社畜は突然に
自分はなんのために生きているのか。
それすら分からないまま漠然と仕事して、帰って寝て、また仕事をして、他のものを全て犠牲にして仕事をした。
俺、藤田雄也の人生はこんなものなのか?と疑問も持たなくなっていた。
最初は仕事しながら遊ぶ、楽しい大人になれると思っていたけど、現実は違った。
気が付いたら仕事以外なくなってた。
もう辞めたいと思う気持ちもなくなっていたし、辞める気もなかった。唯一の癒しは昼飯を買うために夜コンビニ。店員さんが可愛いのだ。
「いらっしゃいませ!……あ、藤田さん!おはようございます!今日もお仕事ですか?」
「おはようございます!そうなんすよ……。」
「大変ですね……お疲れ様です……。」
「ありがとうございます……。」
ここで癒しの時間に突如訪れた事件
(腹痛いな……トイレ借りるか……)
「すいません、トイレ借りていいですか?」
「どうぞどうぞ!」
「お借りしまーす」
早歩きでトイレに向かったその時……
「きゃああああああああああああああああああ」
店員さんの可愛い声が悲鳴として聞こえた。
(なんだ!?)
左右を見る、すぐ分かった。
そして、自分の時間がゆっくりとなった……。
(おいおい嘘だろっ!?)
右側から、車が迫っていた。
まだ、店員さんの悲鳴は聞こえている。
ふと思ってしまった。
(やっと死ねる。)
瞬間、体が浮いた。視界が暗転する。
こうして、俺は仕事から解放され永遠の眠りについた……
はずだった。