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名前 トリー

種族 魔素族

職業 ルナフレイムスピリット

職業スキル 狂鬼灯(ルナティックフレイム)

レベル 26

魔力  3274/3770(1300+2470)

知力  120

スキル 魔力上昇19 魔力回復上昇19 魔力操作19

    魔力感知19 火炎魔法2 空中遊泳2 

    魔素操作14 闇魔法15 

    連続詠唱16 光魔法15

エクストラスキル 消化吸収99% 好奇心2% 蛇眼2% 

         粘着糸精製21% 

称号スキル    スライムアニヒレイタ―199%

         ビーストアタッカー104%》108%

         インセクトキラー121% 

         バードアタッカー102% New!

使い魔      マイム スレッダー

STP10 SKP15




【魔力上昇のレベルが上がりました】

【魔力上昇のレベルが限界値に達しました】

【魔力上昇・改が取得可能になりました】

【魔力回復上昇のレベルが上がりました】

【魔力回復上昇・改が取得可能になりました】

【魔力上昇と魔力回復上昇を統合し、魔導を取得可能になりました】

【魔素操作のレベルが上がりました】×2

【闇魔法のレベルが上がりました】×2

【レベルが上がりました】


【マイムのプラズマのレベルが上がりました】×4

【マイムのレベルが上がりました】×4

【スレッダーの糸精製のレベルが上がりました】×3

【スレッダーの鳴き声のレベルが上がりました】×3

【スレッダーのレベルが上がりました】×7




 リトルデビルへコンボ狩りを決め出して約一時間。

 特に綻びが出ることも無く、現在も順調に討伐が進んでいる。


「――Pigiii!」

「「「――Pusyaaa!!」」」

「――【吸精ドレイン】!」

「「「うおぉぉぉおおっ!!」」」


 ――GyaGyaaa!!  ――GyaGyaaa!!  ――GyaGyaaa!! 


 単調ではあるものの、参加する召喚者の人数が増えたことによって、マイムの【プラズマ】もより派手なことになっている。

 俺たちが効率的に狩りをしているのを見た他の召喚者が、自分たちも混ぜてくれと参加してきたのだ。


 マイムの【プラズマ】は範囲攻撃だ。

 なので数が増えるのは寧ろ喜ばしい事。

 他の召喚士たちが糸系モンスターを参加させ、【麻痺】よって墜落したリトルデビルたちを【糸精製】で拘束してくれるため、安全性も問題なく維持できている。


 一つ問題があるとすれば、全てのモンスターに俺の【吸精ドレイン】が行き届かないことか。

 しかしそれもマイムたちの消費魔力が補えれば十分なので、忙しいこと以外は然程気にすることではない。

 新たなスキルが取得可能になったとアナウンスもあったが、それはこの戦いが終わった後にエクストラスキルと合わせてゆっくり考えればいいだろう。


 参加人数が増えたことでマイム以外へも敵対心ヘイトが集まることもあるが、スレッダーが【鳴き声】を断続的に発動することでカバーしている。

 加えて途中から混ざってきた黒いフルプレートアーマーに身を包んだ騎士が奇声にも似た声を上げてヘイト管理を手伝ってくれているらしく、大きな被害は出ていない。

 【吸精ドレイン】で忙しいためまだ話せていないが、あとできちんとお礼を言っておこう。

 

 召喚者たちの中には、先ほどまで苦戦していたリトルデビルが間単に狩れてしまうことに複雑な顔をする者もいたが、効率的に狩れることに文句を言うはずもなく、皆黙々と止めを刺していってくれている。


 とその時。

 


