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ステータスの表記に▽を加えています。
▽は振れれば詳細が見られる仕様です。
文字数が無駄に多くなってしまいましたので、見やすい様変更させていただきました。
よろしくお願いいたします。
【9日目】
【迷いの森における魔界の渦・フォレストスネークの消滅に成功しました】
【迷いの森におけるフォレストスネークの出現率が正常に戻りました】
【魔界の渦・フォレストスネーク消滅に対する貢献度により、それぞれの召喚者にエクストラスキル及び称号スキルが送られます。また、最多貢献者には【使い魔 フォレストスネーク】が贈られます】
【ワールドクエスト【迷いの森の黒い渦】の進行度は現在30%です】
【あなたの魔界の渦・フォレストスネーク消滅に対する貢献度は2%です】
【以下の中からエクストラスキルを選択してください。【振動感知】【熱感知】【拘束】【蛇眼】】
【称号スキル 【ビーストアタッカー102%】を取得しました】
【スキルを統合し、【ビーストアタッカー104%】を取得しました】
【エクストラスキル【蛇眼2%】を取得しました】
今日は森の中からリスタート。
移動でまだ1時間以上かかるので、少しでも時間を節約するためだ。
召喚時に再び、大量のアナウンスが聞こえてきた。
どうやらまた夜勤組が頑張ったご様子。
称号スキルの【ビーストアタッカー】が統合されてパーセンテージが上がったらしい。
どうやらラビックの予想通り、このパーセンテージは加算されていくようだ。
まあ俺はそれでも【好奇心】を選んだことに後悔はしていないが。
俺はエクストラスキルとして【蛇眼】を選択し、そそくさと森の中へと入っていく。
因みに【蛇眼】を選んだのは、少し試してみたいことがあったからだ。
俺のこの身体は人型をしてはいるが、実際に耳目口鼻が付いているわけではない。
昨日手から珈琲を摂取できたように、もしかしたら臓器という概念が曖昧なのではないだろうか。
とは言えすぐにどうこう出来る訳ではないので、この話はまた何れ。
今日は糸狩りに集中しよう。
森を進むと、ホーンラビットだけでなくフォレストスネークとも出会う様になってきた。
フォレストスネークは木の幹にも這っているため、そこから飛ばれると非常に危険だ。
一度【火矢】で遠くから狙ってみたが、身体が細いため見事に外れる。
一応【火球】を試してはみたが、やはり一撃では死なない様子。
フォレストというくらいなのだから火属性に弱くて然るべきだろうというのは俺の我儘だろうか。
まあしかし、今の俺は昨日までとは一味違う。
俺はフォレストスネークを発見し、10m程の距離から昨日覚えたばかりの【火槍】を試してみる。
「――【火槍】!」
――Gisyaaa……
【火槍】によって、フォレストスネークが見事一発で消滅した。
少々魔力消費が大きいが、安全には変えられない。
【火渦】はこの3倍近く消費するのかとうんざりしたが、敵が連携をとってきたら、迷わず使っていこうと思う。
「しかし、やはり一撃は気持ちがいいな……」
「――Pigi?」
エクスタシーに浸る俺を、魔石を取り込みながら不思議そうに眺めるマイム。
この森に入ってからずっと魔石を取り込み続けているマイムだが、【消化吸収】のレベルは一切上がっていない。
どうやらマイムは魔石を消化しているわけでは無く、経験値としてただ取り込んでいるだけのようだ。
まあ他のモンスターの経験値アップにも使えるのだから当然と言えば当然なのだが、しかしこれでは【消化吸収】のレベルが上がらない。
俺は試しにホーンラビットの角など魔石以外のドロップアイテムを吸収させようとしたのだが、何故かライムは嫌がり吸収しようとしなかった。
まさか昨日の珈琲で舌が肥えてしまったのだろうか。
まあ無理強いさせても仕方がないかと俺は諦め、マイムは現在レベルを上げるだけのマスコットと化している。
【マイムのレベルが上がりました】
そんなマイムと一緒にフォレストスネークを狩りつつ森を進んでいくと、新しいモンスターを発見した。
木の枝で獲物を待ち構える芋虫型のモンスター、リトルキャタピラーだ。
現在俺は木々の枝の間を浮遊移動しているのだが、どうやら奴らは一番下方の枝を好んで待機場所にしている様子で、上の方には隠れていないらしい。
恐らく他の枝に糸が絡まるのを防ぐためだろう。
リトルキャタピラーは眼下を通る奴を虎視眈々と狙っているせいか、こちらには一切気づかない。
俺はそのまま斜め上方からフワフワと近づき、魔法を放つ。
「――【火槍】!」
――Gyupiii……
【魔力上昇のレベルが上がりました】
特にこれと言った反撃も無く、そのまま消滅していったリトルキャタピラー。
「案外行けそうだな……」
と呟いてみるが、ビビッてボールでは無くジャベリンを選択したことには目を瞑る。
そしてまた少し行ったところでリトルキャタピラーを見つけたため、今度はボールを試してみようと近づいていく。
――Gupi!?
