表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花嫁騎士 ~勇者を寝取られたわたしは魔王の城を目指す~  作者: クラン
第四章 第三話「永遠の夜ー③赫灼の赤き竜ー」
1461/1507

996.「赤竜と金毛」

 かつて『緋色(ひいろ)の月』と接触すべく待機場所として選ばれた、尾根(おね)の洞窟。その入り口付近でわたしは空を見上げていた。なにも考えず、ひたすら天上の星の推移を眺めている。


 先ほど洞窟の入り口で番をしていた獣人――タテガミ族といくつかの言葉を()わし、ゾラを呼ぶよう依頼したのだ。番人はわたしを知っていたようで承諾(しょうだく)してくれたものの、怪訝(けげん)な顔をしていた。こればかりはわたしの淡泊なコミュニケーションのせいではないはず。ヨハンは外見的には人間に見えるし、ナルシスは正真正銘人間だ。彼らがわたしと一緒にいるのは不自然ではないだろう。竜人であるスピネルの存在も、そこまで不審ではない。


 血族。すなわちユランの存在が、番人の動揺の原因だろう。他種族は血族を嫌悪している。とりわけ獣人はその傾向が強い。夜会卿の玩具にされた過去を持つのだから当然だ。しかも、今は戦争の真っ最中である。(まが)うことなき紫の肌が、この場に姿を見せるなど異常事態にもほどがあるだろう。わたしが居ようとも、不穏な予感を抱いてしまうのは無理もない。


「大丈夫っすかね」とスピネルは不安そうにもじもじしている。


 ユランを、オブライエン討伐部隊である他種族連合に合流させる。ヨハンは空中でそのように説明した。どうやら手話でそのあたりの交渉をしたらしい。国家云々(うんぬん)にこだわっていたユランにとって、独立宣言をした張本人と対峙(たいじ)出来る機会は垂涎(すいぜん)と言っていいかもしれない。


「大丈夫よ、スピネル。きっとなにもかも上手くいくから」


 そう言って、お腹のあたりを撫でてみた。露骨に破顔するスピネルを見ていると、なんと(ぎょ)しやすい存在だろうかと思ってしまう。わたしが感情を持ち合わせていないと何度か耳にしている以上、明らかに演技だと分かるだろうに。


 やがて騒々しい足音がいくつか聴こえ――。


「クロエ~!!」


 入り口から飛び出した猫耳の女性に抱きつかれた。ジェニーだ。その後ろから黒毛のケットシー、クロが歩いてくる。


「久しぶりね、ジェニー。元気だった?」


「元気だにゃ!」


「そう」


 彼女の身体を引き離す。「クロエ?」と当惑混じりの疑問が耳に届いたが、ジェニーを一瞥(いちべつ)もしなかった。洞窟の入り口に金色のタテガミを持つ巨体が現れたからである。


 ゾラだ。彼の背後から、衣服をまとった獣人ミスラと、白いタテガミを揺らす獣人オッフェンバックが姿を見せる。ジェニーと違って、クロもミスラもオッフェンバックも静かにしているのは、ゾラの従僕(じゅうぼく)として相応(ふさわ)しい態度だろう。


「メフィストに、クロエか。それに見知らぬ人間と竜人」


 視線がユランへと(いた)ると、ゾラは目を丸くした。ユランはというと、一瞬ぽかんとしたが、すぐに目を輝かせる。


「ゾラ! ゾラじゃないか! 久しいな!」


「ユランよ! まさかここで会えるとは!」


 二人は軽く拳を合わせ、どちらからともなく抱擁(ほうよう)した。


 知り合いにしては随分親密だ。


「ヨハン」


「なんです、お嬢さん」


「友人かなにかなの、この二人」


「そう見えますね。いやはや、まったく知りませんでした」


 ヨハンはあからさまに安堵の息を吐いた。ゾラにはユランの存在を一切告げることなく、というよりなんの予告もなしに訪れたのだ。ゾラを相手に血族の参入について交渉する労苦をアレコレ想像していたのだろう、ヨハンは。その心配は()らなかったわけだ。そもそも先にゾラの名前をユランに伝えておけばいいものを。秘密主義の欠点が露呈(ろてい)した瞬間だろう。


