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「――火球」
詠唱と共に、バレーボール大の火の玉がプチスライム目掛けて飛んでいく。
プチスライムは避けることなく火の玉を受け、そのまま消滅していった。
「えっと、流石に弱くないか?」
「え~っと、スライム種は元々魔法に弱い種族なんです。なので、魔法系スキルを覚えている人にはとても戦いやすい種族ですね。ただ、流石に一撃というのは……あ、もしかしてトリーさん、職業が変わっていませんか?」
そう言えば先ほどそんなアナウンスがあったな。
名前 トリー
種族 魔素族
職業 エリートファイアベビー New!
レベル 4
魔力 92/360(300+60)
知力 15
スキル 魔力上昇2 魔力回復上昇2 魔力操作1 魔力感知5
火魔法1 New!
SKP 1
「うん、確かに【エリートファイアベビー】になってる」
「エリート……確か、【神の声】に素直に従った者が就ける職業でしたね。【ファイアベビー】は確か、火魔法を覚えたばかりの魔素族が就く職業だったと思います。ギルドの資料室で調べれば、もっと詳しいことは分かると思います。あとは情報屋さんに聞くのも手ですね。こちらは有料ですが」
「了解だ」
とりあえず、あとでギルドの資料室に寄ってみよう。
「じゃぁしばらくプチスライム退治に付き合ってもらっていいかな?」
「はい! あ、あとこれがモンスターを討伐した際に出るドロップ報酬です。通常、モンスターを討伐すると身体が霧散し素材を残すことが多いです。【解体】スキルを取得するとモンスターの死体がそのまま残るため、身体全てを解体することも出来ます。こちらの方が素材が沢山手に入るのですが、解体の消費時間や持ち運び可能容量を考えると余りお勧めは出来ません。数を熟して基礎レベルアップを優先させた方が良いでしょう」
「わかった」
【火魔法のレベルが上がりました】
【火魔法のレベルが上がりました】
【魔力上昇のレベルが上がりました】
【魔力回復上昇のレベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
名前 トリー
種族 魔素族
職業 エリートファイアベビー
レベル 4》5
魔力 102/360》455(350+105)
知力 15
スキル 魔力上昇2》3 魔力回復上昇2》3 魔力操作1 魔力感知5
火魔法1》3
STP 5》0 SKP 1》3
プチスライムを10匹ほど倒したところで基礎レベルが一つ上がった。
STPは魔力に回し、魔力上昇と魔力回復上昇のスキルレベルも1つ上がったことで、日常動作中の消費魔力と回復魔力が少し近づいてきた。
まだまだマイナスではあるが、5分歩いて5分休むといった風に、着実に休憩時間は減ってきている。
ファイアボールに関しては消費魔力は一律のようだ。
取得時の消費魔力は10。そこからスキルレベルが1上がるごとに、消費魔力も1%減っていくらしい。
正直ファイアボール程度では微々たるものだが、もっと消費魔力の大きい魔法になれば、その恩恵もかなり大きいだろう。
「そろそろトリーさんの【召喚限界時間】ですね。1度ギルドに帰り、この素材を換金してしまいましょう」
【召喚限界時間】とは、入眠の際に予め目覚ましをセットしておくことで設定できる、この世界での活動時間の事だ。
俺自身も随時確認可能だが、クリスタルを持っているエミリアもその時間は把握できているらしい。
クリスタルの輝き具合で分かるんだとか。
俺たちはそのまま街に戻り素材の換金を済ませ、お金はギルドに預けさせてもらった。
「では最後に、時間ぎりぎりまで魔力操作の訓練をすることにしましょう。余り時間はありませんが、最初のコツさえ掴んでしまえば、あとはそれほど難しくありませんので」
「了解」
「先ずは魔力感知で自分の魔力を感じて下さい。その魔力が、全身をゆっくり流れているのは分かりますか?」
言われた通り自分の魔力に集中すると、体中をざらざらとした魔力が蠢いているのがわかる。
集中すればするほど、全身がむず痒く感じてしまい少し不快だ。
「魔素族の方は特に身体を占める魔力量が多いため、不快に感じることも多いみたいです。ただ慣れてくると段々気持ち良くなるそうですよ!」
「それはそれでどうなんだ?」
でも確かに、エミリアのヒールは心地良い感じがした。
いや、気持ちの問題かもしれないが。
「じゃぁとりあえず、そのウゴウゴしている魔力を、グググッと頑張って動かしてみて下さい!」
「何かコツとかある?」
「えっと……気合です!」
「……了解だ」
【エリートファイアベビー】
エリートベビーが火魔法を取得したことで得た職業。
ファイア職を得たことで、火魔法の効果に若干の補正が掛かるようになった。
火、水、土、風の内、複数の魔法スキルを取得している場合は、最も多用している属性の職を得る。
光、闇の二属性や上位魔法を取得した場合は、職が変化することも。