すると、先に向こうがこちらに気が付き警戒されてしまった。
俺は慌てて距離をとり、そのままジャベリンで攻撃する。
やはりジャベリンであれば一撃で倒せるようで、俺はこのままジャベリン押しでいこうと決意した。
【火魔法のレベルが上がりました】
【浮遊のレベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【マイムのアイテム効果上昇のレベルが上がりました】
【マイムのレベルが上がりました】
名前 トリー
種族 魔素族
職業 ルナファイアプランクトン
職業スキル 狂灯
レベル 22》23
魔力 1042/3042》3321(1230+2091)
知力 90》92
スキル 魔力上昇16》17 魔力回復上昇16 魔力操作16
魔力感知16 火魔法15》16 浮遊15》16 魔素操作8
闇魔法13 連続詠唱13 光魔法14
エクストラスキル ▽
称号スキル ▽
使い魔 マイム
STP10》15 SKP21》23
名前 マイム
種族 スライム
個体種 ドーピングスライム
レベル 12》13
生命力 330》340
魔力 -
体力 33
筋力 33》34
知力 92》94
技術力 33》34
俊敏力 13
スキル 消化吸収1 魔法被ダメージ上昇1 アイテム効果上昇6》7
STP0》2》0
リトルキャタピラーをメインターゲットにして狩りを続けていくと、徐々にリトルキャタピラーの会敵頻度が増えてきた。
が、今の所1匹ずつ1確で沈めているので問題ない。
一方ラビックからの前情報通り、リトルスパイダーの数は極僅かだ。
本来はリトルスパイダーと先に出会うはずだと思っていたが、そう言えば最初森に入った時もホーンラビットよりも先にフォレストスネークと出会ったなと思い出し、気にしないことにした。
今視線の先には2体のリトルキャタピラー。
それぞれ少し離れた別の枝に潜んでいる様で、間を通った獲物に2方向から糸を吹きかけるつもりなのだろう。
ここの木々は枝が比較的太く、ラグビーボール大のリトルキャタピラーでも十分に姿が隠せる。
が、上から見ている俺には丸見えだ。
初めての対複数戦闘だが、こいつらであれば【火槍】1撃ずつで倒せる。
それに10mと距離もあるので恐らく大丈夫だろう。
今後の事を考えても、ここで一度試しておいた方がいいだろうし。
「……よし」
俺は気合を入れ、先ず一番手前のリトルキャタピラーに魔法を一発お見舞いしてやる。
「――【火槍】!」
――Gyupiii……
――Gyupi!?