「紹介する。彼は俺の親友だ」とユランは胸を張って言い切った。わたしたちだけではなく、この場の獣人たちにも聞かせるように。


 それからゾラとユランは交互に補いながら、知り合った経緯を語った。


 ある日、樹海に迷い込んだユランとゾラが出会ったらしい。穏便、とはいかない。その頃にはすでにルドベキアの酋長(しゅうちょう)となっていたゾラは、血族への憎悪に満ちていた。連中が同胞(どうほう)におこなった仕打ちは許せるものではない。当然、ゾラはユランを襲撃した。ユランは言葉で説得しようとしたが叶わず、なかば決闘になったという。


 決着はなかなかつかず、ゾラは酋長としてこれ以上ルドベキアを留守にするわけにはいかず、戦いの続きを明日に持ち越した。ユランにはその場に(とど)まるよう言い捨てて。


 ゾラとしては、ユランは明日を待たず消えているだろうと読んだ。当然だ。ひと晩中、樹海の外れにじっとしているなど考えがたい。むしろ、援軍を呼ぶのが自然な成り行きであり、ゾラもそのように予想したが、現実は違った。ユランは別れたときと同じ場所で胡座(あぐら)をかいてじっと待っていたのだ。そしてゾラを見るや『よし! 続きだ!』である。


 かくして二日目の決闘がはじまり、それが三日、四日と続いた。その(かん)ユランは本気で戦ったらしいが、説得も(おこた)らなかったらしい。それが()を結んだのだろう。あるいは、四日に渡る戦闘を通じてユランの強さを認めたのか、実情は(さだ)かではないが、二人は和解した。もとよりユランに敵意はなく、本当に迷い込んだだけなのだから。樹海と血族の地とは『毒色(どくいろ)原野(げんや)』で(へだ)てられているが、飛行能力を(ゆう)するユランにとって、地上にわだかまる毒霧など問題ではない。


 友情を取り結んで別れた矢先、ゾラは別種の問題を(かか)えることとなった。ニコルの出現である。ニコルに敗北したゾラは、勇者一行に加わることになった。ニコルの強引さのせいである。とはいえ、ゾラも条件を突きつけた。夜会卿の領地であるアスターから他種族を解放するように、と。かくして勇者一行は、ニコルの会得(えとく)した翼の魔術を付与され、『毒色(どくいろ)原野(げんや)』を突破し、アスターに乗り込んだわけだが――そこで再びゾラとユランは面会を果たした。示し合わせたわけではなく、まったくの偶然だ。ユランは夜会卿に、他種族解放を直訴(じきそ)するために直接足を運んだらしい。かくして両者の目的は合致し、アスターでの大規模な他種族解放が行われた。不死である夜会卿の打倒こそ叶わなかったものの、解放という目的は果たしたのだ。ユランはアスターの血族を誰ひとり傷つけることがなかったため、侵略行為と見做(みな)されはしなかったものの、アスターを出禁になったらしい。


「そんな昔の話じゃねえけど、なんだか懐かしいな」


 ユランは腕組みして自分の言葉に頷く。そんな彼に、ゾラは目礼を送った。


「その(せつ)は助かった。ユランよ。お前の手引きがなければ、同胞の解放は叶わなかっただろう」


「そう謙遜(けんそん)すんなって。たぶん、ニコルひとりでもやれたんじゃねえか?」


 言って、二人の快活な笑いが重なった。


「ときに、お前はなぜこの地に?」


「そりゃあ、グレキランス地方の人々の洗脳を()くためだ! ここはもともとラガニア領だからな! 国家なんかじゃねえ! そのために戦争に参加した! ……ってのは、少し前までの話だ。今の目的は違う。オブライエンと会って話をしなきゃならねえ。独立を取り下げさせる。それが無理なら、拳で語るしかねえな」


 きっと、ユランの甘さは生来のものだろう。話が通じる相手じゃないことはヨハンが説明しているはずだ。


 そんなユランの性格は、わたしよりもゾラのほうが熟知していたようで、納得したように頷いた。「お前はそういう男だ。分かってる」と添えて。




 かくして、ユランの存在はゾラによって許容された。つまり、オブライエン討伐部隊に無事参入したのである。


 一同は客人として洞窟内で休息を()ることになった。今頃食事が振る舞われていることだろう。スピネルにはしっかり食事と睡眠を摂るよう伝えてある。ナルシスは好きにすればいいし、実際、他種族ともよろしくやっているだろう。彼のほうから進んで自己紹介し、あのゾラの手を取って握手までしたのだから。偏見(へんけん)がないことの証明になったかというと微妙だが、信頼関係は一朝一夕で築かれるものではない。


