表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界から戻った俺は銀髪巫女になっていた  作者: 瀬戸こうへい
後日談

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

131/139

7月

「夏が来た! 夏と言えば海! 海と言えば水着!」


 ということで、あたしこと如月優奈は妹二人を連れて水着を買いに来た。


「私たちは魔法は使えるから、別に水着は必須じゃないんだけど……」


「海水浴場に行くのに水着着なくてどうすんのよ」


 いくら大丈夫だからって、着衣で水の中に消えていったら普通に恐いから。


「……だからって、わざわざ水着を買わなくても」


「ダメに決まってるでしょ!」


 デートで学校指定の水着とか絶対ありえない!


「うう……水着かぁ……」


 この妹は、いまだ女性らしい格好をすることに抵抗があるのだ。

 こんなにかわいい外見しておいて。仕方のない妹である。


「その……ごめんなさい。今回は優奈と一緒に行けなくて……」


 もう一人の妹が申し訳なさそうに口を開く。


「いいよ、いいよ。気にしないで。二人は恋人だもん、デートは大事だよ!」


 なんでも、アリスとアリシアはずっと前から海に行く約束をしていたらしい。

 はじめての海は二人で行きたいのだとアリシアから相談を受けての今日の買い物だった。


「それに、夏休みは長いからね。あたしとも海いこーねー!」


「はい、是非」


 去年はアリスの転入試験とかいろいろあって海で遊べなかったもんなぁ……

 当時はアリスも女の子になったばかりだったから、水着とか絶対拒否ってただろうし。


「何度も海に行くなら、やっぱり水着は買わないとね!」


「……わかったよ」


 そんなこんなで、あたし達は三人で電車に乗って郊外にあるショッピングモールにやってきたのであった。


「しかし、買い物はいつもここになっちゃうなぁ……」


 入り口を見上げてアリス。

 確かにアリシアがやってきてから何度か必要な物を買い揃えに出たけど、大体いつもここに来ていた。


「わたしは何度来ても楽しいです」


 とアリシア。


「催事の水着売り場があるから、いろいろ選べるのが大きいよね」


 アリスとアリシアは最悪子供用じゃないとサイズが無いかもしれない。

 だから、専門店よりいろいろ置いてある方が安全だ。


 ……その理由を口にはしないけど。


「地方都市の悲しいところだねぇ……まあ、それだけここが便利ってことでもあるんだけど」


「館内はエアコンが効いてて涼しいですしね」


「この時期は外を歩くのもしんどいからねぇ……」


 そんな話をしながら、あたし達は館内を売り場に向けて歩いた。

 昔から通い慣れているので大体の場所は把握している。


「はへぇ……水着ってこんなにあるんですね……」


 売場にずらっと並んだ水着の量にアリシアは圧倒されているようだった。


「ねえ、アリシア、異世界の水着ってどんなのなの?」


「……そういう物はありませんでしたね。そもそも、庶民向けの衣類自体が簡素で、種類も少なかったですし」


 お洒落できないのは嫌だなぁ……生まれたのが日本で良かった。

 それよりも。


「じゃあ、これがアリシアにとってはじめての水着なんだね」


 それは責任重大だ。


「学校の水着は着てますけど……」


「あんなのはノーカンだよ、ノーカン!」


「そ、そうなんですか?」


「そうなんです」


 水着は女の勝負服だからね!

 あんな実用性重視の物と一緒にしてもらったら困るのだよ。


「じゃあ……私はその辺でぶらぶらしてるよ」


「えっと……はい」


 売り場についたら打ち合わせ通りアリスとは別行動になる。

 お互い選んだ水着はデート当日にサプライズした方が良いんじゃないか、とあたしが提案したからだ。


「それじゃ、終わったら、メッセージ送るね?」


「りょーかい」


 アリスは手を振って去っていった。


「……うーん、どれがいいですかね?」


「アリシアは肌も白いし髪も銀色だから、濃い色の方が映えるかもね」


 普段かわいい系の服が多いから、ちょっと大人っぽいのも良いかもしれない。

 幸いアリシアのサイズでもいくつか選べるのはありそうだ。


「こういうのはどう?」


 シンプルな黒のビキニ。トップスは肩紐を首の後ろで支えるホルターネック。ボトムスはローライズで布面積少なめ、シンプルだけどセクシーな水着だ。


「これって下着とどこが違うんですかね……?」


「生地が違うよ?」


「それにしても、その……布面積が少ないというか、少し大胆すぎる気が……」


 アリシアはちょっと引き気味だった。

 ちなみにあたしがこれを着るなら、ちゃんと下を処理しないと大変なことになると思う。

 アリシアは生えてないから大丈夫だろうけど。


「デートなんだから、少しくらい大胆でいいの。後、この水着は上からこれを羽織るんだよ」


 あたしはセットになっているグレーのワンピースを見せた。

 肩出しで背中が大きくあいているAラインのミニ丈ワンピースで、合わせて着ると大分肌を隠せる筈だ。


「……これなら、なんとか着れそうです」


「これを着て太陽の下に出ると、黒のビキニや肌のシルエットが透けて、セクシーな印象になると思うよ」


「わたしがセクシー……ですか?」


 胸元を見下ろして複雑そうな顔をするアリシア。


「大丈夫、パッドも入ってるから!」


 試着して貰ったら、良い感じだった。アリシアの幼い肢体に大人っぽいデザインのアンバランスさが、背徳的な色気を醸し出していて良かった。それに胸元もパッドのお陰で膨らみと谷間ができていて、これもまたセクシーだった。

 ワンピースで肌を隠しているときの方が、無防備に出てる肩や背中の白さが強調されてエッチだと思う。


「うん、いいね! アリスも惚れ直すと思うよ!」


「そ、そうですかね?」


 アリシアは着慣れない服装に、とても恥ずかしそうにしていた。


 うん、すごくいいね! そそる!


