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転生サーガ~異世界勇者録~  作者: よっちゃん
第3章・ジン編
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ギースの謎

 ルミナスは震えていた。頼みの綱だった仁が橋の上で、倒れたままピクリとも動かないのである。腰を抜かしたルミナスは、最早立ち上がることすらできない。情けなくて、涙が出てきた。


「けけけ、こんなにあっさり終わるとはな。さてと、敵さんの死体でも確認しておくかな」

 タイガは拳銃を腰のバックルにしまうと、そのまま倒れている仁に、ダメ押しの一発を打ち込んでやろうと、彼の元に近付いて行った。ルミナスはその様子をただ、震えながら見ていた。


「おい、小僧。お前は掛かって来ないのかい?」

「うああ・・・・」

 ルミナスの体がビクッと揺れた。タイガはそんな彼の様子を見て、嫌らしくニヤニヤと笑っていた。

「お前、よく見たら、男のくせに結構可愛い顔してるじゃねえか。俺に頑張ってサービスしたら、ひょっとしたら助かるかもな」

 タイガはおどけて言うと、足元に転がる仁の姿を見下ろして、拳銃を向けた。


「ほら、小僧。女みたいな声で鳴いてみろよ。可愛く媚びるようにな・・・・」

 すっかり油断しきったタイガが、ルミナスの方に一瞬視線を向けたその瞬間、突然、仁がゴロリと橋の上で転がり、落ちていたシルバーブレットを掴むと、タイガの右肩に発砲した。


「ぐぎゃあああ」

 タイガは拳銃を落とすと、そのまま仁に顔面を殴り飛ばされて、橋の上に沈んだ。仁はこめかみにめり込んでいた弾丸を抜くと、それを落として、タイガの元ににじり寄っていた。


「おい、生きてるか?」

 仁は倒れているタイガの胸倉を掴むと、強引に彼の顔を起こした。

「な、何故だ。確かに銃弾は命中していたはず」

「馬鹿なお前にも分かるように説明してやるよ。お前がジャンヌとレベッカを落としてくれたおかげで、橋を強化している必要が無くなったんだ。俺の能力は、不便なことに強化できる物質は一度に一つだけだ。だから橋の強化を解いて、代わりに自分の体の皮膚を強化した。弾丸で貫かれないようにな。咄嗟の思い付きだったが、どうやら自身の肉体も物体として認識されているらしいな」


 仁は一通り説明し終えると、タイガの顔を足で踏み付けた。

「おら、俺の靴でも舐めてろ」

「ごおお、俺を倒してさぞ嬉しいだろうがな。お前のお仲間は二人ともお陀仏だぜ。残ったのはお前と役立たずのガキだけだ」

「悪いが俺の仲間は無事だぜ。じゃなきゃ、お前をとっくに殺しているところだしな」

 仁は言いながら、崖の方を指した。そこにはジャンヌとレベッカがおり、こちらに手を振っていた。


「な、何故・・・・」

「ジャンヌが初めに落ちてくれたのが幸運だったな。あいつは空を飛べるから、橋から落ちたレベッカともども、別の場所に避難していたらしい」

「お、俺はどうなる?」

「ああ、そうだな・・・・」


 仁はしばらく悩んだ挙句、タイガの襟を掴むと、橋の下に彼の体を投げ出そうとした。

「ひいい、や、止めてくれ」

「止める理由は無いぜ。お前は敵だからな。俺は人に情けを掛けられるほど大人じゃない」

「ま、待ってくれ。取引しようぜ。お前らの敵の情報を教えてやる。俺は元々金で雇われていただけだ。別にギースなんぞどうなったって構わない」

「ほう・・・・」


 仁はタイガを橋の上に引っ張ると、彼の体を引き摺って、橋を渡った。

「ほらよ。ここなら安全だぜ。さっさと話しな」

「ああ、何から話せば良いんだ?」

「ギースの能力についてだ。奴の能力と対策を教えろ」

「おい、流石にそれは無理だ。他の奴の情報ならば、教えられるが」

「約束が違うな」


 仁はタイガの顔を手で思い切り引っ叩いた。彼の顔は、仁の手の形に赤く腫れてしまった。

「痛てえ、痛てえよ、殴るのは止めてくれ」

「じゃあ話せ」

「知らない。これは本当だ。ギースほどの男が、雇われの俺に弱点を晒すわけないだろ」

「じゃあ、他の奴のことを教えろ」

「ああ、分かった。俺と同じように金で雇われている殺し屋がもう一人いるんだが、そいつの名前は確かドナエロとか言ったかな。そいつの能力はマジでヤバイらしい。何でも、人のトラウマや弱味を具現化できるとか言っていた。精神攻撃を得意とする野郎だ」


 タイガはそれだけ話すと、仁から距離をとった。

「へ、へへ、もう良いよな?」

「ああ。二度と俺達の前に現れないと誓えるならな」

「当たり前だ。何せ、お前はここで死ぬんだからな」

 タイガは突然指を鳴らした。すると先程の黄色い雲が、仁の頭上に出現した。

「けけけ、ずぶ濡れにして、その後で撃ち殺してやるぜ」

「馬鹿かお前は。せっかく助かったってのに」


 仁はタイガの胸倉を掴むと、そのまま彼を崖下に向かって投げた。

「ひああああ」

 タイガの体は白い霧の中に消えて行き、今度こそ一巻の終わりだった。

 やりたかっただけの現代魔法辞典


 シープ 雷を伴う雨雲を操る能力。雲は羊のような形をしていて、同じく羊程度の大きさをしている。雲は自由にコントロールできるが、動きが大雑把で、あまり使い勝手は良くない。限られた場所で真価を発揮するタイプの能力


 パワー1 スピード3 テクニック1 リーチ5 タクティクス1


 ※ 能力は5段階評価 1が最も低く。5が最も高い。


 パワー 能力の殺傷力 1 子供並み 2 大人並み 3 兵士並み 4 軍隊並み 5 核爆弾並み


 スピード 能力の伝わる速さ 1 よちよち歩き程度 2 徒歩程度 3 走り程度 4 自動車程度 5 新幹線程度


 テクニック 能力がどの程度まで調整ができるか 1 大雑把 2 使いにくい

3 ふつう 4 手足のように動かせる 5 糸に針を通すような細かい動きが可能


 リーチ 能力の及ぶ距離 1 手の届く範囲 2 周囲5メートル程度 3 周囲1キロ程度 4 周囲10キロ程度 5 周囲100キロ以上


 タクティクス 能力の応用性・自由度 1 限られている 2 少ない 3 多少の応用が利く 4 応用が利く 5 工夫次第で様々な使い方が可能


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