 わたしはというと、洞窟の入り口に(たたず)んで、(しら)みゆく空を見つめていた。食事も睡眠も断って。ヨハンはわたしを置いてさっさと洞窟内に入っていった。薄情だとは思わない。どんな(たぐい)の感情も、今のわたしは持ち合わせていないから。ときおりジェニーや、人魚のメロがやってきたが、交わした言葉は少ない。以前の自分を(よそお)って言葉を選んでいるつもりなのだけれど、彼女らの反応を見るに、成功してはいないようだった。まあ、どうでもいい。


 これからの日程は決まっている。昼には尾根を出発し、休み休み『煙宿(けむりやど)』に向かうことになっていた。一日半の行程だ。ここまでのスピネルの負担を考慮し、ヨハンが決めたのである。わたしとしても、途中でスピネルに脱落されたら不便だ。


「お嬢さん」


 予告なく、わたしの影からにょっきりと不健康な男が現れ、隣に並んだ。


「なに」


「ここにいる皆さんは、早晩(そうばん)、もっとも過酷な戦場に立つことになります。ある意味で、地上よりも遥かに生存率が低いと私は読んでいます」


「そう」


「……皆さんに優しくしてあげてくださいね。お嬢さんの記憶にない方々も、お嬢さんのことは知っています。ゾラさんに勝利した結果が彼らの結束に繋がっているのですから」


「優しくって、コミュニケーションのこと?」


 ヨハンは浅く頷き、わたしの頭に触れた。


「ええ。上手に出来ずともかまいません。なに、私も隣でフォローしますよ。出発まで時間はあります。それまで目一杯交流しましょう。思い出の数は多いに越したことはありません」


 今のわたしに思い出は必要ない。それとも、死にゆく者に思い出が必要なのだろうか。どちらかは定かではないが、わたしは(きびす)を返し、洞窟へと向かった。東から昇った太陽の、赫灼(かくしゃく)たる光に照らされた大地に背を向けて。


 血族がグレキランス地方に入ってから、七日目の朝が来た。

発言や単語が不明な部分は以下の項目をご参照下さい。



・『緋色の月』→獣人を中心として形成された組織。人間を滅ぼし、血族と他種族だけになった世界で確固たる地位を築くことが目的とされている。暴力的な手段を厭わず、各種族を取り込んでいる。現在は『灰銀の太陽』と手を結んでオブライエンの打倒を目指している。詳しくは『610.「緋色と灰銀」』『625.「灰銀の黎明」』『626.「血族と獣人」』にて


・『タテガミ族』→獣人の一種。男はタテガミを有し、女性は持たない。獣人たちの中央集落『ルドベキア』はタテガミ族の暮らす地


・『ゾラ』→別名、『獣化のゾラ』。勇者一行のひとりであり、『緋色の月』のリーダー。獣人(タテガミ族)の長。常に暴力的な雰囲気を醸している。恋愛に関しては極度に潔癖な一面もある。勇者一行でありヨハンの兄でもあるジーザスと契約し、人間殲滅を目的とした戦争への参加を余儀なくされている。クロエに敗北し、ヨハンの提示した戦争での役割を受け入れることとなった。すべての種族が争いなく共生する世界、『ユグドラシル』を理想としている。しかしながら過去、人間との交流によって失意を味わい、結果、人間に対する愛憎の念を抱くようになった。詳しくは『287.「半分の血」』『336.「旅路の果てに」』『702.「緋色のリーダー」』『790.「獣の王」』『Side Grimm.「獅子のひとりごと」』にて


・『ナルシス』→王都の騎士団に所属している交信魔術師。自信家で演技口調。しかし交信魔術の腕前は送受信ともに優秀。また、元真偽師。観察眼と魔力察知にも長けている。詳しくは『第四章 第三話「永遠の夜ー①前線基地ー」』『第四章 第三話「永遠の夜ー②隠れ家と館ー」』にて