【迷いの森における魔界の渦・ゴブリンの消滅に成功しました】

【迷いの森におけるゴブリンの出現率が正常に戻りました】

【ワールドクエスト【迷いの森の黒い渦】の進行度は現在90%です】


【あなたの魔界の渦・ゴブリン消滅に対する貢献度は2%です】

【以下の中からエクストラスキルを選択してください。【技術力上昇】【筋力上昇】【棒補正】【連携】】

【称号スキル 【フェアリーアタッカー102%】(妖精系モンスターに対して与ダメージ1.02倍)を取得しました】




「「「うおぉぉぉおお‼」」」


 ゴブリンの渦消滅のアナウンスと共に、あちらの戦場から雄たけびが上がった。

 どうやら軍を中心としたメンバーたちが、ゴブリンたちの猛攻に耐えきったようだ。


 ゴブリンが妖精系であることには色々もの申したくなったが、とりあえずは目の前の敵に集中だ。

 スレッダーの【鳴き声】によって、今もリトルデビルたちがこちらへと殺到している。

 中々獰猛な顔をしているが、今の俺たちにとっては経験値でしかない。

 【必要経験値減少】のおかげか使い魔たちのレベルもサクサク上がっているし、この調子で稼げるだけ稼いでしまおう。

 

「私たちも負けてられんぞ! このまま一気にクリアしてしまおう!」

「「「おおおぉぉぉおお‼」」」


 皆のリーダー役がすっかり板に付いたアスラが、召喚者たちを鼓舞し盛り上げる。

 がその時、俺たちのやる気に水を差す様にして、無機質なアナウンスが流れてきた。


【ワールドクエスト【迷いの森の黒い渦】の進行度90%達成に加え、リトルデビル討伐数の規定値到達を確認しました】

【只今より、最終フェーズに移行します】



「……最終フェーズ?」


 突然の不穏なアナウンスに、皆の動きが一瞬止まる。

 

 そして



 ――GUOOOOOOOOOOoooo‼



 迷いの森の方向から聞こえる、腹に響くような怒号。

 

 ――GyaGya!? ――Gya! ――GyaGya‼ 


 その怒号に、辺りのリトルデビルたちが驚いたように反応する。

 そして互いに顔を見合わせたかと思うと、身をひるがえして森の方へと撤退してし始めた。


「何なんだ一体……」


 急な展開について行けず、去っていくリトルデビルを呆然と見送る俺たち。

 他の召喚者を襲っていたリトルデビルたちも同様に撤退している様で、皆呆然とその姿を眺めている。

 一同に去っていくリトルデビルたちが、まるで烏が群れるかのように空を黒く染めていく。

 そして森の上空に集まったかと思うと、ギャーギャーとまるで歓喜に満ちた様な叫び声を上げだした。


「なーんか、嫌な感じだねぇ」

「ああ、嫌な演出だ」


 いつの間にか俺の横に移動してきていたラビックとアスラがそう呟く。

 

「最終フェーズってことは、ラスボスが来るってことだよな?」

「たぶんねー。あのリトルデビルたちが囲っているのがそうなんだろうけど……あれ、でか過ぎない?」

「ああ、やばいな」


 ラビックの言う通り、俺たちの視線の先には黒く巨大な球体が姿を現していた。

 遠目でも分かるその巨体は、ゆっくりと浮遊しながら、しかし確実にこちらへと近づいている。

 

