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「さて、フィールドへ出る前にトリーの質問に答えておこうか!」


 フィールドに向かう道中、俺はラビックにスキルの枠と中級スキルについて相談した。

 ラビックはその辺りかなり詳しいようで、色々と教えてくれるようだ。


「まず中級スキルは大まかに3つの分類に分けられるんだ。複数の初級スキルを統合する【統合スキル】。初級のスキルがそのまま進化する【進化スキル】。そして条件を満たすスキルが揃った場合にのみ取得可能になる【特殊スキル】だね」

「へー、結構色々あるんだな」

「うん。まだ全てわかっている訳じゃないから他にもあるかもしれないけど、とりあえず今出揃っている情報だとこの3つだけなんだー。まず【進化スキル】は初級のスキルがそのままグレードアップするスキルだね。属性魔法なんかはこれに分類されるよ。火は火炎、水は水氷、土は土木、風は風雷、光は聖光、闇は暗黒って感じだね! これらは初級スキルに置き換わるだけだから、スキルの枠は変わらないんだー」


 なるほど、他のゲームでもよく見かけるやつだな。

 単純に上位互換に置き換わるだけだから、スキルの数は変わらないのか。


「次が【統合スキル】。これは複数の初級スキルを一緒にしてしまうスキルだね。ギルドで聞いたけど、君って【エリート】職なんだよね? だったら初期スキルとして【魔力上昇】【魔力回復上昇】【魔力感知】【魔力操作】の4つは持っているよね」

「ああ、【神の声】に勧められたからな」

「うん、それで正解だったと思うよ。スキルレベルが20になると、【魔力上昇】【魔力回復上昇】【知力上昇】の3つは【魔導】スキルに、【魔力感知】と【魔力操作】は【魔力同調】スキルに統合出来るからねー」

「まじか」


 それってスキル枠が2つ空くってことだよな。

 しかも今後【知力上昇】をとってもそれがいずれ【魔導】に統合されるわけだから、実質スキル枠を使わないってことにもなるのか。


「ね、凄いでしょ? 初期スキルをレベル20まで上げて【統合スキル】に分類される中級スキル変化させると、その初期スキルは消えてその分の枠が空くんだよ。ただ注意しないといけないのが、【統合スキル】にしてしまうとその効果の上昇率が下がってしまうという事なんだよねー」

「ん? どういうことだ?」

「えっと、【魔導】で説明するね。【魔力上昇】と【魔力回復上昇】をそれぞれレベル20に上げた時点で【魔導】に統合できるんだけど、その時点で【魔力上昇】の効果が200%から100%に、【魔力回復上昇】の効果が2%/分から1%/分に下がってしまうんだよ」 


 なるほど、効果が半分になるのか。

 スキル枠に余裕が出来るとはいえ、かなりシビアだな。


「そして【魔導】になったあとも、レベルアップ毎の上昇率は【魔力上昇】が5%、【魔力回復上昇】が0.05%/分と半分に下がってしまうんだー。つまり【魔導】取得前に戻すためには、【魔導】レベルを20にまで上げないといけないわけだ」

「……かなりシビアだな」

「そうだねー。まあ統合スキルはスキル枠救済の側面が強いから仕方がないよ。とは言え【魔導】のレベルを上げていけば、最終的には初級のままで置いておくよりも効果は高くなるわけだから、今後のことを考えれば統合してしまった方がいいと思うよ」


 確かにいずれは更に強くなるのなら、統合してしまった方が良いか。

 特に、スキルの枠が生まれるのはかなり大きい。


「まぁでもそれがどうしても嫌というのなら、【統合スキル】ではなく普通に【進化スキル】にしてしまうのも1つの手だよ!」

「……そんなことも出来るのか?」

「うん、そうなんだよ。【進化スキル】にしてしまえば効果が半減することはないし、さらにレベルアップ毎の上昇数値が初級時の1.5倍になるんだ。その代わり、スキルの枠は減らないけどねー」

「4つのうちいくつかだけ【魔導】にして、残りは【進化スキル】にしたりはできないのか?」

「無理だねー。一度【魔導】を取ってしまうと、それに関連する初級スキルはレベル20になった時点で自動的に統合されてしまうからね」


 そんな都合の良い話はなかったか。残念。

 まぁでも、スキル枠にかなり余裕が出来るのが分かっただけでもよしとするか。


「あとは【特殊スキル】だね。と言っても、これはまだ数が少ないから僕も大したことは知らないんだー。あっでも、君が取ろうとしてる【空間魔法】も【特殊スキル】の1つだよ! あと光と闇魔法をレベル20にすると、【空間魔法】の他に【時間魔法】が取得可能になるらしいんだー。実は僕も、その【時間魔法】を狙っているんだよね!」 

「時計うさぎ、だもんな」

「うん!」


 あくまでロールプレイに拘るラビック。

 スキルもかなりそちらを気にして構成していそうだ。


「とりあえずはこんなところかなー。属性魔法のレベル毎の取得内容なんかも今誠意製作中だから、また完成したら連絡するね!」

「おう! ……でも、お高いんでしょう?」

「えへへ~、まぁね? まぁどの程度の完成度になるか分かんないけど、とりあえず頑張ってみるから期待しておいてよ!」

「わかった、楽しみにしておく」


 今までの話を聞く限り、ラビックはかなりしっかりしたルートで情報を集めているようだ。

 その魔法一覧も、きっと信頼できるだろう。


「じゃぁそろそろモンスターを狩りに行きますか! 僕の凄いとこ、いっぱい見せちゃうぞ~」


 そう言って、門をトタトタと潜っていくラビック。

 途中虎人族のナイスガイな門兵さんに声を掛けられ、”ひぃぃっ!”と飛び上がって逃げるアクションも欠かさない。

 相変わらずの成りきりっぷりだ。

 門兵さんがリアルに落ち込んでいるので、少しフォローしておくとしよう。



◇◇◇◇



「ーー召喚サモン青芋虫ブルーキャタピラー!」


「――Gyupii!」


 ラビックの詠唱と共に、一匹の青芋虫が魔方陣から召喚される。

 ラビックの職業は【召喚士】らしく、【召喚】というスキルを持っていると成れる職業のようだ。

 因みに【召喚】は【召喚士】でなくとも出来るようだが、【召喚士】は【召喚】スキルや召喚されたモンスターへ補正がかかるらしい。

 