・『スピネル』→二度目の『霊山』来訪で出会った、薄黄色の鱗の竜人。臆病で、長いものに巻かれる性格。クロエが無理やり『霊山』に押し入ったことにより、門番をしていた彼も裁きを受ける手はずになっていた。クロエが竜人の族長となったことで無罪放免となり、それから彼女を「至高の星」と呼んで心酔し、自ら下僕関係を望んだ。「至高の星」とは、竜人を含めた世界全部を良くする存在なんだとか。詳しくは『第四章 第二話「幻の森」』にて


・『竜人』→全身を鱗に覆われた種族。蛇に似た目と、鋭い爪を持つ。王都の遥か西にある山脈に生息している。弱者には決して従わない。鱗の色で階級が二分されており、『純鱗』は気高く、『半鱗』は賤しい存在とされている。詳しくは『626.「血族と獣人」』『幕間.「青年魔術師の日記」』にて


・『黒の血族』→魔物の祖と言われる一族。人間と比較して長命。もともとは王都の敵国であったラガニアの人々のごく一部が、オブライエンの生み出した『気化アルテゴ』によって変異した姿。詳しくは『90.「黒の血族」』『間章「亡国懺悔録」』にて


・『赤竜卿(せきりゅうきょう)ユラン』→黒の血族で、ラガニアの公爵。自称、ウルトラ・ドラゴン卿。情熱的な青年だが、センスは壊滅的。代々、ドラゴンを使役するとされているが実際に目にしたものはおらず、虚言卿や嘘つき公爵と囁かれているが本人は意に介していない。詳しくは『幕間「ウルトラ・ドラゴン卿」』にて


・『夜会卿ヴラド』→黒の血族の公爵。王都の書物でも語られるほど名が知られている。魔王の分家の当主。キュラスの先にある平地『毒色原野』を越えた先に彼の拠点が存在する。極端な純血主義であり、自分に価値を提供出来ない混血や他種族は家畜同様に見なしているらしい。不死の力を持つ。詳しくは『幕間.「魔王の城~ダンスフロア~」』『90.「黒の血族」』『幕間.「魔王の城~尖塔~」』『565.「愛の狂妄」』『927.「死に嫌われている」』にて


・『オブライエン』→身体の大部分を魔力の籠った機械で補助する男。王都内の魔具および魔術関連の統括機関『魔具制御局』の局長。自分の身体を作り出した職人を探しているが、真意は不明。茶目っ気のある紳士。騎士団ナンバー1、紫電のザムザを使って『毒食の魔女』を死に至らしめたとされる。全身が液体魔具『シルバームーン』で構築された不死者。かつてのグラキランス領主の息子であり、ラガニアの人々を魔物・他種族・血族に変異させ、実質的に滅亡させた張本人。外界で活動しているのは彼の分身『二重歩行者』であり、本体は一切の魔術的干渉を受けない檻に閉じ込められている。詳しくは『345.「機械仕掛けの紳士」』『360.「彼だけの目的地」』『間章「亡国懺悔録」』にて


・『ジェニー』→『毒食(どくじき)の魔女』の邸にメイドとして住み込む少女。愛嬌たっぷりで天真爛漫。語尾に「にゃ」を付けて喋る。『ケットシー』と呼ばれる獣人の一種。興奮すると耳と尻尾が出てしまう。故郷の村を獣人に滅ぼされている。手引きしたのは友人だったケットシーのクロ。彼と樹海で戦闘し、その末に和解した。クロと一緒にいるために、ルドベキアに残ることに決めた。詳しくは『第八話「毒食の魔女」』『600.「或るケットシーの昔話」』『601.「たった二人の生き残り」』にて


・『クロ』→黒毛のケットシー。ケットシーの族長を殺し、ルドベキアに移住した男。トムの脚を切断したのも彼。かつてジェニーの友達だった。ドライな性格。『緋色の月』の二番手。獣人の中央集落であるルドベキアでジェニーと戦闘し、敗北。その末に彼女と和解を果たす。詳しくは『Side. Etelwerth「集落へ」』『600.「或るケットシーの昔話」』『601.「たった二人の生き残り」』『Side Jennie.「みっつめのお願い」』にて