「あれ、倒せるのか?」

「うーん、流石に倒せる程度の強さには設定されているとは思うけど……とりあえず、神官や軍の人たちと相談した方が良いかも」

「だな。アスラ、頼めるか?」

「ああ、任せておけ。他の代表者たちにも声を掛け、軍や神官たちと話をしてくるとしよう。皆も最終戦に備えて準備をしておいてくれ‼」

「「「おう‼」」」


 アスラの声に、動揺していた召喚者たちも落ち着きを取り戻した様子。

 そのまま軍の方へと走っていくアスラ達を見送りつつ、俺も地面に転がっているリトルデビルたちから魔力を補給することにした。




◇◇◇◇




「【魔喰い】、か……」


 アスラたちが軍らとの話しを終え戻ってくると、俺たちにあの化け物について語ってくれた。


「ああ。この世界で極稀に姿を現すモンスターらしい。前回の出現は100年前だそうだ」

「そんな昔の情報が良く残っていたな……って聞くのは野暮なんだろうな」

「そうだぞー。ゲームなんだからその辺りを気にしちゃだめだよ! それよりも大事なのは、あれをどうやって倒すかってことだよ」

「そうだな。それにこの世界はギルドカードなど不思議な技術が存在している。こういった記録も案外そういった技術で残されているのかもしれんな」


 俺の野暮な質問に、呆れるラビックと真面目に返事を返すアスラ。

 確かにこの世界には、俺たちの知らない技術がまだまだあるのかもしれない。

 まあそれはまた機会があれば追い追い考えるとして、まずはラビックの言う通り【魔喰い】の倒し方を聞いておこう。


「【魔喰い】はその名の通り、魔力を喰らうモンスターらしい。ただ誕生したての場合、それ単体では然程脅威では無いようだ」

「ん? あんな化け物じみた姿なのにか?」


 【魔喰い】の距離が近づいてきたことで、その姿の詳細が明らかになってきた。

 赤黒く染まったヘドロが球体状に集まり、禍々しく蠢いている。

 表面にはいくつかの目が見開かれており、ギョロギョロと辺りを見回している様だ。


「【魔喰い】は身体に触れたものを体内に取り込み、その魔力を喰らう。が、その動きが緩慢なため、注意しておけば喰らわれる心配はない。……あのように自ら飛び込んでいかない限り、はな」


 そう言って、アスラは【魔喰い】の方を顔を顰めながら見つめる。

 その視線の先には、リトルデビルたちが奇声を上げながらヘドロの中に飛び込んでいく姿があった。


「モンスターの中には、ああして自ら【魔喰い】に飛び込んでいく阿呆どもがいるらしい。デビル系はその最たる種族のようだ。そして【魔喰い】が一定数の魔力を喰らうと、あのように瞳が開眼するらしい」


 確かに見ていると、【魔喰い】の表面に新たな瞳が開かれた。

 そしてその瞳の誕生を見るやいなや、リトルデビルたちが一斉に歓声を上げ始める。


「なんか、新入社員の一気飲みに喜ぶおっさんたちみたいだな」

「えー、やだなその例え。まあ分からなくはないけど」


 どうやらラビックも中々苦労しているらしい。


「ゴホン。でだ。あの瞳は【魔喰い】の攻撃手段でもあり、弱点でもあるらしい。あの瞳からは光が噴射され、それに触れると魔力が半減するそうだ」

「はあ!?」


 魔力半減とか、俺にとっては死活問題なんですが。


「まあ最後まで聞け。確かに魔力半減は厄介だが、【魔喰い】の攻撃手段は現段階ではそれだけだ」

「現段階って言うと、後々はもっと増えるってことか?」

「ああ、瞳の数が増えていけば麻痺や毒と言った様々な状態異常を引き起こすこともあるらしい。とは言え【魔喰い】の魔力吸収速度も一定らしく、今日明日でどうこうなる話ではないようだが」

「なるほど」


 飽くまで今回は、チュートリアルなワールドクエストってことか。

 きっと今後は、そういった様々な状態異常を引き起こす【魔喰い】も現れたりするんだろうなあ。


「【魔喰い】討伐で注意すべきなのは、寧ろ周りのモンスターたちだ。奴らは【魔喰い】の成長を喜び、それを妨げる奴に狂気をもって襲い掛かってくるらしい。つまりは【狂化バーサク】状態で襲ってくるということだな。だから【魔喰い】を攻撃する時は、皆で役割を分け、一斉に攻撃する必要があるそうだ」

「瞳を潰す役と、【狂化バーサク】状態のリトルデビルたちを引きつける役ってことだね!」

「そうだ。ただし瞳には通常の魔法攻撃は効かない。弓などの遠距離物理か、連続使用可能魔法であるアロー系などしか効果は無いようだ。序でに言えば、その魔法も瞳以外を攻撃すれば、魔力として吸収されてしまうらしい」