 魔素族以外の種族は、職業変更を神殿で行う。

 職業にも【初級職】【中級職】【上級職】と存在するらしく、基礎レベル以外にも職業レベルというものを上げていかなければいけないらしい。

 これを聞くと、魔素族だけ違うゲームをしている気がする。


 しかし……。


「何故よりにもよって芋虫を選択したんだ」

「仕方が無いでしょ! ロールプレイに合う子がこの子しか出なかったんだよ! これでも結構頑張ったんだから……」


 そう言って、ショボくれてしまうラビック。

 【召喚】でモンスターと契約するためには、まずモンスターのドロップアイテムである【魔石】と自分の魔力、どちらも結構な量を対価にする必要がある。

 そしてランダムで召喚されてきたモンスターを気に入れば、そこで契約を交わすそうだ。


 しかしもし気に入らなければ、再び召喚をやり直さなければいけない。

 つまり、自分が気に入るモンスターが出るまで、【魔石】と魔力を消費し続けると言うわけだ。

 【召喚士】であれば、そのランダムで出てくるモンスターにも多少補正が掛かるそうだが……。

 ラビックの場合は求める物が強さではなくキャラクターその物だから、かなり確率が低くなるのだろう。


「ガチャ課金者の闇を見た気がする」

「もう、やめてよねそういうこと言うの。僕もちょっとは気にしてるんだからさー」


 そういいつつ、満足げに青芋虫を撫でるラビック。

 まぁ彼女が良いのならそっとしておくべきだろう。


「じゃあ早速、モンスターを探しに行くか」

「あ、ちょっと待ってね。――知力強化ダークエンハンス知力強化ダークエンハンス知力強化ダークエンハンス


 ラビックの詠唱と共に、俺たち3人の体が一瞬黒い光に包まれた。

 これは【闇魔法】レベル10で覚える【付与魔法】らしく、知力が1割ほど上がるそうだ。

 どうやら付与系魔法にはクールタイムは存在しないらしい。


「じゃぁキャピちゃん、いつもの行ってみよー!」


「――Gyupi!」


 ラビックの声に、上体を起こして答える青芋虫。そして――


「――GYUUUPIIIIIIIIII!」


 なんの前触れもなく、青芋虫が大きな声で叫びだした。


「うっるさ! な、何なんだ一体」

「えへへ~、これがキャピちゃんの技の1つ、【鳴き声】だよ! こうやって大声で叫ぶことで、周りにいるモンスターたちを呼び寄せるんだ!」


 耳を塞ぎながら、胸を張るラビック。

 

「そう言うことは先に言ってくれ……というかそれ、かなりヤバイんじゃないか?」

「大丈夫大丈夫。これでも僕、基礎レベル20は超えているから。この辺りの敵が少々増えたところで、増えたところで……あれ? ちょっと不味いかも……」


 徐々にトーンを落とし、困った顔をし始めるラビック。

 彼女の視線の先には、ちょっと洒落にならない数のモンスターが。


「おいおいおいおい、青芋虫そいつの鳴き声、効果ありすぎだろ!」

「い、いや~、確かにエンハンスして多少効果は上がっているはずだけど、ここまで大変なことにはなったこと無いかなー……どうしよう?」

「どうもこうも、倒すしかないだろう! と言っても俺はひたすら魔法を打つしかできないから、ラビとキャピは足止め頼む!」

「りょ、了解だよ! キャピちゃん、行くよ!」

「Gyupi!」


 土煙を上げながら集まってくるモンスターたちに焦りつつ、俺は必死になりながらステータスを開く。

 そして――



【連続詠唱スキルを取得しました】



 どうせ【統合スキル】してしまえば、スキル枠は余るのだ。

 あとで後悔するかもしれなが、そうなったらそうなったでまた考えればいいさ。

 今はまず、目の前の問題から解決してしまうとしよう。


「さて、楽しいレベリングを始めるとしようか」






 


 

名前 トリー

種族 魔素族

職業 エリートダークファイアプランクトン

レベル 9

魔力 960/960(600+360)

知力 30

スキル 魔力上昇6 魔力回復上昇6 魔力操作7 魔力感知7 

    火魔法5 浮遊7 魔素操作3 闇魔法1 

    連続詠唱1 New!

STP0 SKP2》0



※スキル統合についての注釈

スキル統合は、関連スキルの内2つがレベルMaxになった時点で統合可能となります。

そしてその後新たな関連スキルをレベルMaxにすれば、そのスキルも更に統合となります。

例)【魔力上昇】20+【魔力回復上昇】20》【魔導(知力上昇効果なし)】+【知力上昇】20》【魔導(知力効果あり)】

ただしこの場合、【知力上昇】を統合させた時点で【魔導】のレベルが下がります。

また【魔導(知力上昇なし)】よりも【魔導(知力上昇あり)】の方が、レベルの上りは悪くなります。


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