表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗黒と少年-インタールード-  作者: みんとす。
終ノ章 -継ぐ-
42/43

第六話 来タル日ニ想イヲ―Ⅱ


 広間の戸締まりをゲランさんに任せ、俺たちは自室へ戻った。その道中、ラオが使用していた部屋へと足を伸ばす。静かな、暗い空間には慣れないものの、明らかに気持ちが違っていた。

 

(……こんな簡単なことに一年も気付かなかったって、怒るかな)

 

 自分のために、何をすれば良いのか。それは同時に、彼のためにするべきことへ導いてくれるはず。俺自身のことに目を向けずにいた日々が、嫌に勿体なく感じる。

 感情は分かれど、俺の本質が消えていたような、不気味な感覚。それを認識してから、今の俺に必要なことが見えた。

 

(……シリスも、ガネさんも、俺のことを気にしてくれてる。ウィンのことも、励ましてやらないといけないのに、だめだな)

 

 

 

 ─あいつに会いたい。怒って許して、受け止めたい。それは変わらない。でも、……あと一つ言うなら、俺がちゃんと自分を受け止めて、少しは、素直になってみようと思う。

 

 

 落ち着いてから、青郡に顔を出す。ルデにそう言っておいて、協力してくれたギカには、事の顛末をまだ伝えていない。

 今なら、言える気がする。

 

(明日、少しだけ外に行こう)

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。

 快晴の下、屋敷の玄関を出た。隣にはウィンがいる。ポニーテールに結った髪を揺らして、俺の後ろを付いてきている。

 歩幅はあまり変わらないけれど、彼女に合わせて歩く。それに気付いたのか、笑顔で俺をのぞき込んだ。

 

「晴れて、良かったね」


 青郡に到着する頃には、追い風が俺たちにかかってきていた。

 

 

 

 

 青郡にある青精珀は、僅かな輝度を保って揺らいでいた。一年前、一層強い輝きを放った後、今の状態が続いているという。

 

 その僅かな色が、何か繋ぎ止めているようにも見えた。

 

「俺、バカだなぁ」

 

「ザイ? 大丈夫?」


「……もう少し早く、素直になれば良かった」

 

 その言葉を聞いたギカは、少しの間を取って「ふはっ」と笑った。

 

「……強がりが素直に、ねぇ。あーっくそ、目が腫れて瞼が痙攣起こしてる」


「笑うとこかよ」


「前に、オレを頼ってくれたじゃん。この青精珀の時とか、屋敷で共闘した時とか。何だかんだ言って、ちゃんと頼りどころ分かってる奴だよ、お前」

 

 ぽかんとする俺とウィンの肩に手を乗せ、滅多に見せない凛とした表情を見せた。

 

「お前らは、ちゃんとここまで来れた。十分じゃん。オレは、ダチとして、お前らのこと誇りに思ってる。お陰で青郡も活気づいてるしな」

 

 俺たちの顔をしっかり見て、また続けた。

 

「……いいか。お前らが見つけた道なら、堂々と進めよ。ラオガと約束してんなら、オレとも約束だ。その覚悟、オレは全部受け止めた。しんどくなったら来ても良い。けど、自信失くすんじゃねぇぞ。お前らはすげーんだよ。互いに支えて守って、覚悟貫き通せ」

 

 強い眼差しが、酷く焼き付いた。

 俺もウィンも、自然と笑うことができた。

 

「……助かったよ。カッコつけちゃって、いないけど兄貴かと思った」

 

「ばーか、オレはそもそも年上だっての」

 

「ふふ、ずっと会ってなかったけど、ギカ君が友だちで良かった」

 

「あぁ、また来いよ。待ってるから」

 

 肩に乗った手がするりと下りる。それから、他愛のない話をしながら、青郡を抜けるところまで歩いた。

 ギカは、「行ってこい」と力ある言葉と、笑顔で送り出してくれた。

 

 

 

 

 屋敷に戻り、スッと自信が身に染みて、ウィンと共にすぐにガネさんのもとへ行った。

 

「ガネさん、話させて。俺が気付いたことと、俺がやらなきゃいけないこと」

 

 驚いた表情を見せながらも、すぐに安堵を見せ、室内へ招き入れてくれた。

 

「どうぞ。聞きましょう」

 

 もう一度話そう。俺たちの、これからを。


暗黒と少年-インタールード- 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