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異世界から戻った俺は銀髪巫女になっていた  作者: 瀬戸こうへい
第三章 幼馴染の少女

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文化祭に向けて

 10月に入り中間テストが終わると、学校はにわかに騒がしくなっていた。月の最終週の土日には、2日間連続で文化祭が予定されており、それに向けて生徒全体が盛り上がっていたからだ。


 俺達のクラスは出し物として定番のメイド喫茶をやるようで、クラスの担当者は衣装やら、飲み物やら、付け合わせやら、積極的に準備をしていた。俺や優奈は二日間それぞれ2時間づつの店番の割当はあるが、その分事前準備は免除されていて気楽なものだ。


 ただ、その分部活動の方で出し物を予定している。

 俺が参加している『Wizard's Soil同好会』は先月から『Wizard's Soil部』として活動していた。

 俺が優奈に同好会へ加入すると伝えると、優奈も一緒に入ると言って聞かなかったのだ。

 そしてもうひとり、蒼汰の妹である翡翠も何故か同好会に参加して、同好会は部活動の要件である5名の部員数を満たして正式に部活動として学校に認められたのだった。

 活動日は週三日で参加自由のゆるい部活だ。ちなみに、優奈と翡翠も兄の影響でウィソをプレイしていたことがあるので、名前だけの部員という訳ではない。


「文化祭ではウィソ部として、トーナメントを開催したいと思う!」


 ある日の部活動の最中、蒼汰はそう宣言した。


「うん、いいんじゃないかな? ……ターンエンド」


 涼花と練習用のデッキで対戦をしていた俺はそう答えた。


「わたくしもいいと思いますわ……アタックですの」


「あー、ここではアタックはこうした方がいいと思うよ。このカードを持たれてると、一方的に損してしまうから」


 俺はアタックしている涼花のクリーチャーを入れ換えながらプレイングの改善箇所を伝える。


「……なるほど、勉強になりますわ」


 頷く涼花。彼女は物憶えがよく基本的な戦術はほとんど身につけていた。後は細かいやり取りを憶えたら、トーナメントでもそこそこのところまで行けると思う。


「……お前ら、もうすこし真剣に考えてくれよ。他人事じゃないんだからな」


「と言っても、あたしトーナメントになんて出たこと無いから、どうしたらいいのかわからないんだけど……」


 空いてるテーブルで紅茶片手に勉強をしていた優奈が、顔を上げて蒼汰に答える。


「私も、そもそもカードゲームにあまり興味ないから……」


 困った、という風に小首を傾げたのは翡翠だった。


「お前ら、何しに部活に来てるんだよ……」


 蒼汰は溜息をついた。


 実際、俺に付き合って入部した優奈はさておき、翡翠が何でこの部活に入ったのかは謎だった。

 人数が足りないときに誘えばゲーム自体はプレイするものの、翡翠から積極的にプレイしているところは見たことがない。


 最初、会室で翡翠と再会したときは、どんな態度をとったらいいか分からなかった。なにせ、翡翠に会うのは幾人の葬式で逃げるように立ち去られて以来の事だったからだ。

 だけど、心配をよそに「ごめんなさい、あのときは動揺してて、みっともないところを見せてしまって……」と出会い頭に翡翠は謝り、それからは、普通に会話をするようになった。

 俺が敬語を使うのを嫌がられて、蒼汰や涼花と同じようにタメ口で話をするようになったが、それ以外は今日まで差し障りのないやりとりばかりで、正直なところ拍子抜けした。


 それはさておき、大会は参加経験がある俺と蒼汰が中心に運営することが決まった。


「大会の賞品に何か目玉が欲しいな。取り敢えず俺はこのホログラム・レアカード達を賞品として提供しようと思う」


 そういって蒼汰が取り出したのは、なかなかの値段がついている箔押しのレアカード達だった。


「パックでしたら、何箱か提供できると思いますわ」


 と涼花。彼女の家には執事によって用意された未開封のパックの箱が常に常備されているらしい。


「それは助かるぜ! 他にも何かないかな……そうだ! せっかく女子が多い部なんだし、文化祭でのデート権とかどうだろう?」


「私は嫌」「同じく」「わたくしは蒼汰さんがどうしても、というなら従いますが……」


 蒼汰の提案に対し、女性陣の反応は散々だった。


「……アリス、任せた!」


 その態度を受けて、半分投げやりになりながら俺に振る蒼汰。


「私は別にいいけど……私なんかとデートして嬉しいものかな?」


 一部マニアックな趣味の人はいるとは思うけど、需要は低いんじゃないか、そんなふうに思う。

 だけど、いくら需要が高そうだからといって、うちの部の他の女子に見知らぬ相手と無理矢理デートさせるというのは忍びないので、俺が引き受けることにした。


 各人が提供した賞品は上位から順番に選んでいくみたいなので、俺とのデート権が最後まで残ったらどうしようと、そのときは軽く考えてた。

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