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「NuOOOOOOoooooOOOO!!」


 【魔喰い】の咆哮と共に、その瞳の一つから黒い光が放たれる。

 光は辺り一面へと広範囲に降り注ぎ、逃げることは出来そうにない。


「うわ、魔力がゴッソリいったな。なるほど、確かに魔力半減だ」


 現在の魔力は3000ほどあったはずだが、1500までに落ち込んでいる。

 どうやら現在の所持魔力を半減させる攻撃らしい。

 マイムやスレッダーも攻撃を受けているはずだが、同時に食らったおかげかその影響は無い様子。


 攻撃手段がこれだけだと言うなら、確かに【魔喰い】単体であればそれほど脅威ではないのかもしれない。

 しかし今は大量のリトルデビルを相手にしている。

 その状況でのこれは中々にきつい。


「ま、やれるだけやるしかないか」


 とは言え、俺がやることはひたすら魔力を回収するだけだ。


「だねー。幸い【魔喰い】もあの攻撃は連発してこないみたいだし、その間にポーションで回復しちゃえばどうにかなりそうかな?」


 ラビックの言う通り、【魔喰い】が先ほどの光を連発してくる様子はない。

 どうやら一発ごとに瞳が消失するらしく、中々コスパの悪い攻撃のようだ。 


 現在も上空から次々に糸巻リトルデビルが降ってきている。

 俺はラビックに魔力ポーションを掛けてもらいつつ、再び【吸精ドレイン】を行使し続けることにした。




◇◇◇◇





【魔力操作のレベルが上がりました】

【魔力操作のレベルが限界値に達しました】

【魔力操作・改が取得可能になりました】

【魔力感知のレベルが上がりました】

【魔力感知・改が取得可能になりました】

【魔力操作と魔力感知を統合し、魔力同調を取得可能になりました】

【魔素操作のレベルが上がりました】×2

【空中遊泳のレベルが上がりました】

【闇魔法のレベルが上がりました】

【レベルが上がりました】


【マイムのプラズマのレベルが上がりました】×3

【マイムの知力上昇のレベルが上がりました】×2

【マイムの浮遊のレベルが上がりました】×2

【マイムのレベルが上がりました】×4

【スレッダーの糸精製のレベルが上がりました】×3

【スレッダーの体力上昇のレベルが上がりました】×2

【スレッダーのレベルが上がりました】×7


 

名前 トリー

種族 魔素族

職業 ルナフレイムスピリット

職業スキル 狂鬼灯ルナティックフレイム

レベル 26》28

魔力  3274/3770》4050(1350+2700)

知力  120》125

スキル 魔力上昇19》20 魔力回復上昇19》20 魔力操作19》20

    魔力感知19》20 火炎魔法2 空中遊泳2》3 

    魔素操作14》18 闇魔法15》18 

    連続詠唱16 光魔法15

エクストラスキル 消化吸収99% 好奇心2% 蛇眼2% 

         粘着糸精製21% 

称号スキル    スライムアニヒレイター199%

         ビーストアタッカー108%

         インセクトキラー121% 

         バードアタッカー102%

         フェアリーアタッカー102%

使い魔      マイム スレッダー

STP10》20 SKP15》19


名前 マイム

種族 プラズム

個体種 プリコーシスプラズム

レベル 1》10

魔力  -

知力  162》227(174+53)

スキル プラズマ1》9 浮遊1》3 知力上昇1》3

    アイテム効果上昇14 必要経験値減少

    被ダメージ上昇 

STP17》35


名前 スレッダー

所属 キャタピラー

個体種 プリコーシスタフキャタピラー

レベル 1》16

生命力 400》500

魔力  -

体力  39》58(44+14)

筋力  32》41

知力  84》89

技術力 23》31

俊敏力 8》12

スキル 糸精製3》10 麻痺毒精製1 噛みつき1 

    鳴き声1》4 体力上昇1》3

    アイテム効果上昇5 必要経験値減少 

    被ダメージ量増加 

STP 0》30





「大分すっきりしてきたな」

 

