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転生サーガ~異世界勇者録~  作者: よっちゃん
第3章・ジン編
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不吉な兆しとハウンドドッグ

 仁は足元の石を一個掴むと、それを黒い霧の中に向かって投げつけた。中から何かが折れる音が聞こえる。そしてすぐに男の野太い悲鳴が、辺り一面に響き渡ることとなった。


「ぐああ・・・・」

 ドナエロは脇腹を押さえながら、草むらの中を這いずっていた。彼の顔面が突然、何者かの足によって蹴り飛ばされた。

「ぐああああ、痛、貴様・・・・」

「よお」

 仁とジャンヌがドナエロを見下していた。そして彼の胸倉を掴むと、そのまま強引に立たせた。

「おい、さっさと二人の魂を元に戻せ」

「うへへへ、俺を殺せば戻るぜ。まあ、安心しな。俺はもうじき死ぬからよ」

「何言ってやがる」


 仁はドナエロを放した。彼は草むらに尻もちを突くと、すっかり戦意を失ったようでニタニタと薄ら笑いを浮かべていた。


「俺をタイガの奴と一緒にするなよ。あいつは金のためにギース様に従っていたが、俺はあの方を心底慕っている。親にも他の大人にも心を開いたことのない俺が、唯一この世で心の内を暴露できる相手。それがギース様なのだ。貴様らには永遠に分かるまい。ほら見ろよ。俺を助けに味方が来たぜ。やはり俺は必要とされているんだ」


 ドナエロの背後から、黒い体毛をした何かが迫って来た。暗闇のせいでそれが具体的に何者なのかは分からないが、それは、ドナエロににじり寄ると、突然、全身の毛を逆立て、ドナエロの右肩に噛みついた。


「うがあああ。な、何だと。お、お前は・・・・」

 ドナエロは喉が裂けんばかりに声をあげた。謎の黒いソレは、全身を輝かせると、電撃を発しながらドナエロの右肩に歯を喰い込ませ、彼の体に電流を流し込んだ。そしてそのまま、彼を引き摺って、民家の前に置かれているタルに向かって進んで行った。


「がはあああ。何故、何故だギース様。俺は本当にあなたを尊敬し・・・・」

 ドナエロはそのまま息絶えると、樽の中に頭から突っ込んだ。そしてそのまま全身を黒こげにしたまま、口や鼻から煙を吹かしていた。

「おい、お前」

 仁はドナエロの突っ込んだタルに駆け寄ると、既に彼の脈が無くなっていることを確かめて、辺りを見回した。正体不明の黒いものは、すでに何処かに消えていた。


 その後、仁達は町の宿屋に向かった。夜が明けるにはまだ時間が掛かる。残りの時間、彼らは小休止することにした。

「爺さん、四人だ」

「はいよ。二階の階段に部屋が二部屋あいてるからね。仲良く分けるんだよ。後、階段の木は古くなってるからね。気を付けて上がるんだよ」

「おう、サンキューな」


「はあ、にしても酷い目に遭いましたわね。人の心の弱い部分を抉るような敵でしたわ」

「ああ、だがな、こうして無事に生き延びられた・・・・」

 仁は言い掛けたところで、足を止めた。宿屋の主人が言っていた古い階段を上がった先に、血のような真っ赤な字で壁にこう書かれていた。


「お前達の誰かが死ぬ・・・・ハウンドドッグより」

 それは落書きに近い字であったが、それが却って不気味に見えた。この中の誰かが死ぬ。悪戯にしては手が込みすぎている。

 やりたかっただけの現代魔法辞典


 ジ・アンダーグラウンド その人が抱えている心の弱い部分を現実に投影する能力。人は誰しもが心にトラウマを抱えており、この能力はそれを刺激し、敵を精神的に屈服させることを目的としている。ある意味では最強の能力の一角と言えなくもない。


 パワー0 スピード0 テクニック1 リーチ5 タクティクス1


 ※ 能力は5段階評価 1が最も低く。5が最も高い。


 パワー 能力の殺傷力 1 子供並み 2 大人並み 3 兵士並み 4 軍隊並み 5 核爆弾並み


 スピード 能力の伝わる速さ 1 よちよち歩き程度 2 徒歩程度 3 走り程度 4 自動車程度 5 新幹線程度


 テクニック 能力がどの程度まで調整ができるか 1 大雑把 2 使いにくい

3 ふつう 4 手足のように動かせる 5 糸に針を通すような細かい動きが可能


 リーチ 能力の及ぶ距離 1 手の届く範囲 2 周囲5メートル程度 3 周囲1キロ程度 4 周囲10キロ程度 5 周囲100キロ以上


 タクティクス 能力の応用性・自由度 1 限られている 2 少ない 3 多少の応用が利く 4 応用が利く 5 工夫次第で様々な使い方が可能


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