 それから何着か試着してみたけど、結局最初のやつにした。


 水着は必要な日用品なので、購入資金はママから融資して貰っている。

 会計をして、アリスに連絡を入れた。


「ごめんなさい、アリス。お待たせしてしまいました」


「大丈夫だよ。私は本屋さんでのんびり本を見てたから」


「本屋、いいですね! わたしも行ってきます!」


 という訳で、アリシアと入れ替わって、次はアリスの番だ。


「女の子の水着ってほんとデザインが豊富だなぁ……どんなのが良いかさっぱりだ」


「そうだねぇ……」


 アリシアの分を選ぶときに一通り確認したけれど、実のところ見た目程選択肢が多い訳でもなかった。

 アリスの体型に合ったサイズの水着だと選べる数が結構限定されるからね。

 なお、その半分以上はキッズ向けである。

 キッズ向けでも着れそうなデザインはあったけど、フリフリなのはちょっとね。

 素直なアリシアを騙すようにして試着してもらったけど、あれは犯罪的で良かった……


 ともあれ。

 アリシアはちょっと大人っぽい感じにしたから、アリスはボーイッシュで活動的な感じなのが良いかな?


「こういうのはどう?」


 白地に青の縁取りが入った競泳水着っぽいスポーティなシルエットのビキニ。

 その上から、マイクロミニのデニム風ショートパンツと、ラッシュガードを兼ねたゆったり目の白Tシャツを裾をキュッと結んで着る感じで羽織るので、露出も控えめとなっている。


「うん、良い感じ、これにするよ!」


「え……? 他を着てみないの?」


「気に入ったから、これで良いよ」


 アリスは一着目で決めてしまった。折角なのでいろいろ合わせてみたかったのにちょっと寂しい。

 まあ、それだけ気に入ってくれたってことなんだろうけど。


「それじゃあ、あたしのも選ぼうかな」


「アリシアを呼ぶ?」


「ううん。アリシアは本屋を堪能しているだろうし、あたしの買い終えてから連絡しよう」


「そうだね」


 アリシアの本好きは筋金入りだ。放っておけば何時間でも本屋に居られる程に。

 こんな短時間で呼び戻すのは少しかわいそうだ。


「と言っても、二人のを選んでるときに大体の目星はつけてるんだけどね」


 トイレがめんどくさいので、ワンピースタイプではなくセパレート。

 それでいて、お腹周りを隠してくれるホルターネックのタンクトップブラ。

 下はショーツと揃いのショーパンで露出を調整できるように。

 柄は全部揃いで白黒のチェックだ。

 そして、上から羽織るカーキ色のラッシュガード兼Tシャツは、アリスのよりもさらに首回りと袖がゆったりしたタイプ。


 今年はちょっとお腹周りの肉が気になるので、露出は控えめでラフっぽい感じを意識してみた感じだ。


「どう? アリス」


「うん、似合ってるよ」


 この後何着か着てみたけど、アリスはどれも似合ってるという感想だった。

 まだまだお洒落の修行が必要だね。


 二人分の水着を購入してから本屋に向かった。

 そこには、予想通り本に夢中になっているアリシアが居た。


 せっかくショッピングモールに来たので、スイーツを食べようという話になった。

 フードコートで、大きなシュークリームとたいやきを買って食べる。

 その後も三人でウィンドウショッピングをしながら館内をぐるりと一周。

 服とか駄菓子屋とかガチャガチャとか雑貨屋とか。


 一通り見終わったら帰宅する。


 アリシアは二人だけでデートすることをかなり申し訳無いと思っているみたいで、帰りの際も謝られた。

 二人は恋人だから気にしなくていいのに。


 二人の時間は大切にするべきだと思うんだよね。

 いや、まあ……隣の部屋で毎晩二人の時間を過ごしているのは知ってるけど、そういうのとデートはまた別だもん。

 でも、ほんと二人は仲が良いよね。

 夜のその……声はほぼ毎日聞こえてくるし、恋人が居ないあたしには刺激が強い。


 ちなみに、あまりにも刺激が強すぎて、どうしても我慢できなくなったときは、あたしも混ぜてもらっている。


 恋人同士の行為に混ざるのはあんまり良くないことだと思うけど。

 一度あれを経験してしまうとその魅力に抗うのは難しくて、意思の弱いあたしはついつい流されちゃうんだよね。


 異世界で育ったからだろうか? アリシアは、そういうのあまり気にならないみたい。

 アリスは今も戸惑っているみたいで……でも、流されてしまっているあたり、あたし達は姉妹だなぁと思ったりもする。


 そんなアリスの様子が背徳的で、そそるんだよね……あたしたちの行為は、アリシアがいつの間にか覚えていたという魔法で、その――アレを使ってするから特に。

 それが良すぎて、あたしに彼氏ができたときに普通の行為で満足ができるか少し心配だったりするけど。

 まあ、今は彼氏作りたいとか考えたこともないし、予定も全く無いから別にいっか。


 ……うーん。


 そんなことを考えたらむらむらしてきちゃった。

 今晩も混ぜて貰っちゃおうかなぁ……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