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三年も経ってくれたのです

 果たして、そこから三年がたとうとしている今、僕は何かしらの成長をしたのだろうか。


 三年も時が止まっていたこのうすら寒くて可愛い自伝小説は、ふとしたきっかけで今日、発掘された。


 こんな悪い意味で青い文章を自分が書いていたことにも驚きだし、何よりも今となっては過去のものになってしまった彼女への恋情がこれほどまでに盛っていたことには驚嘆の意である。


 しかしまた、この思春期という時期を三年間過ごしてきた僕は、この前までの文章を書いてきた過去の自分に対して何を伝えられるだろうか。


 何もないのである。


 たしかに僕は結局のところその最愛の彼女には振られ、高校入試には成功し、公立の進学校に入学し、新しい恋をし、それが終わり、今や大学受験を迎えようとしている。


 しかし、僕が何かしら彼に伝えられるものは無い。それほどまでに薄い三年間だったのだろう。


 こうして文章を読んでもらえばわかることだが、僕の文章スキルは全くと言ってもいいほど成長していない。当たり前だ、この三年間、文章を書くことも、教養を深めることもしてこなかった。


 

「僕には唯一無二の才能がある」と僕は思っている。いや、思いたいのだ。運動に挫折し、勉学に挫折し、音楽に挫折し、文章に挫折した僕にはあといったい何が残っているだろうか。何もないのだ。


 そう、何もないのだ。


 しかし、僕は八十年生きなければならない。


 それは途方もなく苦しいことだが、もがいてもがいてもがいた先に、何かがあるのかもしれない。


 何もなくても求めなくては人は生きていけない。


 子供の僕には諦めるなんてことはできないのだ。


 小学生みたいな文章で読み返そうとする度に羞恥心が疼くが、ここからスタートだと思えば幾分か気持ちも楽になるというものだ。


 カミングスーン、神だけに?

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