「うわー。中々の縛りだねそりゃ」


 確かに、アロー系は狙いを定めるのが難しい。

 【魔喰い】は直系10mほどの巨体ではあるが、上空10m以上の高度を保っているのだ。

 それに【狂化バーサク】状態で襲ってくる敵を気にしながら攻撃しなければならない。

 中々簡単にはいかないだろう。


「とまあ領主たちから聞いた話はこんなところだな。最初のワールドクエストということもあってか、随分と詳しく教えてくれたよ」

「だねー。まあ今の情報を身体を張って得ようとしたら、どれだけの犠牲が出たか分からないし、丁度いいんじゃないかな?」

「だな」


 俺たちが死に戻れば、次に犠牲になるのは街の人たちだ。

 楽しむためにやってきたこの世界で、そんな悲劇を見るのはごめん被る。


「よし。つまり俺は、さっきまでと同じように狩りを続けたら良いってことだな?」


 【魔喰い】自身に直接的な攻撃手段が無いのならば、俺はリトルデビルたちの間引きに徹すればいいだろう。

 色々と【魔喰い】の情報を聞いてビビってしまったが、そう考えれば案外簡単な様な気もしてきた。

 しかし俺の言葉に、ラビックが気まずそうな顔をしながら言う。


「あー……【狂化バーサク】状態って、他の状態異常が効きづらいんだよねー。だからさっきの嵌め技は使えないかも。【鳴き声】なんかにはより敏感に反応してくれるとは思うけど……」

「なんと……」


 世の中そんなに甘くはないらしい。

 先ほどまでの狩りは、【麻痺】した相手から魔力を回収できたからこそ成り立った作戦だ。

 【狂化バーサク】により敵の被ダメージも増えるおかげで【プラズマ】の攻撃だけでも敵を倒しきれるかもしれないが、万が一【被ダメージ上昇】を持つマイムの核が攻撃されればただでは済まないだろう。

 今のマイムは俺と同じで筋力や体力が0の状態だ。

 敵の与ダメージアップも相まって、一撃で全損する恐れすらある。


 それに、【吸精ドレイン】が使えないのであれば、そもそも【プラズマ】の連続使用自体が困難である。

 紙装甲の俺では、【狂化バーサク】状態で俺より早く飛行するリトルデビルにまともに対抗するなんて無理だし……。


「詰んだ……」


 自分の非力さが恨めしい。

 【狂化バーサク】状態の飛行モンスターとここまで相性が悪いとは。


 魔力ポーションのがぶ飲みも不可能ではないが、ポーションにもクールタイムが存在する。

 それを無視して服用すると効果が漸減し、最終的には【薬物中毒】という状態異常に陥り逆に魔力が減少するそうだ。

 なので、マイムの【プラズマ】に対抗できるほどの魔力量を、現品質の魔力ポーションで補充するのは難しいだろう。


 今回は、大人しく見学するしかないのだろうか。

 俺がそんなやるせない気持ちになっていると、後ろから少し色っぽい女性の声が聞こえてきた。


「ふふ、そんな落ち込まないでください。私がサポートすれば、なんとかなると思いますよ?」

「……え?」


 かけられた声に振り返ると、そこにいたのは先ほどの戦いでスレッダーをフォローしてくれていた、黒いフルプレートアーマーの騎士様。

 大きな盾を装備していたのでてっきり男かと思っていたが、今の声からするとどうやら中身は女性だったらしい。

 

 黒騎士様は俺に近づき、そっと自分の兜を外した。

 しかしそこには、あるべきが存在していない。


「デュ、デュラハン!?」


 突然の光景に、俺は思わず声を上げてしまう。

 そんな俺の反応を見て、楽しそうに笑う周囲の者たち。


「こらこらカメちゃん、あんまりトリーをからかっちゃダメだよー」

「あらあらごめんなさい。私としたことがうっかりしていましたわ」


 そう言って、楽し気に謝ってくる黒騎士様。

 全くうっかりした風で無いのをみるに、どうやら俺はからかわれたらしい。

 周りの視線に身の置き場がなく小さくなっていると、黒騎士様の顔の部分に靄が集まり、徐々に形を持ち始めた。


 その靄は、俺にとっても馴染みの深いものだ。

 そうか、彼女が――

 

「改めまして。魔素族の【カーメル】と申します。先ほどは失礼いたしました。かわいい後輩を見て、つい悪戯心が……ふふふふ」


 そう言って、怪し気に笑う黒髪の女性。

 どうやら俺の初めて出会った魔素族は、少し変わった女性のようだ。






【カーメル】

サービス開始時から魔素族としてプレイしている召喚者。

普段は大人しい眼鏡っ子。

騎士姿になると秘められた欲望が開花し、SとドMを兼ねる妖艶な黒騎士様に変身。

掲示板では大人しいですが、少し本性が漏れることも。



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