間収納アイテムボックスへは近づけたかしら」


 俺の浮遊な登場にはすっかり慣れたのか、涼しげな顔で毒を吐くニャリス。

 ただ彼女が言うと嫌みに聞こえないから不思議だ。

 少しは親しくなれたという証拠だろうか。


「いや、そのことでちょっと相談があってさ」

「ひょっとして、【連続詠唱】について?」

「……何故分かったし」


 ピンポイントで言い当てられ、戸惑う俺。

 

「ふふ、タイミング的にね。火に加えて光か闇のどちらかの魔法を取得して、【連続詠唱】が取得可能になったんでしょう? まぁ初心者でよくある質問なのよ」

「なるほど」


 確かにこのタイミングで聞きたいことと言えば、自然と答えに行きつくか。


「で、その【連続詠唱】についてと中級スキルの統合について聞きたいんだが……」

「う~ん、ちょっと待ってね。実は昨日知り合いの情報屋にあなたを紹介してくれって頼まれて。出来ればその人に聞いてもらいたいの」

「別にそれは構わないが……なんでまたわざわざ?」


 ニャリスも知っている様だし、出来れば彼女が教えてくれた方が安心なんだが……。

 

「ちょっと今立て込んでてね。ゆっくり相談に乗ってあげられそうにないのよ」

「そういえば、何だかいつもよりドタバタしてるな。何かあったのか?」

「う~ん、ごめんなさい。まだ確定した情報じゃないから迂闊には話せないは。またはっきりわかったら教えてあげられると思う」


 ギルドは信用度の高さが売りだもんな。曖昧な情報は言えないのか。


「そっか、わかった。で、俺はどうすればいい?」

「ちょっと待ってね。あの子はギルドカード持ってるから、今呼び出してみるわ。タイミングが良ければすぐに来れるんじゃないかしら」


 そう言って、ギルドのカウンターで何やら作業を始めるニャリス。


「良かった、丁度近くにいるみたい。そこのテーブルで待ってたら声を掛けてくれると思うわ。兎人族のちょっと見た目が独特な子だから、来ればすぐに分かると思う」

「ん? それってどう言う……」


 とその時、カウンターの向こうから彼女を呼ぶ声が聞こえてきた。


「ニャリスさーん、ちょっといいですかー!」

「はーい、今行くわー! ごめんなさい、そういう訳だからあとはその子に聞いてみてね」

「お、おう、ありがとう……」


 俺の返事を聞くや否や、ニャリスはカウンターの奥へと消えていく。

 本当に忙しいようだ。

 というか、見た目が独特な子って、どういう意味なんだろう……。


「とりあえず、待っているしかないか」


 仕方が無いのでテーブルにフワフワと移動し待機する。

 すると程なくギルドの扉が開き、兎人族の女性が入ってきた。


「おお……」


 確かに独特な見た目だ。

 白く可愛らしい兎耳と顔には小さな鼻眼鏡。

 エンジ色のジャケットに首には赤色の蝶ネクタイ。

 下はベージュの半ズボンと膝丈まであるボーダーの靴下を履いており、そこだけ見れば一見男かと勘違いしてしまう。

 しかし胸元には大きな懐中時計と、さらに大きな2つの山がどどーんと。肩から斜めに下げている鞄によって、それ・・が更に強調されている。

 間違いなく、女の子である


 俺が呆然と彼女を眺めていると、向こうがこちらに気づいたらしく、トタトタと可愛らしく駆け寄ってきた。


「こんにちは! キミが魔素族のトリーさん、だよね? 待たせてしまったかな?」

「い、いや、そんなに待っていないが……」

「おお、よかったよかった。ニャリスさんから連絡を貰って急いできたんだー。そう言ってもらえるなら、急いだ甲斐もあるよ! 僕は【時計うさぎ】のラビック、情報屋だよ! 気安くラビって呼んでね!」


 座っている俺と同じ高さの目線で堂々と明るく挨拶をしてくるラビック。

 背はかなり小さく見た目も独特だが、中身は意外としっかりしているようだ


「トリーだ。さん付けは無くていい。急がせてしまったようで申し訳ない」

「あはは、全然気にしなくていいよー。僕のこれ・・はロールプレイだからね。でもよかったー。ニャリスからちょっと変わった人だって聞いてたから、まともに話せるかちょっと心配してたんだよね。普通そうな人で安心したよ!」

「そ、そうか……」


 ニャリスめ、俺の事をそんな風に思っていたのか。今度一言いってやらねば。


「そんなに緊張しなくても大丈夫だよー。別にお尻の毛まで毟ってくってやろうなんて思っていないから。もっとリラックリラックス!」

「りょ、了解だ。ところで……君も、召喚者なのか?」

「うん、そうだよ。いつもこのくらいの時間から潜っているかなー。因みにSec−Dは結構前からお世話になっていて、この世界がオープンしてすぐにプレイを始めたから、異世界生活はもうすぐ20日目になるね!」

「なるほど、ベテランだな。既に知っているかもしれないが、俺はまだ始めたばかりで、色々と聞きたいことがたくさんあるんだ。しかし……情報屋だから、お金と情報が対価として必要なんだよな?」


 ニャリスに言われるがままこうして彼女と対面した訳だが、昨日ニャリスが情報屋は情報が無いと相手にしてくれないとか言っていた。

 【浮遊】については昨日ギルドに話してしまったし、今俺が持っている情報で大したものはない。

 空中浮遊をした感想、とかで勘弁してもらえないだろうか。


「あ~、ニャリスから聞いたんだね。確かにそういう場合も多いけど、今回は僕からお願いしたことでもあるし、あまり気にしなくても大丈夫だよ?」

「そうなのか? それは俺としても助かるが……流石に何も無しっていうのはな」


 タダより恐いものは無いとも言うし。


「そうかい? いやー、トリーは結構真面目なんだねー。じゃぁそうだなぁ……あ、良かったら一緒にフィールドで素材集めを手伝ってもらってもいいかな? この装備を揃えるのに結構使っちゃって素寒貧なんだよねー。その手伝いと、トリーの戦い方を見せてもらうのが対価、ということでどうかな」


 やはりその服はオーダーメイドだったのか。装備と言うからにはそれなりに機能性も高いのだろう。

 一見普通の服にも見えるが、インナーの白シャツなんかは結構凝ったつくりをしている。

 作らされた人も大変だったろうに。


「そんな事でいいのなら、こちらとしてもありがたい限りだが……」

「じゃぁ決まりだね! そうとなったら早速急いで出かけることにしよう! 時間は有限だよ!」

「そう……だな。よろしく頼む」

「はーい、頼まれました! じゃぁしっかりと僕の後に着いてきてね!」


 そう言って、トタトタと可愛らしく走りながらギルドの出口へと向かうラビック。

 急いでいるように見えるが、そのじつスピードはほとんど出ていない。

 なるほど、彼女の言うロールプレイとは、この急いでいる雰囲気を醸し出すことを言っていたのか。

 確かにまるで、不思議の国のア◯スに出てくる時計うさぎのようだ。

 俺がそんな彼女を微笑ましく眺めていると、彼女がこちらに気付いて振り返る。


「おーい、何をぼーっとしてるんだい? 早くしないと遅れちゃうよ!」

「ああ、すまない。今行く」


 何に遅れるのかはわからないが、しきりに“遅れちゃう遅れちゃう”と呟きながら走るラビック。

 中々芸が細かい。

 トタトタと走るウサギの後ろを、フワフワと着いて行く人型の霧。

 中々カオスな絵面だなと苦笑しつつ、俺はラビックと共にフィールドへと繰り出した。



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