仲間が消され、こちらに気付く他のリトルキャタピラー。
そして高度が下がった俺に対し、Psyaaa! と糸を吐きかけてきた。
流石に10mの距離があれば大丈夫だろうと高を括っていたが、上から吐きかけられたこともあってか糸が思った以上に飛距離を伸ばす。
俺はその飛距離に慌てて後ろへと距離をとるが、いくつか俺の身体に付着してしまった。
「ぬおっ!? これは思った以上に粘いな……っ!」
体に付着する粘着性の糸。
振りほどこうともがいてみるが、今度は糸と糸が引っ付き、俺の身体を丸めていく。
霧状の俺の身体が、まるで団子の様に寄せ集められてしまう。
糸の重さもあってか地面に伏す俺。
遠くでベチャッという音が聞こえた。
見ればリトルキャタピラーが地面に落ちて来たらしく、そのままウゴウゴとゆっくり俺の方へ近づいてきている。
完全に捕食者と非捕食者の構図が入れ替わってしまったことに、軽く恐怖を覚える俺。
咄嗟に使い慣れた【光爆破】を【連続詠唱】を用いて放つが、当然ダメージが足りず、状態異常も起こってくれない。
との時、
「――Pigi!!」
陰に隠れていたマイムが姿を現し、鳴き声でリトルキャタピラーの注意を引きつけた。
――Psyaaa!
マイムにリトルキャタピラーの糸が襲う。
糸にからめ捕られ、――Pigi……と身動きを封じられるマイム。
マイムの方が弱いと判断したのだろう。
リトルキャタピラーがマイムへと近づきだした。
俺はその光景に焦りつつ、【火魔法】クールタイムが解けるのを待つ。そして――
「――【火槍】!」
――Pugyuu……
なんとかマイムが攻撃される前に、リトルキャタピラーを倒しきる。
リトルキャタピラーが消滅すると糸の粘着性も消えるようで、スルスルと俺の身体を通り抜けていった。
俺はホッと一息つき、マイムに礼を言おうと視線を送る。
「――Pi、Pigiii……」
するとそこには、グルグルの糸巻き状態になったマイムの姿が。
どうやら粘着性が無くなった後も、糸としての機能は残るらしい。
なんとか解こうと身体をこねくり回し、余計に糸を絡めるライム。
俺は可愛らしい光景に苦笑しつつ、マイムの傍へと寄っていく。
「何やってんだよ……それ、【消化吸収】溶かせないのか?」
「――Pigi,pigii!」
嫌らしい。
絶対に【消化吸収】なんてしてやるものかというマイムの断固とした意志を感じる。
俺は仕方なく魔法で焼こうかと考えるが、糸の炎がマイムにダメージを与える可能性も否定できない。
魔法は基本的に味方に直接ダメージを与えることは無いが、その余波によるダメージは受けるらしい。
爆風然り、延焼然り。
因みに森はとても燃えにくい素材で出来ているとのこと。
その辺りは触れてはいけない部分なのだろう。
俺は色々考えた結果、マイムに【火属性付与】を出来ないか試してみることにする。
普通【火属性付与】は武器に掛けるものらしいが、生き物にも出来るかもしれない。
「マイム、ちょっと大人しくしてろよー。――【火属性付与】」
糸の隙間から【火属性付与】をマイムに掛ける。
するとマイムの身体がほんのり赤く光り、周りの糸が燃えることなくゆっくりと溶けだした。
マイムに対してもダメージはないようで、俺はほっと息をつく。
「しかし、これは便利だな」
【火属性付与】の効果は5分程継続する。
消費魔力も100とかなり大きいが、それだけの価値はありそうだ。
試しに自分に掛けて糸を触ると、先ほど同様ゆっくり糸がゆっくりと溶けていく。
あとは粘着性にも有効かどうか試す必要があるが、これが可能ならかなり戦闘が楽になりそうだ。
「とりあえず、1匹相手に試してみるか」
初の対複数戦闘は中々にハードだった。
やはり慢心せず、少しづつやっていくべきだろう。
「っとそうだ。マイム、さっきはサンキュな」
「――Pigi!」
糸が外れ、すっきりとしたマイムが嬉し気に声を上げる。
頼もしい相棒に礼を言いつつ、俺は次の敵へと気持ちを切り替えた。




