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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ネタは尽きない短編集

男の娘の美少女育成計画 始動!

つややかな長い髪、白く細い指、シミのない健康的な白い肌。

僕の母さんは、美人だ。だから、憧れて、たくさん真似をした。

髪や肌の手入れを欠かさず、適度な運動でスタイルを保った。

お化粧は止められた、でも長い髪は真似した。

街に出ればナンパやスカウトに合う。

自分でも、美人だと思うし、特に疑いははない。

でも、男の人に告白されるのは、困ってしまう。


僕は、【男】だから。


________________________


つい、軽い溜息をついてしまう。

それを察したのか、僕の後ろから友人が手元を覗き込む。


「おー、今度は男か? 女か? それとも……」

「男っぽい……もぅ、困っちゃうな」


クハハ、と後ろで友人が笑いをこぼす。

笑い事じゃないよ、まったく。

最初の頃と違って、最近は男でもいい、というのが多くなった。

この容姿については何も恥じることはないけれど、やっぱり困る。

同性愛が異常だのと今時に言うつもりはない。むしろ、愛の形は人それぞれだ。

自分の身に降りかかったからといって、特別忌避する気もない。


「だけど、なぁ……」

「クハ、色欲に満ち溢れた目で舐め回されたら百年の恋も冷めるわな」


それだ。結局、それに尽きる。

『私』を見てどうこうというのは結構だ。

しかし、『僕』の前でするのはいかがなものか。

酷い奴だと、女にモテないから僕に来たと臆面もなく言うのもいる。

もっと酷い時は、僕に同意を求めて慰めろと要求する奴までいる。

……流石に、そんな人たちを相手にするのは嫌である。


「そう言いながら、毎回ちゃんと人柄を見極めてるあたり、いい女だよな」

「僕が嫌いなのは内面の汚い奴らだから。

 少なからず僕に好意を抱いてくれた人に、良くしたいと思うのは当然だ」


告白してきた人たち全員がそうであったわけではない。

少しとはいえ、良い人も混じってるし、むしろ比率的に汚い人間は半分ほどだ。

だけども、それに肯定したことは無い。同性愛は少数なのだ。

実際に、僕にはちゃんと男の象徴があることを話すと、かなり動揺する。

僕は、心の底から、体の先まで、男だ。それを愛するのは難しいだろう。

そうなれば、ションボリと帰っていくのである。


「だからってなぁ、わざわざセッティングするかよ?」

「全員にはやってない。僕だって相手は選んでるよ」


一部の人達は意固地になって留まろうとする。

そんな人達には、色々とツテを使って相手を探してあげたりするのだ。

付き合うことになった人たちは少ない。

だが、そうでなくとも僕への想いは吹っ切れる。


「必要経費ってやつ」

「そんなんだから『キューピッド』とか言われるんだよ」

「るっさい」


僕としては『黒髪の天使』を広めてる。

明確に女と呼ばれるのは、好きではないのだ。

その点、天使は性別不詳だから、ね。

無駄話をしているうちに始業のベルが鳴る。

とりあえず、手元の手紙は机の中にしまっておいた。


________________________


「それは、放課後のことであった……」

「はぁ?」


友人がいきなり変なことを言い出した。

ついに頭がおかしくなったか。病院の番号調べといて良かった。


「0、1、2、0の……」

「アホウ、やめろ。知ってるぞ、その番号」

「チッ」


他愛のない会話。

こういっちゃなんだが、希少である。

高嶺の花、という認識が強いのか、ほとんどの人は僕に近寄らない。

僕だって唯の人だというのに。すこし、不満だ。


「さて、今日は穏便に済むといいな」

「クハハ、まぁ心配するだけ無駄だと思うぜ」


いつもどおりに楽観的な友人にため息をこぼす。

それは、安堵の意味合いが大きい。

僕のたった一人の友人を、少なからず信頼しているのだ。

友人に「そうだね」と返し、待ち合わせの場所へ向かう。


「あれ? 君が?」

「あ、は、ふぁいッ!」


ちょっと、いやかなり想像していたのと違う。

そう思って、ポケットから手紙を出して見直す。

手紙の文字、文体と目の前の少女が結びつかない。

いや、違う。この文字、どこかで見たことがある。


「これは、君が?」

「え、えっと……その」


気弱そうなタレ目が何かを探してさまよう。

しばらくして、僕の後ろの方を凝視する。

目尻に涙を溜めながら、コクリとうなずく。


「もういい出で来い、ノイ」

「おぅ、なんのことかな紅憐こうれんクン?」

「あ、えっと、違っ……あの。うぅ」


軽く少女の頭をなでながら、ノイを尋問する。

見たことのある文字だと思ったら、ノイが見せてくれたノートの字だ。


「クハハ、まぁなんだ。悪い話じゃねぇよ。

 お前、こいつのこと……どうだ?」

「どうって……言われても、なぁ」


俺の肩より拳一つ分ほど低い背丈。

なでている髪から感じるしっとりとした柔らかい髪質。

タレ目で優しそうな顔立ちで、琥珀色の瞳は陽の光を思わせる。

華奢な体躯は庇護欲を掻き立てるが、女性的な魅力に溢れている。

総評――


「勿体無いッ!」

「ふぇぇ……」

「だろう? 俺もそう思う」


全て、原石だ。

その小柄な身体は持て余し、無防備でしかない。

髪は適切なシャンプー、リンスを使っていないのか先に行くほど乾いている。

手入れや立ち居振る舞い、その他様々に気を使う僕よりも、女性らしくない。

現状では、教室の隅にいる地味だけど無防備な可愛い子でしかない。


「ちゃんと髪を手入れしていれば天使の輪ができるよ」

「まじで? いや、疑うだけアホらしいか」

「なん、あのぅ……うぅ、あぅ」


ノイの言いたいことはわかった。

もちろん、それを僕が拒否しないことは疑いない。

だって、こんなものを見せられて、そうしたくならないはずがない。


「ま、もうわかってるだろうが。こいつは、俺の妹のクーリアだ。

 そして、お前にはッ! こいつを磨いてもらいたい!」

「了解したァ! 全力でやらせてもらう!」


男同士の暑苦しいノリである。

僕がやってると違和感しかないのか、クーリアちゃんが遠い目をし始めた。

ふふふ、そうしているうちに僕の計画は進行していくよ。

さぁ、クーリアちゃん。僕の手で、最高の女性に生まれ変わるんだ!


変態っぽい……。

ノリで書いてたらこうなった。後悔はしている。

おっかしいなぁ、もうちょっと恋愛色を出すつもりだったのに。

ちなみに、このあと紅憐クンは自分で磨いているクーリアちゃんの魅力に惹かれていきます。

クーリアちゃんも親身にしてくれる紅憐クンに憧れを持ち始めて……。

うーん、マンダム。いやいや、続きを書く気はないけどね。


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