・『ケットシー』→獣人の一種で、猫に似た姿をしている。しなやかな毛で小柄。五感が優れている


・『ミスラ』→女性のタテガミ族。しなやかな黒毛。多くの獣人と異なり、薄衣や足環など服飾にこだわりを見せている。オッフェンバックの元恋人であり、わけあってゾラに侍るようになったが、オッフェンバックとよりを戻した。二本のシミターを用いて踊るように戦う。『緋色の月』の戦士であり、『黄金宮殿(ザハブ・カスル)』の使用人。詳しくは『787.「青き魔力の光」』『788.「黄金宮殿」』『789.「絶交の理由 ~嗚呼、素晴らしき音色~」』『797.「姫君の交渉」』にて


・『オッフェンバック』→純白の毛を持つタテガミ族の獣人。『緋色の月』に所属。自称音楽家の芸術至上主義者で、刺激を得るという動機でハックの和平交渉を台無しにした。炎の魔術を得意とする。クロエとの戦闘に敗北し、あわや絶命というところを彼女に救われた。それがきっかけとなって『灰銀の太陽』への協力を申し出る。が、『緋色の月』に返り咲き、再び『灰銀の太陽』と敵対することに。詳細は『774.「芸術はワンダー哉!」』『780.「君が守ったのは」』にて


・『メフィスト』→ニコルと魔王に協力していた存在。ヨハンの本名。現在はクロエと契約し、魔王討伐に協力している。初出は『幕間.「魔王の城~尖塔~」』


・『ルドベキア』→獣人の集落のひとつ。もっとも規模が大きい。タテガミ族という種が暮らしている。『緋色の月』はルドベキアの獣人が中心となって組織している。詳しくは『608.「情報には対価を」』『786.「中央集落ルドベキア」』にて


・『毒色(どくいろ)原野(げんや)』→人も血族も住まない荒廃した土地。グレキランスの人間は『中立地帯』と呼んでいる。夜会卿の統べる都市とキュラスとの中間に広がった荒野を指す。常に濃い靄に覆われており、毒霧が発生しているとの噂がある。霧は一定周期で晴れる。詳しくは『616.「高貴なる姫君」』にて


・『ニコル』→クロエの幼馴染。魔王を討伐したとされる勇者だが、実は魔王と手を組んでいる。黒の血族だけの世界を作り上げることが目的。クロエの最終目標はニコルと魔王の討伐。詳しくは『875.「勇者の描く世界」』にて


・『アスター』→夜会卿ヴラドの統べる街。グレキランスよりも広く、発展している。詳しくは『第四章 第三話「永遠の夜ー②隠れ家と館ー」』にて


・『ラガニア』→かつてはグレキランス同様に栄えていた地域、と思われている。実際はグレキランスを領地として治めていた一大国家。オブライエンの仕業により、今は魔物の跋扈する土地と化している。魔王の城は元々ラガニアの王城だった。初出は『幕間.「魔王の城~書斎~」』。詳しくは『間章「亡国懺悔録」』より


・『グレキランス』→通称『王都』。周囲を壁に囲まれた都。また、グレキランス一帯の地方を指して用いられる。詳しくは『第九話「王都グレキランス」』にて


・『人魚』→女性のみの他種族。下半身が魚。可憐さとは裏腹に勝手気ままな種族とされている。大部分の人魚は臆病ゆえに排他的だが、族長であるメロはその限りではない。『灰銀の太陽』に協力。詳しくは『741.「夜間飛行」』にて


・『メロ』→人魚の族長。小麦色の肌を持ち、軽薄な言葉を使う。口癖は「ウケる」。なにも考えていないように見えて、その実、周囲をよく観察して行動している。仲間思いで姉御肌。地面を水面のごとく泳ぐ魔術を使用。詳しくは『745.「円卓、またはサラダボウル」』『746.「笑う人魚」』にて


・『煙宿(けむりやど)』→王都の北に広がる湿原の一角に存在する宿場町。ならず者の理想郷とされ、出自を問わず暮らすことが出来る。ゆえに人探しはご法度。要人や富裕層の住む『不夜城』と、一般的なならず者の住む『ほろ酔い桟橋』に区分されている。詳しくは『第二章 第四話「煙宿~①ほろ酔い桟橋~」「煙宿~②不夜城~」』にて

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