 戦闘開始から30分。

 かなりの数のリトルデビルがその姿を消していた。

 【魔喰い】の瞳も、弓隊の攻撃により下から見える範囲には残されていない。

 【魔喰い】のてっぺん辺りにも瞳があるみたいだが、弓隊がせっせと攻撃しているため直に消滅するだろう。


「リトルデビルたちの追加ももう無いみたいだし、後は今いる奴らをやっつけちゃえば終わりなのかなー?」

「たぶん、そうなんだろうな」


 戦闘が始まったあたりから、迷いの森からのリトルデビルの追加は止まっている。

 そして共鳴魔法やマイムの【プラズマ】によりその数を大幅に減らした結果、現在は召喚者や軍の人たちだけでも相手どれる数にまで減少している。


「もう魔力回収が出来る程敵も残っていないし、後は見学で大丈夫そうだな」

「だねー。マイム君もお疲れ様!」

「――Pigi!」


 ラビックの言葉に、元気よく返事を返すマイム。

 敵の数が減り【吸精ドレイン】での魔力回収量が減り始めた辺りで、俺はマイムを撤退させた。

 マイムの【プラズマ】は効果が強力な分、その魔力消費量が半端ではない。

 なので後は各個人に対応を任せ、俺たちはお役御免とさせてもらうことにした。


「なんだかんだあったが、終わってみれば結構あっという間だったな」

「あはは、まだ終わって無いけどねー」

「まあそうなんだが……もうやることもなさそうだしな」


 マイムの【プラズマ】が使えない以上、俺がリトルデビルとまともに戦う事は出来ない。

 盾役を囮にして遠距離魔法を放つことくらいなら出来るが、彼らだけで充分対処出来ている現状でそれは野暮だろう。


「まーそうなんだけどさー。あっ、そろそろ終わりそうだよ!」


 そういって、盾隊の方を指さすラビック。

 彼女の声に視線を移すと、丁度最後のリトルデビルが近接部隊によって倒されるところだった。


「はあぁぁぁっ!!」


 ――GYAAaaa……




【魔界の渦・リトルデビルの消滅に成功しました】

【魔界の渦・リトルデビル消滅に対する貢献度により、それぞれの召喚者にエクストラスキル及び称号スキルが送られます。また、最多貢献者には【使い魔 リトルデビル】が贈られます】

【ワールドクエスト【迷いの森の黒い渦】の進行度は現在100%です】


【あなたの魔界の渦・リトルデビル消滅に対する貢献度は18%です】

【エクストラスキルを以下の中から選択して下さい。【消化吸収】【好奇心】【蛇眼】【粘着糸精製】】

【称号スキルを以下の中から選択してください。【スライムアタッカー118%】【ビーストアタッカー118%】【インセクトアタッカー118%】【バードアタッカー118%】【フェアリーアタッカー118%】】

【使い魔 リトルデビルを取得しました】



【ワールドクエスト【迷いの森の黒い渦】がクリアされました】

【初回ワールドクエストクリアに伴い、スキル数上限が解放されました】

【11個以上のスキルを所持する場合、余剰スキル数に応じて全経験値の取得率が5%ずつ減少していきます】

【上限解放に伴い、現在取得している統合スキルの解除が各スキルにつき一度だけ可能です】

【ワールドクエスト【迷いの森の黒い渦】クリアに対する貢献度に応じて、それぞれの召喚者にはスキルポイント及び称号スキルが送られます。また、最多貢献者には【使い魔 小さな化身】が贈られます】


【あなたのワールドクエスト【迷いの森の黒い渦】クリアに対する貢献度は15%です】

【スキルポイント150ポイントを取得しました】

【称号スキル 召喚者115%(取得経験値115%)を取得しました】


【使い魔 小さな化身15%を取得しました】

【小さな化身とは、あなたの【非召喚時】にのみ(ただし命令時を除く)行動可能な使い魔です。能力はあなた自身の15%となるため、レベルアップは起こりません。ただし、装備、アイテムボックス等は引き継がれます。小さな化身による【召喚】スキルや他の使い魔の使役は行えません。小さな化身が死亡した場合、再召喚までは24時間のクールタイムが必要となります】




 情報過多である。


「うわー、怒涛のアナウンス。こりゃ後でじっくり考えないと……。それに、スキル数上限解放かー。また掲示板が荒れそうだ」

「だな」

「――Pigi」

「――Gyagya」


 俺の頷きに、使い魔たちも同意する。


「……しれっと混ざってるけど、キミ、リトルデビルもゲット出来たんだねー。まーあれだけ派手にやってればそれも当然か。さてさて、では早速リトルデビル君の情報を――」


 と彼女が身を乗り出そうとすると、上空から激しい咆哮が降ってきた。


 ――NuOOOOOOoooooOOOO!!




【【魔喰い】撃退に成功しました】

【【魔喰い】撃退ボーナスとして、全召喚者の今ワールドクエスト報酬に関する貢献度パーセンテージが1.5倍となります】




「「……」」


 突然の思わぬアナウンスに、俺たちは思わず言葉を失う。

 そして――



『うおおぉぉぉぉおおお!!』



 全召喚者から、歓喜の咆哮が溢れ出た。

 大気が震えている気がするのは、俺の錯覚では無いだろう。


「うわー、こりゃまた太っ腹な。皆が興奮するのもわかるねー」

「だな」


 今回のクエストで得たスキルの効果が、全召喚者対象として上乗せされるのだ。

 そりゃみんな興奮もするだろう。

 

 上空を見上げると、そこには瞳を全て潰され、悲し気に森の方へと引き返す【魔喰い】の姿が。

 そんな姿を見ながら、俺はふと考える。


「……これ、撃退じゃなくて、討伐だったらどうなるんだろう」

「……え?」


 思わず漏れた俺の心の声を聞き、こちらを見て固まるラビック。

 そんな彼女を一先ず放置し、俺は【空中遊泳】を使いフワフワと【魔喰い】のもとへと近づいていく。

 俺の姿に気付いた何人かの召喚者たちがざわつき始めたが、それも一先ずは置いておく。

 倒すと宣言して、もし失敗したら恥ずかしいしな。


 【空中遊泳】の効果でスピードが上がったおかげか、俺はまもなく【魔喰い】に追い付いた。

 間近で見る【魔喰い】は、中々にグロテスクだ。

 ただ意外なことに、臭いは無いようで少し安心する。


 俺は意を決し、【魔喰い】に出来るだけ身体を密着させる。

 そして――



「――【吸精ドレイン】!」


 ――NuOOOOOOoooooOOOO!!



 可能な限り薄く伸ばし未着させた俺の身体へ、【魔喰い】からの魔力が一気に流れ込んでくる。

 


「――【吸精ドレイン】! 【吸精ドレイン】! おっほー、魔力が最大値から全然減らねーわ! 【吸精ドレイン】! 【吸精ドレイン】! もういっちょ、【吸精ドーレイン】ッ!!」



 ――NuOOOOOOoooooOOOO!!


 

 連続で【吸精ドレイン】を使用しているが、吸収魔力が多いためか、問題なく行使できる。

 しかしいくら【吸精ドレイン】を続けていても、【魔喰い】の身体が小さくなる気配はない。


「ふむ、【吸精ドレイン】だけじゃダメなのか? それなら……【消化吸収】!」



 ――Nu、NuOOOOOOoooooOOOO!?


 

 どうやらこちらは効くようで、【消化吸収】をした場所から、どんどんと【魔喰い】の体積が減少し始めた。

 しかし一定量減ると、今度は【消化吸収】の効果が現れなくなる。


「もしかして、魔力が減った分だけ破壊できる仕組みなのか? まあそれなら……【吸精ドレイン】&【消化吸収】!」


 エクストラスキルと魔法の同時発動はしたことが無かったが、どうやら問題なく出来るらしい。

 俺は切ない声を出しながら身を小さくする【魔喰い】に、ひたすら【吸精ドレイン】と【消化吸収】をかけ続ける。


「いけちゃうか? いけちゃうのか!? よし、いこう‼ ――【吸精ドレイン】&【消化吸収】ぅぅぅっ!!」


【闇魔法のレベルが上がりました】×2

【闇魔法のレベルが限界値に達しました】

【暗黒魔法を取得可能になりました】

【魔素操作のレベルが上がりました】×2

【魔素操作のレベルが限界値に達しました】

【魔素制御を取得可能になりました】

【魔素成長を取得可能になりました】

【レベルが上がりました】

【マイムのレベルが上がりました】

【スレッダーのレベルが上がりました】×2





 ――NuOOOOOOooooooo…………


 



【【魔喰い】討伐に成功しました】

【【魔喰い】撃退ボーナスに代わり、【魔喰い】討伐ボーナスが全召喚者に送られます】

【今ワールドクエスト報酬に関する全召喚者の貢献度パーセンテージが2倍となります】









『うおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!』









 【魔喰い】消滅と同時に流れたアナウンスを聞き、眼下の召喚者たちから割れんばかりの歓声が再び巻き起こった。

 





魔素族まっそぞく! 魔素族まっそぞく! 魔素族まっそぞく! 魔素族まっそぞく!』








 そしてまさかの魔素族コールである。


 ……まあいいか。

 これだけやらかしても、皆に好意的に受け入れられたことは僥倖だ。


 と俺が安心していると、最後に届く個人アナウンス。



【【魔喰い】の特殊条件下討伐を確認】

【エクストラスキル【魔眼】及び称号スキル【魔を喰らう者】を取得しました】



「わーお……よし、これは黙っておこう」


 視線の先には、呆れつつも笑顔で俺を待つラビックや使い魔達の姿がある。

 このスキルを教えたら、彼女は一体どんな顔をするのだろう。

 俺はそんな期待や不安が入り混じった気持ちに胸を躍らせつつ、歓声の中をフワフワと漂いながら仲間たちのもとへと帰っていった。





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